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B.B.ライダー/はまらん

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タイトル :B.B.ライダー
作者名  :Tack(ゴリッチュ)
ttps://www.vector.co.jp/soft/win95/game/se408334.html


この話には、B.B.ライダーの【中盤までのネタバレ】があります。
俺がクッソおもろいマジ全人類プレイしろホントにって再三言ってるにも関わらず未だプレイしてなくて、なおかつ前情報なしで楽しみたいよーな輩がいたら今すぐプレイして下さい。







俺がゴリッチュ信者で常日頃からゴリッチュゴリッチュうるさいのは、まぁ同人エロゲの方見てる人ならご存知だとは思う。
だが、よく考えればゴリッチュの話はしても、『B.B.ライダー』と言う単体の作品について一つの感想として語った事はなかった。なかった…はず。
「俺が宣伝してもどーせプレイしないだろうし」
「そもそもあのゲームは感想でネタバレされるものではなく【現代に呼び出された英雄が活躍する短編ギャグゲーム】と言う前提で楽しむものだし」
と、間違ってはいないんだけど、それを口実に一つの感想として書く事を避けていた事は否定できない。
今回の企画にあたり、企画概要だけ書いて「ホレお前らとっとと語れ」と言うのもなんか丸投げ感があるので、俺も一つ感想を書く事にした。
で、フリーゲームの話を一つだけ書くなら。
俺は、B.B.ライダーを選ぶ。
これも良い機会だ。何より俺が【企画立案者権限でトップバッター】だ。
たとえ多少のネタバレしてでも増やしてやろうじゃねぇか…B.B.ライダーのプレイヤーを!
と言うのが今回の経緯である。



>1200年前に魔族をその身一つで殲滅し、世界を平和に導いた男…ジークフリード。
そして現代、大都市アークスの令嬢ロウリィ・ゴースにより未来の時代に呼び出されたジークフリードは、世界の平和を守るべくなかば強制的に彼女と協定を組まされることとなる。

果たしてかつての英雄の力は現代の強敵達に通用するのだろうか。
前途多難の男がありえない時代で繰り広げる2ヶ月間、その物語。


…と、ベクターの詳細説明のとこには書いてある。これは概ね間違いではない。
一方でトップに書いてある一行説明。

>現代に呼び出された英雄が活躍する短編ギャグゲーム

【嘘である】。
【真っ赤な嘘である】。
ギャグ要素がある事は事実だし割合も結構多いが主題はあくまでシリアスだし、少なくてもクリアに10時間以上かかる作品は一般的に短編とは呼べない。
それと、厳密に言えばニトスは…【呼び出された時点では英雄ではない】。
B.B.ライダーと言う作品は、ニトス・ジークフリードが英雄になる話である。


本作は途中まで、ギャグとシリアスの比率はギャグの方が上となっている。
ニトスを召喚したロウリィ・ゴースはツンデレ理不尽暴力ロリだし、カロスは減給に悦びを感じるアレなやつ筆頭だし、ルゥは大した役にも立たないポンコツアンドロイドだし、オラクルは超能力少年(女)だし、ロンドは女装ムキムキメイドだし、ガレリアンはホモだし、デーモンイーターはやばいホモだし、ウェルチは影が薄いし、ベル子は貧乏だし、マックスは豚でドミノは話に全く絡まない暗殺者一族で店長は著作権違反で一発キャラガリベイン・メガネールは設定上クソ強い。
ニトスは概ねツッコミ役としてマンモスと戦わせられたり、巨大魚と戦わせられたり、巨大イカと戦わせられたり、やばいホモに追いかけられたり、ロリ子に殺されかけたりロリ子を血祭りに上げたりして、たまーに真面目に戦う。
言ってしまうと、B.B.ライダーはギャグ作品としてみると【大して面白くはない】。
いやまぁ言うてもつまんないわけでも嫌いなわけでもないけど、下ネタは多いわメタネタはしつこいわパロネタは【パン屋の店長がドラえもんなのかアンパンマンなのかわからない】レベルだし、ここを売りに薦められるかと言うと俺は悲しそうに目を伏せることしかできない。
そして本作に一番の問題点、RPG要素。
これももう何度言ったかわからないが…本筋とはほとんど関係のないダンジョン探索要素はまぁいいにしても、お世辞にも戦闘システムは面白いとは言えない。
テンポの悪い勝利ジングル、カードをつぎ込めばだいたい勝てるバランス、カードを手に入れるポイントは雑魚戦をひたすらこなさないといけない作業感…
そしてゴリッチュのガシガシ動く【ドット絵バトルがイベントでしか見られない】のは残念としか言えない。
前作ジャストディアボロスの戦闘…特に自分も敵も縦横無尽に動くボス戦は素晴らしかった。
それだけに、RPGとして評価すると劣化していると言わざるを得ないのは辛いところ。勝手にレビューしておいてなんだけど。

