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【"自己管理"という言葉】

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"自己管理"という言葉 





自己管理という日本語の響きが、とても印象にのこっている。

その言葉は竹内くんの言葉で、竹内君は帰国子女だった。



私は受験して私立の中学へ入ったので、

以前と全く環境が変わって、周りは医者の息子とか、親の企業の関係での帰国子女が珍しくなく、

竹内くんは小学校はアメリカで教育を受けていた。






それはすごくアメリカ的な考え方だなあ、と、特に当時の普通の日本人の中学生の子の感覚にはない響きがあった。


と、いうのも、その言葉は、生活の不摂生でよく遅刻するあるクラスメイトAくんに対しての言葉だったのだ!


(竹内くんと僕は仲が良い友達で授業中や休み時間よく会話していた)。




今思うと、"自己管理ができていない"


というのは、友達に対する言葉じゃないですね(笑)、そういう厳然とした視点というのが、アメリカの教育にあるのかも。




Aくんは、勉強しなくちゃいけないとを認識しているけど、

夜インターネットでエッチなゲームとかビデオとかを見る方法に詳しくなってしまったので

勉強がおろそかになってしまっている子だった。




もしかしたら、"自己管理"というのは、竹内くんの所属しているテニス部で顧問の先生がよく言っている言葉だったのかもしれない(その可能性が高い)。







当時の僕は、「遅刻しちゃいけない」とか。


「提出物を出さなくちゃいけない」系統の言葉は、聞き飽きていた!


そんなの当たり前だと思ったし、守れないクラスメイトが単に不摂生なだけだと思っていたけど、



・・・




竹内君は、部活の顧問の先生の言葉を、スッとクラスメイトのAくんに対してそのままアウト・プットしただけなのだろう、

竹内君は、とくにAくんを批判するわけでもなく、さげすむべきでもいなかった。




「あ、竹内君は自己管理できているからあれだけ勉強できるんだ」


とわかった瞬間だった。




「あ、Aくんが遅刻しているのはAくんがやりたくてやっている部分ではないんだ」



だとわかった。





「あ、別に竹内君は、"自己管理"、と言っているだけで」


「もし、Aくんが、Aくん自身を、管理した結果ああなっているのなら」、




・・・



「少なくとも竹内君は何も言わないのだろう」






「つまり、"自己管理"する方向性は別に夜起きている人だっていいし(定時制の学校が合うだろうけど)、

勉強する科目をみんなみたく全部じゃなくて自分だけ一つに絞ったりしてもいいし、

美術部の漫画家を目指している子みたいに勉強いっさいやめてそれに集中したっていいんだ」





と思って、私は結局その学校を自分の意思で退学してしまった(竹内君は笑った)。


学校をつづけた竹内君は大手の製薬会社で今もテニスを続けている。



21, 20

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