H29.11.24
【はじめに】
おはようございます、こんにちは、こんばんは。藤沢です。
『自分を左殺しと思い込んでいるプロ野球選手』が完結して、三週間ほど経ちました。と書いたところで、二週間の間違いだと気付きました。時間の感覚がおかしいですね……
これから後書きを書こうと思います。
普通は最終回と同時くらいに上げるべきだったかもしれませんが、余韻に浸っておりました。すみませんでした。
だらだら書いていると幾らでも書けてしまいそうな気がしますが、長いと読む方も大変だと思うので、何項目かにまとめます。
暇な時があれば、読んでみてください。役に立つことは多分書いてありませんが……
【思い付いた瞬間】
私は移動時間中にラジオを聴くのが好きで、野球シーズンともなればニッポン放送や文化放送、最近はラジコという神アプリもあるので、ローカルラジオの野球中継など、とにかくプロ野球ばっかり聴いています。
それだけ野球にばかり接していると、何も考えていなくても、頭に色々ネタが浮かんでくるのでした。
そして、同時期に、『自分を野原ひろしと思い込んでいる一般人』というフレーズが妙に自分のツボにハマっていまして、不思議なもので、野球と野原ひろしがミキサーにかけられてしまいました。
その結果産まれたのが『自分を左殺しと思い込んでいるプロ野球選手』というタイトルでした。この作品はタイトル先行です。タイトルが浮かんだのとほぼ同時に、作品の骨格も出来上がっていました。
平凡な野球選手が、左殺しと思い込むことで本当に左投手を打ててしまう話、どうだ。こういう野球ものはあまりない気もする。面白そう。何より、タイトルが好き過ぎる。
移動中に浮かんだネタで、テンションが上がるほど書きたくなるのは初めてだったので、これは上手くいけば満足する作品になる、と思ったものでした。運転は気をつけました。
【山﨑太郎】
姓も普通なら名前も極めて平凡。いや、今時平凡ではないか……
とにかく平凡を意識しました。性格もプロっぽくないように、身体能力もプロとしては普通、ただ、思い込む力だけは強く。
その結果、山﨑は人間になってくれました。「あ、俺コイツのこと好きだな」と気付いたのは第5打席あたりでした。
日本シリーズMVP獲ったのに飲みに出かけず、部屋に戻ってラジコのタイムフリー機能で自分の打席を聴き直して缶ビール一杯--
このシーンが書けた時に、僕は山﨑のことを本当に存在するプロ野球選手と思うようになりました。全16話ありますが、一番手応えあったのは5話です。
これが書けた時に満足して、なるべく巻いて、書くべきことだけを書いて綺麗に終わろうと、そう考えていました。
【時間の概念】
プロ野球を扱うなら、時間をどういう密度で表現するかは大事だと思いました。
プロ野球のタイムスケジュールはもうかっちり決まっていまして、2月から春季キャンプ、3月にオープン戦、3月末から10月上旬ごろまでレギュラーシーズン、10月中旬から11月上旬にかけてポストシーズン、その後に秋季キャンプからオフシーズンへ。
これをただなぞっていたら、長くなります。これは読む方も書く方も辛い。この作品に関しては最初から最後まで楽しく書けましたが、それは長い時間を短く使って、メリハリつけて表現できたからだと思います。
2017年から2023年という7年間で、山﨑はさまざまな経験をしました。ただ、それを16話でまとめたことで、時間がグッと凝縮し、結果的にストーリーの密度が濃くなりました。
時間をリアルに描くことによって、オリンピックに触れられたのも良かった。正直、あづま球場でオリンピック野球の開幕戦やるのは知らなかったので、僕としてはちょっと運命的なアレを感じました。「ここを大事なシーンにしよう」と自然と思ったものです。山﨑にとっては可哀想でしたが……
【プロ野球からの影響】
これはたくさんありました。
山﨑の明確なモデルはいませんが、園田さんは広島の前田元選手です。死球で引退を決意というところはモロですね……あと、度重なる故障で選手生命を縮めたとか。
大方監督も当然のように緒方現広島監督です。この方も故障が無ければ……
洗川は、丸選手のイメージが入ってますが、怪我のなかった頃の緒方元選手も混じってます。
あと、オリンピックで選手生命を絶たれたという意味では、G.G.佐藤元選手かな。別に絶たれてはいませんが、あのエラーはG.G.佐藤さんの野球人生において非常に大きな影響を与えましたのでね……
【コメントについて】
これはとても嬉しかったし、完結まで行けたのもみなさんのおかげです。
開始当初からコメントがよくついて、5話あたりからさらに加速していっている感じがして、僕も乗せられました。
たとえ手応えのある作品でも、それでコメントが付くのかというとそうでもなく、『約束の地へ』という小説に関しては、個人的には熱量を持って書いているのにコメント数にあまり繋がらないというジレンマが正直あります。
この小説に関しては、熱量と評価がきちんと結びついてくれたので、そういう意味で幸運な作品だったんだな、としみじみ思います。
コメントで、みなさんが楽しんでくれているのが伝わって、「これは面白いまま完結させなきゃ」と良い感じにプレッシャーがかかったものです。完結後にたくさんコメントがついたし、今日もついてましたから、本当に感謝しかないですね。
またこんな風にみなさんに喜んでもらえるものが書きたいですね……
【終わりに】
まとまってない気もしますが、長くなりすぎてもアレなんで、こんなところにします。
最後に一言書くなら「書いて良かった」ということ。自分にとって、とても大事な小説で。また、こんな風にかっちりハマるアイデアを出したいです。
今は、新都社外のサイトで新しいものをアップし始めています。今のところこの小説を超えるような手応えはありませんが、とにかく終わらせることを大事に進めていきたいと思います。
読んでくださったみなさん、本当にありがとうございました! また新都社で新作書くときは、読んでもらえたら嬉しいです。