一方でシナリオについては、序盤から謎が散りばめられている。
英雄として召喚されたニトス。だが彼は記憶喪失ながらも、自分が英雄扱いされることに疑問を抱き、同じく過去から召喚された旧友ガレリアンからも「英雄…お前がか?」と言われてしまう。
そしてオラトリオ戦、かつて魔族を滅ぼした『光の剣閃』にて列車を切り裂くところは演出も相まって燃える名シーン…
で誤魔化されてしまいがちなのだが、ナレーションの文章は明らかにおかしい。

『ナイフ一本で魔族の群れを疾駆する“ソレ”を止められたものはおらず』
『生ける全てに恐怖を与えた金色の男がいた』

魔族から人間を救った英雄は、称えられこそすれど恐れられるものだろうか?
そして何より…『輝けぬ金色』と言う二つ名は、光の剣閃を操る英雄、正義の味方にふさわしいものだろうか?

中盤から終盤に差し掛かる頃、具体的にはサムライヘンジにニトスが敗北し、過去回想に入ったあたりからシリアスとギャグの比率は逆転する。
そこで明かされるのは、ニトスの本当の所業。
家族を皆殺しにされ復讐の道を歩み、魔族を一方的に鏖殺していく姿。
同じ人間には恐れられ、どちらが化物だかわかったものではないと罵られる始末。

ニトス・ジークフリード…|輝けぬ金色《シュマーリ・ゴールド》と呼ばれたそれは、英雄ではなく。
英雄ジークフリートの名を騙る、忌み嫌われた殺戮者であった。

家族を守るために英雄を夢見たニトス。彼が戦い続けても、家族はもういない。得るものなど、あるはずもない。
やがて精神は摩耗し、かつて家族を殺した首謀者である少女マギスンと再会しても復讐心は沸かず。
それどころか、魔族の心に支配されニトスの家族を奪ったことに罪悪感を抱いていた彼女を許し、マギスンとその兄のサラド…魔族の長の子でありながらも魔族らしくない彼らと共に過ごすうちに、彼女らも自分たちの家族同様に見るまでになった。
人を裏切って得た束の間の幸せも、長くは続かない。
サラドは魔族の心に支配されて真なる魔王と化し、マギスンはそうなる前にニトスが自ら手にかけた。
二度も、家族を守れなかった。
失意の底のニトスは、1200年後に召喚されて記憶を失う……
果たしてニトスは『三度目』こそ救うことができるのか。
そして、彼自身の幸せはどこにあるのか。
これまでのギャグ展開が嘘のように話は転がり。
しかし確かにあった伏線を回収し、物語は終盤へと向かう。

よく「前半ギャグ、後半シリアス」と評されるB.B.ライダーだが、実のところ終盤も最後の最後になるまで随所にギャグは挟まれている。
と言うか、あんだけ真面目にお嬢を守る話やっておいてゆうしゃのはなみちのBBライダーシナリオでニトスが開口一番「お嬢殺す」って言うとは思わねぇよ!!

