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戦闘狂時代メゼツ

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いつからだ? いつからこうなっちまった?

「メルタアアアアアアアアアアアア!!!!」
腹筋が引きちぎれようが両腕もがれようが、
そんなもんは関係ない! たたっ切って!
たたっ切って進むだけだ! 馬鹿親父!
「てめえ! メルタを! 絶対許さねえ!」

メゼツの大ぶりな刃は
ホロヴィズには届かない。

ここはミシュガルドの魔境デスターゼン

創星の折
魑魅魍魎が跋扈するミシュガルドの世界に、
降り立った十三異形神は惑星ニーテリアの
中枢である世界儀鋳型に働きかけ
そこに生きる生命のバッシュソウルと契約を
交わしこの大地にまともな理性のある生命が
蔓延ることを約束するのであった。

―――ただそれは不幸の始まりだった

十三変異形の各部をもってして
生命体安定をはかりしものたちの定め
それはそれぞれの神々の代理戦争であり
すべての生きとし生ける魔物たちは
こぞって自らの特質を先鋭化させていった。

貫くもの角種ニドキエル
「がっ!?」
メゼツのこめかみをかすめる大きなツノを持つ
その魔物は冷静に何度も立ち返って
メゼツにとどめを刺そうとする、が
「邪魔するな!」
鬼神もおののく大剣の一振りが
その角を通り過ぎ様に叩き折って砕いた。

だがそれは十三変異の一角に過ぎない
次々襲い来る角を持つもの達の果てること無き
衝動に甲皇国の機械兵たちはいともたやすく
粉砕されていく、砲兵たち、戦車にまで
及ぶ角の連なり連峰を切り結んで進めるのは
メゼツ一人をして他に無し。

「メゼツ坊ちゃんが前に進むぞ!
 復活した坊ちゃんを一人で行かせるな!
 ボーンダウ! なっ!?」

それは広がりし大きな膜としてあたり一面に
まとわりついた、動けず次々と息も出来ず
口の奥にまで自分とまとわりつく膜との境界
分からぬほどに責めくるうち
次々と甲皇国兵士は爆ぜて膜の表面に
引き延ばされその体に秘める内臓の一部始終が
膜の面に展開され鼓動を続け膜の一部となる
全きもの膜種ヘバリーゼ

「野郎ども! 後方から撃ち続けろ!
 俺一人でも親父を止める!
 メルタを取り返す! クソが!」

メゼツはヘバリーゼの群れが体に張り付くのを
甲皇国航空隊が次々と魔物の上空より投下した
焼夷弾の炎に飛び込んで焼き払い
自らの皮膚を焦がしながらニドキエル群の
契約変異種を相手に片手で剣をふるい
戦いを続ける
だが立ち込める空気は重く甲皇国軍人を
いぶり殺していく

「な、なんだあ!? け、煙に人が吞まれて
 あ、がっ!?」

大気を侵すものニーテリアを闇に満たすもの
大気循環の体現、煙種ガストローム

「ばかやろう! 煙は高いところに上る!
 身を伏せてロボットどもの火炎放射の
 サポートをしろ!」

ガストローム突破口はいくつもあった
甲皇国の主戦力ともなる戦闘機械鎧「竜破」
この機体は操縦者を密閉した空間で
戦闘時に代謝に合わせて酸素供給をするため
いかな毒ガスによる攻勢もはねのける
そして新規兵装としての火炎放射器は
歩兵の携行できるサイズをゆうに超え
戦車の比にならない機動力で
メゼツの行軍を補助するのには十分であった
たちまち業火がガストローム群を焼き払う
だが瘴気が増してひとかたまりの影となると
竜破をめがけて強靭な黒き竜巻が襲い来る

「おれに火炎放射を浴びせろ!
 はやくしやがれ! でくの坊!」

とっさに竜破の搭乗者はメゼツにめがけて
火炎放射を吹き付けるが、メゼツは
焼けこげることなく天高く掲げた大剣に
炎がまとわりついて赤熱の刃と化した
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これにおののいた暗闇の竜巻を斬りつけると
ガストロームの一軍の攻めは弱まり
随伴兵の火炎放射でも十分に善戦できる具合と
どうやら異形にも核となる指揮系統があると
知れてこの果て無き戦線にも光明が差す

「お前ら分かってんだろうな!?
 味方同士で足を引っ張るな!
 お前らは俺をぶっ放す大砲だ!
 俺は弾丸軌道でこいつらの群れの真ん中に
 ぶち込まれる!
 あとは周りから削いでいけ!
 おれはメルタのところにいく!」

「竜破射出機動車準備完了いつでも射出可能!
 メゼツの坊ちゃん! 落っこちないで
 くださいよ!」
「誰にもの言ってんだ!
 いくぞ竜破! 虫戦車は翼を畳んだなァ!?」
「竜破! 背に虫戦車! 胸に抱くは坊ちゃん!
 敵陣に特攻をかけます!」
「了解! 射出機起動! 衝撃に備えて下さい!」

巨大な撃鉄が引き上げられると射出用の薬莢に
強烈なインパクトを叩きこみ! 爆風ととも!
「オオオオオオオオオオオォォォォォ!!!」
竜破メゼツ虫戦車を
戦地の真ん中に打ち込んだ!
「虫戦車虫羽で滑空! 敵陣に突入しました!」
「あそこはまだ敵が動いてない
 うまくやってくれよメゼツ坊ちゃん!」
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戦線の至る所で砲撃がある中
敵陣の中でいっそう静かな地帯があり
そこに敵陣の本営があると踏んでの作戦行動だが

「メゼツ様! こちらに対して敵は反応なし!」
「先に降りてるぞ! あとで俺を拾え!」
「あ、メゼツ坊ちゃん!?」

メゼツが降り立った場所には
「なんだ? こりゃあ?」
まるで墓場の様に間隔をあけて佇む大岩があった。

「魔物で無いにしてもこいつは
 後続のやつらの邪魔になるなァ
 最悪迂回していくことになるってやつか?
 何にしても夜目が効かない中で
 こんな大岩にあたるのは避けたいよなっと」

視界を確保するために発光灯をつける
(安全はまだ確保できてねえ
 まあこの色なら下手に後続も来ねえだろう)
赤色の光がこうこうと周りの岩を照らしだすと
近場の岩の筋目が黄色く輝くのをみた。

