「なんだろう、あの光は。恒星のように明るいが」
ある宇宙飛行士が、衛星近くの宇宙空間での任務中、彼の目に眩い光が入り込んできた。
近づいてみるとそれは、一人の美女であった。
「これは驚いた」
その美女は宇宙飛行士の手のひらほど小さく、また背中に羽のようなものが生えており、
無重力に身を委ね、身体を点滅させながら眠っていた。
宇宙飛行士は、その美女を母船へと持ち帰り、すぐさま地上の研究施設へと送られた。
「身体は恐ろしく小さいが、特徴は我々とよく似ている」
「しかし、背中に妙なものが生えていますよ」
「では、この生物はいったい何処から来たと言うのだね」
名のある研究者達が集められ、様々な議論が飛び交ったが、
ついにその真相は分からず、みな途方に暮れはじめていた。
そのときである。小さな美女の背中の羽のようなものからビープ音が鳴り始めた。
『大気組成の分析完了。生存可能な環境と判断――』
デジタル音声とともに、その小さな美女は覚醒した。
「おお、まさか目を覚ましたか」
「ところで君は何者なんだ」
「その背中の物はなんなのだね」
研究者達は驚きと興奮の中、口々に聞いた。
「私は、太陽系の地球という星から来ました。
私の母星は滅亡してしまったので、生き残った人類はコールドスリープされ、
方々、宇宙へと旅に出たのです。これは推進装置です。
この装置から発せられた信号を拾って、じきに私の同胞が次々に集まってくるでしょう」
彼女は背中の羽のようなものを、さすりながら答えた。
かくして、人類は巨人の住む星を新天地としたのだった。