そういうわけで、B.B.ライダーの一番の肝は【シナリオ】とそれを盛り上げる【演出】。
最終決戦は言うまでもなく、ナレーションと共にOPが流れるオラトリオ戦、どう見てもラスボス戦にしか思えないシルバ戦、これまでギャグキャラ以外の何物でもなかったロンドが実力の一端を見せる冥王戦…名シーンを挙げればキリがない。
BGMと一枚絵、ドットアクション、エフェクトなどの要素の【組み合わせ方】の上手さは右にも左にも前にも後ろにも上にも下にも並ぶものはいない(俺調べ)。
特にフリーBGM【thread of hope】をこれより使いこなしている作品を俺は知らない。
そもそも他に使っている作品を知らないと言う話なのだが使うシーンがあまりに良すぎる。
作中では二回しか使われないが、俺の中では完璧にニトスのテーマである。

シリアス要素が強くなればこれまでギャグ一辺倒だったキャラクター達も真面目にならざるを得なくなる。
彼らは街を救うため、そしてニトスの助けになるために迫りくる脅威へ立ち向かっていく。
アホ以外の何物でもなかったカロスでさえ、ギャグキャラというポジションとベル子に助けられながらも敵の一人を討ち取る。
…まぁあそこは冷静になってみると色々おかしいが。
シリアスになったキャラクターで言うと、特筆すべきはガレリアン。
実の所彼は割と初期からシリアスめではあったのだが、ニトスを心配するあまりたまにホモっぽく(っぽくか?)なってしまうのがギャグキャラになってしまう要因であった。
ガレリアンは人類がまともに戦ってほぼ勝ち目のない魔族らを相手に戦い生き延びてきた…と言う普通の人間としては破格の強さの男なのだが、それでも冥王の前では虫も同然と言った実力差であった。
いくら強いとは言え、記憶を完全に取り戻したニトスにとっては全く取るに足らないであろう冥王に、だ。
ガレリアンは、ニトスの仲間であっても、並び立って戦えるような人物ではなかったのだ。
だが、それでもガレリアンは立ち向かう。【ニトスより遥かに強い】ものの前に、それを知りながら物怖じせずに立つ。
彼の言葉はニトスに死よりも辛い選択を選ばせたかもしれない。だが、それが呪いだったとは思えない。
ニトスにとって、ガレリアンは救い以外の何物でもないだろう。


B.B.ライダーは難しいゲームだ。
クリアすること自体は困難でも何でもないが、薦めてプレイさせることは難しいし評価するのも難しい。
何せこのゲームはバランスが悪すぎる。長所も短所も、あまりに尖りすぎているのだ。
ギャグはもちろん、シリアス要素が合わない人もいるだろう。そんな人にとっては、B.B.ライダーは恐らく駄作にしか映らない。
だが、俺は合った。合った、などと言う言葉ではとても足りない程に、ゴリッチュの長所が心の奥底に深々と突き刺さった。
だからこのゲームにいくら欠点があっても、俺はこのゲームを最高と認めた。比類なき一作と崇めた。
日本語が理解できて、パソコンを使える環境に生まれて、B.B.ライダーと言うゲームに出会えて。とんでもない幸運で、とてつもない幸福だと思ったし、今でも思う。
できることなら、このゲームが心の奥底に深々と突き刺さる誰かに、このゲームを出会わせてやりたい。
そう思っている。


話がズレるが、インボルグの過ごし方も難しいゲームだ。
ゴリッチュ作品の中でも衝撃度は髄一。最高傑作に挙げるファンも多い程の破壊力を秘めた作品だが…薦めてプレイさせるのは【B.B.ライダーの比じゃない】くらい難しい。
何故なら、このゲームを真に楽しむには【最低限】B.B.ライダーとZodiarc(ぞでぃあーくりんぐ)をプレイする必要があるからだ。
「B.B.ライダーってゲームを昔プレイして超面白くてマジ泣いた。知ってる人少ないかなーマイナーだし」みたいなことツイッターに書いてる人に、俺は言いたい。
【「何も言わずにインボルグまでプレイしろ」】。
たぶん俺以外にも言いたいゴリッチュ信者はいるだろう。
クソリプ以外の何物でもないから言わないが、ここで言う。
【「何も言わずにインボルグまでプレイしろ」】。
インボルグの過ごし方をクリアした時、結構な確率でそいつもB.B.ライダーで止まってる人に同じことを思う。
【「何も言わずにインボルグまでプレイしろ」】。
そして俺はこう思う。
【「その流れでゆうしゃのはなみちまでプレイしろ」】。

まぁそこまでは望まない。いや望むが。
だが心を熱くするようななにかに飢えているなら。
俺はB.B.ライダーをプレイしてみてほしい、と思っている。



そんな感じ。

あと別に感想は一つじゃないといけないなんてルールはないからいくつでも書いていいよ。
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