「ん?」

刹那、メゼツはまばゆい光と共に
弾き飛ばされた。
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「敵陣で爆発を確認! どうなってる竜破!?」
「連絡が途絶えたということで
 確認しているところです」
「あ、虫戦車が発煙筒で! 赤色!?」
「なんだこの地響きは!?」

前線にいるものは慄いた、次々と大岩が
転がり進んでくる敵味方の区別なく体当たりし
至る所で爆轟あり戦場を一層色濃く染める
爆発したのち、黄色い光が次々と他の大岩に
宿ってまた転がり、加速していくほどに
対象を巻き込んで爆発を繰り返す。

触らぬものに祟りなし
4滅ぼすもの爆種ボンバーナー

左右を敵に抑えられ前方からは爆種による
自爆特攻となりこの状況は

「撤退を! このままでは全滅します!」
「いや、まて! 転がる奴らの中から信号が?
 メゼツ坊ちゃんだ! 走ってこっちに
 来ているぞ!」
「なんだって!? なんと言ってるんだ!?」
『全軍敵左翼に突撃! 突撃だ!』
「な、なにを!? だ、だが」

仮に撤退したとしても敵に追いかけられる限り
延々と味方は爆種の餌食になるだけだろう
だがメゼツはいつしか爆風を避けながら
爆種の先頭を切って走り出している。

「しかたあるまい! 全軍敵左翼に突撃!」

もてる兵力で生存をかけた一幕がはじまった
左翼に突撃がかかると途端に敵陣は
崩れ始めいかな魔物の群れと言えど
命は惜しいと見える。

メゼツは前線の指揮に走って戻り

「逃げる敵左翼を追い越せ! 全速前進!」

驚異的な体力と味方の行軍ペースを盛り立て
そのまま潰走をつづける敵左翼は
爆種の爆風にのまれ爆種は数を減らして
誘発誘爆を繰り返し敵の包囲を
甲皇国軍は突破した。

「はあはあ! 敵の大岩は
 敵軍を押しつぶしたのち
 坂を転がり落ちていきました」
「よし、お前らよくついてきたな!
 だがさっきの爆弾どもがいなくなったことで
 奥に控えてるやつらが向かってくるだろう
 迎え撃つぞ!」

その時、この世のものとも思えない咆哮が
あたりを染めた。

これに呼応して数多くの獣の瞳が
夜目をきかせて目覚める。
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戦地に駆り出された地獄の番犬
5吠えるもの獣種グラビースト



「な、なんだこの鳴き声は!?」

「クゥウオォォォォォン!!!」
吠えるものとして敵陣を蹂躙するその
するどい牙の獣の猛攻に対し
甲皇国軍は為す術を砲火による制圧に掛けるが
当然継戦能力は
戦闘を経るごとに下がっていく

「陣形を立て直す間がない!
 撃ちかたやめ! 同士討ちになるぞ!」

「フーハー! よく見てろ!
 犬っころの首をとってきてやるよ!」

そういった中で
唯一の希望ともいえる
前線での戦いを指揮するメゼツと
手に剣を持った甲皇国軍兵士
あるいは傭兵たちが
獣の群れの咆哮に
剣を武器を突き立て得物で
一つ二つと首を上げる

「こいつらは野良のモンスターどもと
 そんなには変わらねえ!
 おおかたさっきのやつらがとり逃した
 獲物にありつけるとおもって来たんだろう、が!」

「「我ら甲皇国軍人の敵ではない!」」

戦線維持する働きとなる。

「群れてくるぞ、囲まれるな!
 槍を持ってる奴はやりぶすまを作れ!
 銃剣持ってる奴も同様に、誰も孤立するなよ!」

だが敵の数が数なので
その量を圧倒することはかなわない
しかし爆種ボンバーナーが爆発した
あとの戦線のため
その恐るべき獣の牙であっても
爆種ののち変化した地表面によって
身をひそめる塹壕穴がわりが多くあり
ボンバーナー自体の破片も利用して
地の利を得てメゼツたちは攻勢に出て戦い抜く

「こいつはいい! 簡易な塹壕掘りってやつです!
 遮蔽物も十分、狙撃手も砲手も定位置につきました!」

「よっしゃ! 野郎ども一旦引け!
 俺と鍛えられた奴らは前方の塹壕掘りに行く!
 射手ども総揃いで!
 射線に被らない位置から敵に銃弾を浴びせてやれ!」

「メゼツ坊ちゃんが無事に敵前の塹壕に入った!
 撃ちかた始めええええ!!!!!!」

一斉砲火の合間にバタバタと獣は地に倒れて
次々に脚をもつれさせて甲高い一鳴きが
数重なって群れなして作られし獣の土塁
敵陣の勢いが弱まった。

「おし! 撃ちかたご苦労!
 一気に切り込むぞぉ!」

「うおおおおおおおおおお!」

メゼツは敵のすきをぬって
より高く掲げた大振りの刃をして突き進む
陣形は敵の陣を分断する中央突破の疾風陣形!

「フウォォオオオオオオン!」

「あの丘で遠吠えしてやがるのが
 こいつらの頭ってとこだな!
 さっきのやつらよりデカい獣がくるが
 陣形は崩さず俺についてこい!」

「イエッサー!」

グラビーストの指揮系統となる
いっそう大きな獣を打ち取れば
メゼツの勝利となるがいかに!?

「おおっと、竜破隊と虫戦車の航空部隊が来たか!
 こいつらは地を這うやからだからな!
 空がお留守なら攻めれるか!」

強大な獣たちを前にした
緊張の中
敵指揮系統をおさえるために
相手の獣をとらえるため
パワードスーツである
竜破隊は手に船の錨をむすぶ鎖を手に
空を飛ぶ虫戦車との共闘となる。

「ちっ! さすがに大物だけはある!
 牙と爪に注意しろ!
 この攻めを受け続けたら
 竜破だろうと虫戦車だろうと
 耐えきれねえぞ!」

グラビーストの精鋭種はハイエナと呼ばれるそれを
容易に越えた俊敏性と長い前足の爪を持ち
それでいて灰色熊の何倍もの体躯をして
攻勢をかけてくる。
 メゼツは大剣を振りぬいて敵に幾たびもの
剣戟を加えてなんとか一体打ち倒したものの
敵将を前にしてまだ数百以上数えるほどこの巨躯の獣が
待ち構えている、少しでも油断すれば周りを取り囲み始めた
ハイエナともいえるやからに食い物にされるだろう。

「こちら竜破隊!
 虫戦車との共同作戦を取ります!
 メゼツ隊は敵の大型獣から離れて下さい!」

「おし! てめえらグラサンはしたか!?
 閃光弾!」

はしる閃光に「キャン!」と甲高い鳴き声と
唸り声をして慌てふためく獣、それをしり目に
メゼツの隊はグラサンで閃光の中
弱った味方を抱えて爆種の破片が作った岩場に控える

「閃光弾にて敵の大型獣を補足!
 作戦行動に移ります!」

虫戦車が空から投網をかけ
複数の獣の動きを奪いさらに上空から鉄杭をうって
がんじがらめにして
さらに竜破隊の結ばれた鎖によって
獣の俊敏性は削がれた!

