何度思っただろうか。
何度考えただろうか。
ずっとこうして二人でいたいと。
始まりには終わりがあるもので、陽は沈んだら再び顔を出す。
そんな世の中の摂理をひっくり返せないだろうか。
にわかに活気づく街の声も、遠くから聞こえる電車の足音も。
機械的な時計のアラームも、誰かからのLINEの呼び声も。
全部聞こえないふりをすればいい。
そうして僕は煙草を手にベットからそっと抜け出して、煙がゆっくりと換気扇に吸い込まれるのを見ると、こうして二人で逃げ出したいと願ってしまう。
そんな中、ふと、幸せそうに眠る君の顔を見て思った。
果たして君も僕と同じ考えなのだろうか。
もし違っていたら、なんて独り善がりな願いなのだろうか。
君には君の、僕には僕の幸せがあるのだろうか。
気が付くと、煙草の煙はとうに部屋から姿を消していた。