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Princess Saviour

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タイトル :Princess Saviour
作者名  :稲穂スタジオ
ttps://www.freem.ne.jp/win/game/4935


人類は二つに分けられる。
プリンセスセイバーにドハマりする奴と全然肌に合わない奴だ。
そんな極端な二元論が成り立つくらい、このゲームのクセとアクはまぁー強い強い。
俺? 未だに俺を人類と勘違いしていた奴がいたとはお笑いだ。
いやね、まぁ面白かったには面白かった、ん、だけど…。


> ――封王森国フェルアルナ。
そこは水と緑に包まれた潤沢な自然資源に恵まれた国であった。
国民もその自然を象徴しているかのように穏やかで、災厄こそあれど戦争はない平和とも言える国であった。
だが、フェルアルナは峻険なる山脈に東西南北四方八方を包まれており、他国からの訪問を自然と拒絶していた。
故にフェルアルナを訪れる人々は少なく、外界から隔絶した国として存在していた。

しかし、少ないとはいえフェルアルナに訪れる人々はいた。
あるいはフェルアルナを飛び出し外の世界へと踏み出した人々もいた。
それはフェルアルナと外界を繋ぐ僅かな接点であった。
――だが、ある時を境にそんな僅かな例外さえも消え失せた。
フェルアルナより訪れる人々は絶え、フェルアルナに向かった人々は二度と戻ってくることはなかった。
やがて、外の人間にとってはフェルアルナという国は、忌避と畏怖の象徴となった。
その頃にはフェルアルナを目指す人間は誰一人としていなくなっていた。

その中で一所に留まることなく世界中を駆け巡る放浪者、マリスティア・エリクシルはフェルアルナへと足を向ける。
彼はもはや伝説とさえなった国、フェルアルナの中に踏み入れる成功する。
彼を待っていたのは噂に聞く通りに豊かな自然環境。穏やかな国民。
ある種、不自然なまでに平和なフェルアルナそのものであった。

そこでマリスはユーカ・フジワラとミゾカ・フォルティアと出逢い――
時を同じくして超越者『10人の王と姫』と対峙する。
出逢いと出遭い。
その偶然が持つ意味さえ知ることもなく、3人は『10人の王と姫』の戦いにその身を投じていくのだった――……


と公式に書いてある通りの話。なん、だ、けど…。


このゲームはシステムがすごい。
エンカウント方式はシンボルエンカウントなのだが【ボタン一つでシンボルを活動停止させる】エンカウントキャンセルにより、バトルの気分じゃない時もサクサク進行させてくれる。
あまり使いすぎるとゲージが上昇し、エンカウントキャンセルが切れ、更に敵が強くなってしまうと言ったデメリットもあるが、強くなった敵は経験値やドロップ率も上がるという仕様のため、【むしろガンガン使って強くなった敵を狩る】スタイルが推奨される。
個人的には理想のエンカウントシステムだと思ってる。【エンカウントキャンセルしなければ結構ガチで敵が追ってくる】という事を除けば。
んで、戦闘システム。
こっちは結構複雑で、普通のHPの他にMPと紐づいているシールド「AFF」が存在し、ダメージを軽減する仕様となっている。
魔法攻撃でAFFを割り大ダメージを狙うか、物理攻撃で直接HPを狙うか…と言った選択を迫られるので、状況に応じて使い分けていく。
スキル使用で消費するのはMPではなく毎ターン増加するAP、またはパーティーで共有するFP。
スキルによっては刻々と変わる【場の属性】がスキル属性に適用されたりするため、戦況は目まぐるしく変わる。流れを読み、勝利の運命を掴み取れ!
つまるところ†CLOSS FAIT BATTLE†である。(たぶんちがう)
また、スキルを共有しスロットの数だけ設定したり武器のグリップを強化したりと成長要素も多彩で、各人の趣味で様々な戦術を組めるゲームとなっている。
って聞くと「結構覚えるのが面倒くさそうなシステムだな…」と思われるかもしれないが、まぁ割と適当でも概ねなんとかなるゲームバランスなので、そこまで困ることはたぶんない。
どちらかと言うとシナリオの方がよっぽど人を選ぶ作風だからな。