「しめたぞ! 槍持て槍!
 敵の急所を突き殺せ!」

 メゼツの掛け声ととも駆け出した一隊は
大型の獣の最後の抵抗を受けても
退くことは無く敵の体に駆け上がって
槍で突き、剣で刺し、拳銃で撃ち抜く。

かくいうメゼツは投網の掛かっていない
大型獣相手に引くことなく切り込んでいく
相手の戦力が減ったとあれば、
あとは獣の群れを制し、敵の指揮系統を叩くのみ!

「ガガガガガガガッガガガガガガガガアガガ!」

それは多脚も多脚、ムカデ走行車両であり
数多くの砲塔と荷台の上に戦線で孤立していた
兵たちをのせてさながら唯一の補給線!
数多くの声援に迎えられ郷愁の歌ととも強襲!

「タンクビート! 来たか!」
「メゼツ坊ちゃん! このまま敵陣を
 かき乱します! タンクビートに味方の兵を!」
「分かった!」

重装甲ならば獣の牙を通さないとあれば
蟲陸戦車の鋼鉄のダンゴムシ級とムカデ級による
獣の群れの撃破が叶い敵の陣中をえぐりとる
メゼツ隊の圧倒する力を今示すときがきた!

「敵が逃亡していきます!
 あっ! あのデカ物は!?」
「でかしたぞ! オレが仕留める!
 お前らは他のやつらの退路を確保してやれ!」

「ガガガガガガガッガガガガガガガガアガガ!」

デカ物は先ほどの大型獣と一緒に駆け抜けて
一旦仲間とともに散り散りになろうとしていたが
メゼツたちはこれを逃さなかった!

「尻尾巻いて逃げんのか!」

勢いに任せて竜破との連携によって
大半の獣を駆り立てると
残された獣の咆哮が牙と爪で迫ってくる!

「見せてくれたなア! その吠え面ア!」

その黒い獣の渾身の多段攻撃も
勢いのついたメゼツを止めることはできない
グラビーストの最も脅威とされる指揮系統に

「グアアアアアオオオオオ!!!!!」

メゼツの大ぶりの刃が振りぬかれ

「次ぃぃぃぃぃぃ!!!!」

敵将の首がまたも挙がった
かくて統率の取れない
獣種はメゼツ隊の脅威ではなくなった。

血しぶき血だまりがはねて、
死屍累々の中で甲皇国軍人たちは
メゼツは

「雨?」
「坊ちゃん、あれは」
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6遊泳せしもの水棲種スプラッシャア

「水族館か、ここは?」

獣の一隊をなんとかこなした一隊の目の前に
現れた景色、宙に浮かぶ魚
魚が宙に浮かぶものなのか?
この圧倒される水棲種たち
また宙に浮かぶ泡が巨大な水の球と知れたのち
その水の球の中に飛び込んだ水棲種スプラッシャアは
地上に水の球と共に落ちて地上の隊を混乱させる。

「くそ! 足場が悪くなる!
 射手は塹壕から出ろ!
 溺れ死ぬぞ!」

魚の影が地表をぬうように埋め尽くし
月明かりを散乱させる空の浮き球は
突如として魚群と共に降り注ぎ
兵士の足場を奪っていく

「うわああ!」
「うろたえるな!
 狙撃手はよく狙って撃て
 あいてはたかが魚だ!」

この突然の空からの攻撃に対して
火炎放射など火砲による攻撃は相手が
水の中にいるため決して有効とはいえず
手立てを考える必要があった。

「援軍!?」「助かった! これで」

ヴェルトロを中心とした航空隊と
虫戦車の連携により宙を遊泳する水棲種を
対戦車機関砲にて
追い落とす。

「無線がつながってます!」
「メゼツの坊ちゃん、親子喧嘩は大概に
 してもらいたいものだな」
「やかましい! 今頃になって出てきやがって」

また水球を先に撃墜することによって
地上の部隊めがけて落ちてくることを避けられた。

「落ちてきた魚から活きじめにしてやれ!」

空での攻撃により地上に追い落とされた数多くの
水棲種たちに対して地上軍は落ちた位置めがけて
断続的に攻撃を仕掛けることが可能になった。

「またデカいのです! メゼツの坊ちゃん!」
「竜破はあったまってんだろうな?!
 銛を打ち込んでやれや!」

竜破が捕鯨砲を兵装として対モンスター用に
利用しこれにより遊泳し暴れ狂う
敵水棲種を地上に引き留めて
地上の戦車隊が砲撃で撃破していく。

「敵水棲種、泥の中を泳いできます!」
「機関砲で狙って撃て!
 軽戦車なりあしまわりは極地仕様に
 とにかく追うな! 追わせろだ!」

引き付けて撃つ、ただこれだけのことに
地上に降りて視界を失った水棲種はたやすく乗ってきた


この上に空への攻撃を高射砲で行っていたが
相手のうろこに弾けて距離もあり有効打とは
なりにくい中でこの時を待っていたとばかりに

「メゼツの坊ちゃん! 例のブツがやっとこ!」
「おう! 待ってたぞ! ぶち込んでやれ!」

多脚戦車がその脚を器用に動かして車体を傾けて
高射角を狙いすまして撃ち抜くことが可能となり
数多くの多脚戦車が
戦車砲の一撃一撃が巨大水棲種を一匹また一匹と
追い落としていく、水棲種自体が宙を浮かぶこと
そのものにチカラの大半を割いてるのもあって
余裕をもってこれを攻撃することも出来た
敵の群れの数減らしに躍起になっていた時
敵の中に巨大なサメを見た。

