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一話です

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闇の住人の拙者には、太陽は眩しすぎる。
かと言って両方の目に眼帯とかしてたら何も見えない。

「闇の住人すら脅かすとは、闇って奴はホント凄いでござるな」

拙者は妖怪の狐者異(こわいって読むよ)

絵とかで、うどんを食べてるあの妖怪だ。
…そんな怖いんだか怖くないんだか良く分からん拙者のメインディッシュは、サンプルに本物を出してる饂飩屋さんのうどんだ。

「出来てから時間が経ってるとは言え、何と不味い。もう妖怪なんか辞めて、普通にご飯が食べたいでござるよ」

泣いたり愚痴ったりしながらうどんを食べてると、店の中から人が出てきた

「ゲスゲス!このうどん屋の命日は二分後でゲスよ!」

拙者はうどんを吹き出してしまった。
うどんを吹き出したのは、ゲスゲス言ってるコイツがウドン西川だったからだ。
ウドン西川はうどん好きなら誰もが知ってる有名人で、命日宣言をするとたまに当たるとかそんな感じで恐れられている。

サンプルに本物のうどんを置く店なんて滅多に無いから、拙者はここを失う訳にはいかない。

「ウドン西川さん、何故この店は潰れるでござるか?」
「この店のトイレを借りた時に爆弾を発見したでゲス、爆発まであと二分くらいな気がするでゲスよ」
「それは大変でござる!」

拙者は大急ぎで饂飩屋のトイレに入ると、爆弾を見つけた。
何でこんなものがあるのかよく分からんけど、拙者が何とかせねば…。

「まあ、水でもかけとけば大丈夫でござろう」

ウドーン。

「あふぅん!」

何か爆弾は爆発したけど、拙者は妖怪パワーを使い店を守った。
立派。

「…ふう、拙者にあんなミラクルパワーがあったとは知らんかったでござる」
「お客さん、凄い爆音の便所タイムだったね」
「うむ、ご飯も頼まずトイレを借りて悪かったでござ…る?」

店の主人は食品サンプルを手に持っていた。

「これよく出来てるでしょ?何か最近ね、サンプルのうどんが食べられてしまうからね、食品サンプル頼んだのよ」
「…よく出来てるでござるな、美味しそうでござるよ」

拙者はメインディッシュを失ってしまった。
もうこの店に来ることは無いだろう。

「…もう妖怪辞めようかなでござる」
「見てたでゲスよ、この西川の予言を変えるとは只者ではないでゲスね」
「ウ、ウドン西川さん!」
「命を賭けて饂飩屋を守るとは…、お前はここに行かねばならないでゲス」
「黒ウドン魔導学校の案内所…?拙者がここに…」

闇の住人には、太陽が照らすこの場所よりも相応しい場所がある。
そう、白いうどんでさえ拙者には眩しい存在だったのだ。多分。
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