このゲームはシナリオが…と言うかキャラクターがすごい。
あらすじのところで「10人の王と姫と対峙する」とあるんだが、まぁこれが狂人……じゃなかった、癖のあるキャラクター揃い。
最初に出てくる不死王の時点で典型的なかませ外道臭がもうプンプンしてるが、こんなん序ノ口譲二もいいところ。
まともそうな外見だと思ったら全然そんなことはなかった鉄のひととか本人は物騒な能力持たされてるだけで割とまともなんだけど育ての親がクレイジーサイコクソジジイだった殺人のひととか、
お前俺の肉奴隷! イエスアイアム肉奴隷! なバカップル魔王歌姫組とか、右を見ても左を見ても「なんなのこの人…」ってリリーナ(初期の)がドン引きしそうな人しかいない。
聖王は騎士なんとかさんにひどいことしたよね…何あのイジメとしか思えない完全上位互換武装…?
まぁ王と姫達が(元々ちょっとアレな要素を抱えてる人がちょいちょいいるとはいえ)狂っていったのも理由があると言えばあるのだが、それにしたってこんなんが国を治めてたりするのは本当世紀末感ある。
それに立ち向かう我らが主人公組…も、なんかおかしい奴しかいない。
絶対種付けおじさん…じゃなかった、後ろ暗い過去が満載の謎の青年。
に、一人称が小生で騎士を通り越して武士みたいな喋り方する金髪吸血姫(仮)。
そして悪漢に人質に取られて言うことが
「滑稽な。
取るに足らない若輩を|人質《たて》に取った程度で、そのように有頂天に達するとは……
まさしく滑稽。あなたたちの器の小ささの証左か。
もう一言言うのならば……わたしのような女の子を人質に取らなければ、あなたたちは調子に乗る事さえもできない。
滑稽滑稽滑稽滑稽滑稽滑稽滑稽――滑稽千万としか言いようがない。
そう――滑稽でいて、矮小な下郎。それがあなたたちです。」
とか言いだす14歳。今作の【主人公】です。

えー、この制作サークル。かの有名なRPG、ワイルドアームズに影響を受けた、と公言しておりまして。
そのせいなのか台詞回しがどうも個性的…と言うかまぁクドくなってるわけです。
俺はシンフォギアしか知らないけどまぁノリに近いものがあるのはわかる。ってか【元ネタを隠そうともしない騎士団長の人】とかいるし。
完全聖遺物で武装したラスボスを格闘で圧倒しそうなツラだよぉ…
そのせいで合う人にはピンズド一直線だけど合わない人は【悪い意味で濃さに酔う】と言うピーキーな出来に仕上がっている。
ゲーム内外において設定資料が山ほどありメニュー画面では壁紙一覧を見られるしセーブポイントは全箇所で文言が違うわ等々作り込みは凄いとは思うんだけど、世界観に合ってる気はあんまりしないゆるキャラのコメディシーンとか、【そういうのは年齢制限有りでやってくんないかな】って言うえぐめの設定とか、【今の必要だった?】って箇所がちょっと…で済むレベルではなく存在したように感じたのは否定できない。
まぁなんだかんだ外伝のAnotherSaviourやったり最近発売した新作の有料作品アスクギアを購入したりする程度には面白かったんだけど、他人に易々と薦められる作品ではない。と言うか、【易々じゃなくても俺からは薦めない】。
ここまでの説明でちょっと興味が沸いたとしても、【ちょっと程度ならゲームから押し寄せる圧力にやられてギブアップ】する可能性があるし、「んー……俺はいっかな……」って思ったらその判断はほぼ間違いなく正解だ。
ただ、一度プレイしたなら【文章に書きしたためたくなるパワー】がある作品なのは確か。
キャラやテキストは評価が難しいとは言え、美麗なグラフィック、熱い展開、戦略性の高いシステムと、ゲームとしての出来はまぎれもなく本物だ。

|自由《フリー》に作って、好みに合致した一部の人間には見向きもされなくて。中途半端に楽しめた人からは微妙な評価をされて。
でも、好みに完璧に、これ以上なく合ってしまったプレイヤーからは商業作品含んでも最高の一作と評される。
フリーゲームなんてもんは、このくらい尖っていた方がいいんじゃねーかな。









そんな感じ。
10

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