「マジかよ」

この水棲種の鮫肌は多脚戦車の戦車砲を受けても
それを反らして貫徹させない堅牢さがある。

「敵が! 飛び込んできます! うあああ!?」

接近するたびにサメは甲皇国の地上部隊を
飲み込むようにかみ砕いていくため
散り散りとなった隊を次はまだ息のある
水棲種の魚が狙い丸のみにするという地獄の様相
一刻も早く敵指揮系統であろうサメを
打ち取らねばならぬという時、
鍛え上げられたメゼツの大剣が天に掲げられる。

「見えるか? 腹減ってんだろう?」

メゼツは獣種の大将首を突き上げて
その脳漿を浴びてすっくと水棲種の死骸の山に
立っていた。
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「ギシィィィシャアアアアァァアァァク!!!」

これを挑発と受け取ったか大ザメが
メゼツめがけて上空から突進してくる!
これに合わせてメゼツは

「毎度毎度、分かりやすくていいなあ!
 お前らはあ!!」

メゼツの大剣に竜破の火炎放射が巻き付いて
剣の魔紋に熱が流れる赤熱の刃としたとき
大ザメの突進をすんでですれ違うように
大剣を振りぬき大きな傷跡を刻み付けた!
「シャアアアアアボッォォォックゥゥゥゥ!?!?」
「いまだ!」

地上で捕鯨砲を構える竜破隊が
大ザメの傷口にいくつも銛を打ち込むと
大ザメは地をのたうち回るように
竜破を引きずるが、再び宙を舞うことなく
地上の泥沼をはねて傷口から大量の血をあふれさせる!

これを虫戦車や虫陸戦車で動きをとどめて
多脚戦車の援護射撃などもありのたうち回るも
再び宙に上がれるだけの余裕が無い

メゼツの狙いすました太刀が
大ザメの傷口に再び突き立てられ!
「くたばれ!」
えぐり込み!
「くるしめ!」
引き抜き切って!
「ぶちまけろ!」
血しぶき!
「ギィヤャシャアァァアクゥゥゥゥ!!?!??!」」
敵水棲種の指揮系統は動きを止め
水棲種たちは餌場から離れていくように
散り散りとなった。

宙を舞う水球が霧消して霧となって立ち込める中

「クソほどフィッシュフライが食えるな」
「ハハハ! ハエがたかってますぜ?
 食えたもんじゃねえですよ! ハハハ!」

ブーン

「・・・・・・冗談じゃねえぞ」

バババババッババババババババババババババ!

水棲種のつくった泥の水たまりの中
向かい来る虫との戦いが始まった!
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7蝕むもの蟲種デバグバグア


「クソ! ぬかるみに誘い込みやがったな?!」
「さっきの水棲種の水源がここってわけですね!」

地帯全体が湿地帯、中よりあふれ出るものあり
場所取りに湿地を抜けようとするが
蟲が湧く中にほおりこまれた甲皇国軍

「やつらに餌をせっせとやってたって
 ことか、はめられたな」
「連中とこっちの虫、どっちが強いかですね」

かの虫は虫戦車や多脚戦車に対して有効な
毒を持つ! ゆえに――――――

「相手の巨大甲虫が止まらねえ!
 多脚戦車は動かねえのか!?」
「だめです! さっきのサソリにやられました!
 他にもハサミムシみたいのに
 つぎつぎと襲われて!」

毒針麻痺針に刺されては倒れいく味方
虫の羽音が襲い来る度に脅威にさらされる

「羽虫を水に潜ってやりすごすのも!?」
「水の中にも虫がいやがる!
 こっちの陸戦虫戦車と多脚戦車に
 興奮剤でも打ち込んで無理にでも動かすんだ!」
「イエッサー!」

大型の虫はこちらの竜破と虫戦車
および多脚戦車の力をもって抑えられるが
羽虫の群れに集られることで受ける損害は大きく
攻略の糸口を模索すると

「!?」

松明を持ってる兵から羽虫に襲われ
上手く誘導できないことが多かったが
要するに道の先に松明を投げれば
そっちに虫を誘導できるという具合と知れれば?

「まともに戦える奴らから順に
 あっちの開けたところにあつまれ!」
「な、なにを!? 虫の餌食ですぜ!」
「――――――キャンプファイヤーだ」
松明を片手にしたメゼツを中心に
次々と薪をくべ燃料をぶちまけて
火を焚く
98, 97

  

「こ、こいつは!?」
「ァー魚は食いそこなったが
 クソ虫どもなら黒焼きで食えるな」

こうこうとたいた火に羽虫が飛び込むと知れて
さながら火の番をするようにこれを囲って
羽虫を松明代わりの火で追いやるなどし
また大型の虫が火の回りを警戒してにじり寄るを
狙い撃つなども可能となったため戦闘の導線が

「こいつはいい! 敵がどこから来るのか
 一発ですぜ!」

火の番をしていれば
対戦車ライフルや火砲で有効打を得る
安定してきたところに
あたりに糸のようなものが巻き散らかされる。

「来やがったな」

敵の本体となる
虫の女王ともいえる女王蟻と大蜘蛛の混成体
大きなドクロを持つ指揮系統束ねるもの
巨大な蜘蛛の巣を陣として
引き連れた虫を統率して
防衛陣地を構築しようかという勢いあり!

「どどど、どういうことでぇ!?」
「あのデカ虫、周りの厄介なのが片付くまで
 控えてやがったってわけだ
 おおかたココに巣でも作ろうって
 考えてたのンかは知らねえけどよ」

蜘蛛の糸ですぐさま見えない糸が取り囲むが
これをメゼツが大剣を地にどっと突き立てて
土埃で相手の蜘蛛の糸が
見えるようになる

「からめとられるなよ!
 餌になりたくなきゃ
 どんどんと焼いていけ!」
「竜破隊及び随伴兵は火炎放射器を!」

クモの糸掻い潜って
糸の陣地を火で焚いて崩す仲間たちの助けも借りて
捉えられた敵味方の遺骸問わず踏み台にして
進み今!
「キィヤアアアスゥシャアアアア!!!!」
「図体だけか!? のろまめ!」
一撃を!

