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魔族の王

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 魔族の王は城から王国の方を向いていた。
 彼は全身を覆いつくす真っ白な服装を身にまとい、その下で金属の体を隠していた。じっと前を見て、砂漠を埋め尽くすほどの巨人の群れを睨み付けていた。ズンズンと地面が鳴る音がここまで聞こえてくるようだった。
 すでに魔族の先兵が向かって行っていた。
 しかし彼らでは五分と持たないだろう。
 彼らに協力するべく、新たに生み出された魔物が次から次へと鉄の筒から飛び出して向かって行くが、彼らもただの死体になるのだろう。
 戦うためだけに生み出されたにしろ、非常に悲しい奴らだった。

 魔族の王は首元から伸びる黒い管から、城に命令を飛ばした。
 すると、ゴォォンという鈍い音が響き城の裏庭に真っ直ぐ亀裂が入ると、そのまま左右に分かれていく。そして中から黒い巨人が姿を現すと、魔族の王の背中にそびえたつ。
 王はサッと腕を上げると命令を飛ばす。



 何千年も前からの遺恨を今こそ
 先人たちの罪を償う時が来た。
 自らを生み出した祖先の恨みを晴らす時が来た。



 その巨人の名前は「ダビデ」と名付けられていた。
 目から紫色の光線を放つと。向かって来るゴリアテのうち一体に命中させる。するとそれを食らったゴリアテは胸から黒い煙を上げながらバランスを崩し、ゆっくりと地面に倒れていった。
 これなら勝てる。
 魔族の王はそう確信していた。
 今こそ世界を救う時だ。




 何千年ぶりの戦いに、魔族の王はがらになく緊張していた。



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