○プロローグ
この物語は、一人の吸血鬼の女性と、そのお世継ぎ候補の少年の物語でございます。
吸血鬼の名前はセレス=グラティエール様。吸血鬼一族の中でも特に強いお力をお持ちのお方です。
そして少年の名前は、竹内 透(たけうち とおる)様。若干14歳の、中学生男子でございます。
セレス様はとてもお美しいお方です。宵闇の中にあって尚映える黄金の髪と、名のある芸術家でさえ再現しきれない程完璧なプロポーションを持った、絶世の美女にございます。
一方竹内様も、男性ながらにお美しいお方です。憂いを纏ったような中性的な顔立ちと、日本人らしい艶のある黒髪、小柄ながらにしなやかな肢体……まさしく美少年という言葉が相応しいお方でございます。
ええ、しかしながらこのお二人、性格に少々灘がございまして。
セレス様は、傲慢でわがままで無知で無謀で粗野で乱暴で……そのくせ妙に庶民的で、そして何より、ショタコンでございます。
竹内様の方は、基本的には常識人なのでございますが、時折発せられる無慈悲な言動が、セレス様を悦ばせ……いえ、苦しめてしまうのでございます。
さて、そんなお二人がどのような物語を紡いでいくのか……早速御覧頂くとしましょう。
ああ、申し遅れました。ワタクシはセレス様の忠実なるしもべ、人型スライム娘のフラムと申します。以後、お見知り置きを。
では、改めまして……