「タネが知れちまえばなんてことはねえ
 連中もミシュガルドのモンスターと
 そこまで大差ねえってことだ」

とんと切り落とされた女王の首

「いやいやいや、坊ちゃんがいなかったら今頃」
「いつまでおもりさせるつもりだ?
 俺は先に進まにゃなんねえんだ!」

虫種デバグバグアの全体の動きを止めることとなったが
足場がいささかぬかるみより変わりつつあった。

「なんだ? 腐って、きのこか?」

そう、この森林地帯自体が敵だったのだ。
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8さかえしもの木種ツリーダイアグラム


はびこる植物、歩く植物が数多くおり
あたまキャベツの敵が溢れてもいる
力溢れ
魔物の遺骸から急成長する捕食する植物
連中はあらかじめ仲間に種を植え付けていた?
敵は競合しながら人を狩っている?
仲間の死体さえも自分たちの道具として使うとある。
だがメゼツもまた敵を使って勝利をおさめてきた
メゼツの大剣で大木の魔物を切り伏せながら
進む甲皇国軍。

「いいか、消耗は避けたいが
 敵が動かねえってんなら
 こっちから仕掛けていくぞ」
「了解!」

木種ツリーダイアグラムの森を攻めるため
メゼツは地上の部隊を二つにわけた
外から森を包囲する兵と
中央突破して木種の核を打たんとするメゼツ隊だ
何故慎重に二つの隊に分けたか?
それはメゼツはこの森を焼くつもりだからだ。

(奴らがしけってなきゃいいけどな)

さらに甲皇国航空隊が上空から枯葉剤などを
散布して木種の繁栄の勢いを削ぐ形をとっている。
※対アルフヘイムにおいて作戦の一つとして
 数えられていたが両国の戦略資源たる
 精霊樹に影響を及ぼすため
 扱いにくかったという。

メゼツ隊は既にガスマスクなどをして
突き進む手合いだ。

「静かだな」

が木種もその成長と進化によって対応を強める
植物に寄生する生き物から
至る所で繁栄する木種ツリーダイアグラム

「なんだ!? 枝か! 木の葉!?」
「総員退避ぃぃ!!!」

木の枝は槍、木の葉は刃
襲い来る枝葉の数を見て
蔦のムチなどで武器を打ち払われるものもある。

だがそれをしのげば敵は樹木
切り倒せないこともない

「連中、距離を取ってるな
 枝やツタだけ伸ばして仕掛けてきやがる」
「キリがありませんね」

急成長のため逆に脆くもあるがその分だけ
俊敏に動く敵を確実に倒すため
メゼツの照明弾と発煙筒の合図と共に
森の外にいる火炎放射竜破隊が火を放つ
メゼツの無事を祈りながら。

メゼツは燃える森の中、敵の中枢を探す

「――――――よう、元気そうだな」

敵の子分が遂に耐えきれず現れた
敵は地から大きな花を出して攻撃をし
あるいは火を消すためのガスを噴出する
中くらいの花を至る所にばらまく
分岐した数多くの若い花を使って瘴気を放つ
ならばとメゼツは指揮系統を撃つために
松明を片手に持ち若い花を焼き付ければ
「イアビャラアアアアアアアア!」
悲鳴のような音を立てる
これに仲間もさく裂弾を撃ち込む具合となる。

「熱くてかなわんな、早いこと退避壕に入っとけや」
「メゼツ坊ちゃん!? 手筈では全員退避では!?」
「――――――ここいらで確実に仕留めときたいんでな」

メゼツは本体を目指して次々と
敵の根を切り結んで進みツタをかわし
転がり出でた先で巨大な花があたり一面にツタと
根を伸ばして自ら水を吸収し燃え盛る炎を耐え忍ぼうと
してる様を見た。

「よう、一人だけプール付きの別荘たア
 ちっと成金がすぎるんじゃあねえのお?」

花びらを振るわせて臭気漂う鼻孔を焼く
ガスを吹き付けようとするが、すかさずガスマスクをした
メゼツは追撃のツタといばらのムチを二激三激と
切り結び、縛りを与えんとする根をたたっ切って

自らの剣の切れ込みに装填する特殊励起弾にて!

「特製の除草剤だ! 食らいやがれ!」

木種指揮系統である森の主にこれを叩き込み
毛細管に流れゆく除草成分が木種全体に波及して
花びらの発する臭気に乗って拡散していく!
木種の成長を上回る火の熱と除草成分は!
噴き上げる火花ととも急成長した森は!
色を失い枯れ果てていく!
かの森は自らの成長に耐えきれず灰になったのだ!

「火の手を止めろ!
 緑が灰に変わった!
 枯葉剤の効果があったんだ!」

森を周囲から焼き払おうとしていた甲皇国分隊は
敵が森とともに朽ちたと把握して

「散水車で鎮火して生存者を!」

「おせーよ」
102, 101

  

ガスマスクをした屈強の甲皇国の戦士達は
大剣を肩にしたメゼツととも森からいち早く抜け出していた。

「ぼっちゃーん!!!」

「うわやめろちかづくな」

メゼツたちは後続の者とともにさらに敵地、奥に進む。

「にしてもさっきから敵の気配が消えたな」
「ほんとですね死体も何もない、これは?」

地中から迫る敵、木種の生き残りか?

「あぶねえ!」

触種の主は全てを奪う
一瞬にしてあたりを埋め尽くし
一挙に距離を詰め滅びつくさんとするもの
104, 103

  

9奪うもの触種オクトパーフェクト



「またうねうねか! 何回目だ! どういう趣味だ!?」
「ローパーの亜種でしょうか?! いやこの触手は!?」

吸盤が甲皇国軍人を次々と吸いつけて
地中に引き込んでいく様!

「「「タコかああああああ!!!????」」」

とにかく助けよう! 襲い来る触手の吸盤!

これを剣や武器を携えた甲皇国の戦士達が
戦い抜くのだが
銃声が響く中
メゼツは咄嗟の攻撃と触手の位置から
泥の中灰の底に
その中心にあるものを知って

(読みが当たってくれよ!)

触手と切り結びながら敵の本体の中心を
はかって地中に剣を突き立てると
敵は地よりせり出して叫び声と共に
「ジビチィエエエエxッェェェルルルルルゥゥゥ!!」

三十を越える触手が萎えて地に伏する

「こ、こいつが触手の本体!?」
「だな、よく見てろよ?」

攻撃の手を止めるには本体を叩くしかない
メゼツは触手一本一本から計測した正確な
位置に目印を残す戦いで

「砲兵! 目印めがけてぶちかませ!」
「アイサー!!!」

燃ゆる砲弾! 萎える触手!

この戦法が効を奏したことから
敵の触手の位置を味方の戦士達が把握して
触手を引き付けてはその中心を割り出し
その部分に矢で照明弾や発煙筒を打ち込んで
そらからの爆撃で的確に本体を撃滅する
対戦車機関砲のついた戦闘機も攻撃し!

「あっぶねええ! ヴェルトロのやつらめ!」

この援護射撃に前線が呼応し
前進していく

「オレタチはマーキングしてまわる
 下手してヴェルトロに撃たれるなよ!」

この全体を統括している敵を戦闘を継続しながら探すと

――――――ヒュンヒュン

「ちくしょう! なんだ!?」
あたりに散らばったのは、甲皇国軍人の首だった
「う、うわ、こ、こいつ!?」
手当たり次第にもいでは投げ
敵味方関係なく質量を伴った擲弾にしてこちらの軍に
抵抗を示す触種の群れ!

「竜破隊! 盾になれ! 虫陸戦車も同様に!
 マーキングは継続! 前進をとめるな!」
「エイサー!!!」

この戦いを続けて戦線をまとめあげ
敵本体を求めて探していくと
敵がより一層触手で守りを固めている
大沼の中に触種指揮系統を見つけ出した
十本の巨大な触手に錫杖を持ちて
ありとあらゆる触種たちを統率するその存在を

「――――――よくもやってくれたなあ」

メゼツは勇ましく虫戦車の抱えている
竜破の胸元につかまり低空から
「チッ!」
まま敵の錫杖振り回す触手をかわしては
大剣で斬り結び!
「シィ!」
錫杖のひとつひとつも叩き切り
中心の大きな頭に剣を突き立て着地すると
この化物の眉間に剣を振り上げおろして
「血ィ!」
つきたてて次々と体表面の発色が変わり
のたうち回る触手にも確実に相手の中心を
「血ィィィィ!!!!!」
「ドグェッシィィィシャアアアアア!!!!!」
大剣でえぐって墨しぶきで真っ黒になったメゼツの姿!
なおも食いしばり戦いの喜びの中にあり!
106, 105

  

「ペッ! いそクセエ!」

見事触種敵中枢を絶命させるに至った!

「真っ黒じゃあないすか、男前に祟りますぜ!」
ごわごわのウエスでグシグシと周りの末端兵からも洗礼を受けるが
「んなことはいいんだよ!」
バケツ持ちから水かっさらって頭から浴びる。

見開いた眼孔にうつったのは、

そういえばろくに休みも取れてねえから、どいつもこいつも
目の下にクマ作って白い歯みせてヘラヘラしてる。

「休んでる暇はねえぞ」
「ハイッサァー!!!」

メゼツが率いる甲皇国軍の隊列は
縦に伸び敵の残党に晒され
消耗戦を繰り広げることとなる中
新たなるてきの羽ばたきの音
かなりの大きさの敵が向かいくるを意味する。

「――――――うまくやれよ、ヴェルトロ」
108, 107

  

10はばたくもの翼種フライバナクワウェ


翼が宙をきり地上にある兵士たちを端々から
奪い去っていく甲皇国軍は空からの脅威に
晒されていた

依然制空権を掌握できず
敵の数を
闇の中把握できずに
こちらの微妙な音を狙いに来るようでもあるが
こうもりとはちがう鳥?

「避けろォ!」

いやそれは
巨大な翼種、はばたくものフライバナクワウェ!
メゼツの甲皇国軍の部隊は敵の攻勢により
散り散りになり空の脅威と地上の残党によって
混乱は必至であった、敵の分断作戦ともいえる!

「お前ら! 穴でも掘って隠れてろ!」
「め、メゼツの坊ちゃん! いくらなんでも空は飛べんでしょう?!」
「うるせええ! 文句はヴェルトロのやつにツケろ!」

再び
メゼツは虫戦車と竜破連携に乗り
空での戦い
ヴェルトロの航空編隊に加わり
翼種を撃つ、虫戦車隊含め新式戦闘機による
機関砲の雨あられが翼種をうつが

「ヴェルトロ! いつまで時間掛けてやがる!?」
『持ち場に戻れ! メゼツ! お前の世話まで焼けん!』
「ンだと!?」

機関砲を弾く個体を把握した戦闘機群は
指揮系統である鋼鉄の翼との戦いとなり
キリモミ飛行で地面すれすれを回避しながら
機体の外装がはちきれんばかりの音を立てて
暗闇の中、照明弾と曳光弾で照らされた敵の影だけが頼り

気付いた時には竜破と虫戦車は敵に捕捉され
不時着を余儀なくされた。

「言ってるそばから、仕事を増やしてくれる!
 とんだ王子様だな!」

その時!
ヴェルトロの機体の翼に衝撃が走る、やられたか!?

「!?」「よぉ、じゃまするぜ」

メゼツはヴェルトロの機体の上につかまっているものの
敵の本体は
鋼鉄の翼で体当たりを繰り返してくる。
ヴェルトロの高機動戦闘にも慣らしてのこと
追尾してくる相手を振り切れない!

「くそ! とんだお荷物だ!」
「くそ! 酸素マスクがあって助かったぜ!」

また小型翼種たちが特攻攻撃により
ヴェルトロ隊の戦闘機のプロペラや翼を
破壊して撃破してくる。

『翼端をやられました! 編隊組めません! 離脱します!』
『よくやってくれた! 後方支援に回ってくれ!』

航空機よりも虫戦車の生き残りが多いとなる
戦闘機は虫戦車と比較して繊細なところがあるらしい

「大型翼種どもめ! この闇夜の中! よくもやってくれたな!」

だが時は十分に稼げた
空の翼種をヴェルトロの編隊にひきつけた
あたりで空の翼種に対し地上の
多脚戦車の強力な戦車砲が火を噴く!

「ありゃあ! 甲家と丁家のか!?」

続けざま地上の高射砲が仰角に弾を速射し
銀翼の翼の主ごと翼種たちに大打撃を与えた!

『甲皇国ここにあり! 丙家の窮地に駆けつけたぞ!』

大量の翼種が空から落ち
また地上の投光器によって姿を明らかにされた
小型翼種はライフルの格好の的ともなり
ヴェルトロの体を張った囮作戦は十二分に効を奏した!

「ハハハ! ヴェルトロやるじゃねえか!」
「落ちてくれるなよメゼツ! お前の捜索に付き合うのは御免だ!」

鋼鉄の翼種にも地上の砲の威力により
ハガネの翼の一部に隙間をあけて
勢いを弱めることが出来ていた

ヴェルトロの機体の燃料も限界に近付きつつあり
今回の攻勢が終わったらば
一度戦線を離脱する予定であったが
敵の本体を倒すことは
確実とし

「お前だけは堕とさせてもらうぞ! 鋼鉄の翼種!」
「ヒュー!! いいねえ!」

ヴェルトロの翼の上にあるメゼツは
鋼鉄の翼種にとどめを刺さんと
とびかかり様、大剣で貫いて
そのままきりもみ急降下していくところで
戦闘を続けるメゼツ

「ば、バカな!? くそ!『メゼツ! そいつから離れろ!』」

指揮系統翼種は鋼鉄の翼をメゼツにもがれかけながら
道連れにしてやるとばかりに地上に
メゼツを叩きつけんとするが!

『メゼツ!』
「ヴェルトロ! 信じてたぜ!」

これをヴェルトロの機がすんでのところで
メゼツを乗せたはいいものの
そのまま鋼鉄の翼に道連れにされて
地上の沼地に制御を失ったまま突っ込んでいく!

衝撃! の! のち!
鼻をつく刺激臭のただ中に晒された。
110, 109

  

11溶けゆくもの液種ゲルボブロブ

10
とけゆく海
かの生物は各種の背に乗り生息分布を広めた
かの生物は単細胞生物とも
じわじわと生息分布を広げていた
酸性の液で相手に溶け込む力を持つ
メゼツの部隊、負傷兵たちの負傷箇所に
正体不明のねばつく酸性の浸食部があることが
多々報告され、また治療にあたったものも
負傷兵の吐しゃ物や体液に晒された結果
この酸性の生物に汚染されたという具合で
衛生兵が管理するエリアは隔離処置がされ
死体は全て焼却処分されるという具合になった。

――――――「ちっ」

メゼツが対しているこの酸の海こそが
本体であるとすれば
この問題の解消に使えるかもしれない

「この色、酸性の恐らく液種と呼ばれている
 異形種だ、メゼツ、酸液の中に落ちるなよ!」

ヴェルトロの隊が数多くの負傷兵を後方に
おくる中でその病魔の原因追及も同時に
行わなければならないと考えていた。

「どうやらヴェルトロ、翼種のやろうに
 最後に謀られたみてえだな」
「――――――むしろ好都合だとは思わんのか?」

ヴェルトロは不時着した地点がゲルボブロブの
中心であることを理解し、ゲルボブロブ自体が
酸に対する中和抗体を持ってはいないかと
衛生兵が考えてることを汲んで
自らが持つ医療キットの注射器の中に
ゲルボブロブの核にあるであろう
中和抗体を手に入れれる機会だと

「何をする気だヴェルトロ?」
「これは例のスライム病の根源だ
 もしこいつの核に自らの酸液に耐える
 中和抗体があるなら」
「――――――救える、のか」

メゼツは入手のためには身を張って
仲間を助けるつもりである。

「ヴェルトロ、よく縄ふんじばって待ってろよ」
「間違っても酸液の海に落ちるなよ
 酸に焼かれてまで引き上げられる力はない」

縄を引き結び目が良くなされてるのを確かめ
メゼツは切り抜きの太刀を作り出す装填具
執刀励起弾を大剣の切れ込みに装着する
「切り抜きの太刀」
相手の部位を切り取る特殊な魔素が込められた
装填具を使えば大剣の刃先を鋭く
長くし酸化からも耐えられる。

「さてと、ん!?」
「動き出したか!」

すでに沼に沈んだ鋼鉄の翼の次に
ヴェルトロの機に対してゲルボブロブ
中枢眷属からの酸液の噴射を受けて
ついに酸性の沼に引き込まれようというところ

「くっ! これ以上は無理だ!」
「んなことわぁってるよ!
 機体に縄ふんじばってるんだからな!」

意を決してメゼツは敵の中枢に飛び込む

「切り抜きの!」
敵は酸液に潜って避けようとするが!
「太刀!」
敵の核を切り抜いた!
元より酸液の中では自己を維持するのでやっと
ゲルボブロブ変異眷属はそのようなものだったので
中でも浮き出してる核の部分は見分けやすかった。

「おし! これで!」

もって敵の攻勢は止まり
自らの酸液で指揮系統中枢は瓦解する

「いよっと!」

安全な位置にメゼツが飛びのいて

「妙に無駄に飛ぶと思えば
 縄を枯れ木の枝に結わえていたのか」

ヴェルトロの縄を引く手で
ちょうど滑車の様にメゼツの体は支えられている

「こうすりゃ安全だと思ったわけだが」

ところどころ酸に焼かれてる中で
持ち出した核を見やったヴェルトロは

「知り合いの衛生兵が喜ぶだろう」

ヴェルトロの注射器によって
中和抗体を取り出すことに成功した

「っつ!?」
「ゲル状の浮きが!? 崩れるのか!?」

だが酸液の海は細胞の弾力を失い
徐々にヴェルトロの機体と
鋼鉄の翼を飲み込もうとしている。

「ヴェルトロ! 確かお前の機体は!」
「分かっている! シートの射出装置を利用するぞ!」

脱出の策をすんでのところで
考え付いた二人は

「おしシートベルトは完璧だな!
 おれは縄でガチガチだぜ! 乾いた大福みてえだな!」
「あまり寄るな! アホがうつる!」

コックピットシートの緊急射出装置を
作動させ同時に機体の残弾を爆破して
パラシュートに爆発力を受け
天高く舞い上がった二人は
沈みゆくヴェルトロの機体より脱出した。

「――――――よく戦ってくれた」
敬礼

こうしてメゼツは伝令により
ゲルボブロブ抗体を得たと部隊に伝え
後方の隊に
この中和抗体を届けることが出来た。

「お前とはここでお別れだな」
「総司令によろしく伝えてくれ
 迷子の捜索はもうこりごりだと」
「言うねえ」

がっちり手を握ってからヴェルトロを送り出すと

メゼツはなおも進軍を続ける
負傷兵の命が長らえる術さえも
戦闘の中でその手につかめるのならなおさら
ただ眼前には
ゲルボブロブの酸性の海が残されたまま
これを迂回して進むこととなった先には

「やっとこ山までこれたなデスターゼン」

巨大な鉱山があった。

「メゼツ坊ちゃん! ま、また岩みたいのが!」
「岩、あのクロビカリが岩に見えるって?」

その絶対的なハガネは全てのものに対して
絶対防衛を貫いた

「――――――空からいけりゃあ楽だったのにな」
112, 111

  

12はばむもの鉱種ハガネーロビニ

11
メゼツの隊は液種ゲルボブロブの酸の沼を
避けるために坂を上がっていた。
その坂の登り切った先にハガネーロビニの眷属がいた
圧倒的な防御力を誇り
こちらの砲撃も射撃もまともに効き目が無いが
航空隊の爆撃ならばかろうじて
ハガネーロビニを打ち取ることが出来るのだが
その数が数であった

「戦略級爆撃機は出払ってる
 攻撃機ってのも翼種の時の戦いで数も限られてる
 と来たら」

弾数の制限のある爆弾を効率よく使うには
多勢に無勢では焼け石に水
ハガネの甲殻に鉄のはさみを持つ群体が
迫りくる

「目を叩け! 少しはマシになる!」
「総員! 長物で打ち払うぞ!
 ハルバートやバルディッシュを持て!」

策というものがあるならばと
考え付いたものは?

「おもりは水に浮かべない、か」

ヴェルトロは引き返したが
引き継いだもの達が一斉攻勢に出るにあたり
先に

「おら! カニども! たたっ切ってカニすきにしてやんぞ!」

メゼツがハガネーロビニの群体に切り込んでいき
何度も相手に切り付けて摩擦によって生まれる
熱で相手の装甲を摩耗させ金属疲労を起こさせて
叩き伏せるという力技、こちらの剣が持つのか?

「斬れば斬るだけ、こいつはいいぜ!」

メゼツの太刀は斬れば斬るほど鋭くなるという
相手を砥石として試すような特殊な合金で
出来ていたゆえに長期戦の末

「おらおらこっちだ!」
「坊ちゃんのほうに追い立てろ!」

メゼツはハガネーロビニの群体を引き付けて
その進路を変えることが出来た
これに対し前線は第二波である
酸の海からの給水と放水による酸液攻撃が
ハガネーロビニに掛けられた。

「熱いか!? 熱いだろ! 悶え打ってのたうち回れ!」

ミシュガルドのインフラとして欠かせぬ下水道
設備は常にゲスライムなどの酸性の生物に
汚染される危険があったため
通常のパイプラインでは酸化して使い物に
ならない状況にあったのだが
ミシュガルドの古代遺物から算出した
生けるセラミックのパイプライン開発がなされ
実質として酸に対抗する術が拡充されていた。

「甲皇国軍の科学技術は! 骨の随一ィィィィ!」

まあただ単に都合が良く持っていたというだけでもなく
酸液の巨大水源がミシュガルドには点在しており
探索を進めるにあたって
こういった水源の排水作業が絶対だったという
具合である。

「よし、敵の進路が変わってくぜ
 いい感じに足がもつれてやがる」

結果、酸液放水によってハガネーロビニは泡を吹いて
表面がにぶっていき関節部などを鈍い音を
たてて姿勢を崩して焼ける表皮に暴れだす
これをおさめようとハガネーロビニ群体は
弱った仲間を解体して捕食なおも進行しようとするが
それは術中にはまったも同然であった

「虫戦車はありったけ人員を捕まえて
 戦線を離脱! 上から見物と行こうぜ!」

全軍につぎすぐさま撤退できるように配備したのち

「メゼツの坊ちゃん! 準備出来ましたぜ!」
「おし、あと少し、引き付けてカウントダウン!」

敵の足は止まらない
「5」

すんでのところで宙に浮かぶメゼツの体
「4」

虫戦車を地上にとどめようと、敵眷属が重なり合って山だかり
「3」

伸ばしたハサミがすれすれのところで次から次へと
「2」

これを片手の大剣で打ち払って寄せ付けず
「1」

最後の一匹蹴落として転がっていった先
「0! 点火ァァァァ!!!!」

敵の群れは坂の上、雷が落ちたかのような爆音ととも!
真夜中の日の出か! 空が白む!

「っつーーーーーーー??!?!」

地上部隊があらかじめ仕掛けた爆弾が
進行するハガネーロビニの背後で次々と爆発し
地盤の弱った大地を土砂崩れでなだれさせた
かくしてハガネーロビニは酸液の湖に
そのまま落ちて大半が機能を停止した!

「おし! 野郎ども降下するぞ!」
「ヨッサー!!!」」

残る鉱種ハガネーロビニの主力部隊を
虫戦車によって敵を、間一髪土砂崩れを回避した
潰走するハガネーロビニを押しつぶすように
甲皇国軍が切り込むと

「油断すんなよ! 妙な動きには気をつけろ!」
「な、なんだあれは!?」

巨大なハガネーロビニがその姿をあらわにしていた
今まで群体のハガネーロビニが周囲を覆っていて
気付くことが出来なかったが

「いつもいつもお前らは後生大事にデカ物抱えて
 まともに戦する気があんのかよ?」

「ガシャン! ギシャアン!」

巨大なはさみが敵味方問わず切り裂いて向かい来る!

「そうだ! オレにやられるのが決まってんならよぉ!
 もっとはやく仕掛けてきやがれ!」

それこそがハガネーロビニの指揮系統であり
圧倒するハサミでこちらの戦力を削いでいくが
これを大剣で受ければ!

「おら! 邪魔すんなよ! 雑魚は任せた!」

メゼツが敵指揮系統に対峙し甲皇国の戦士が駆け出す!

「ガッシャアアアアア!」
振りかぶったハサミが大剣ごとメゼツを叩き伏せるが
済んでで動きを反らして逆に有り余った力で体勢を
失ったところで足の関節を的確に大剣で打ち下ろす!

「固え」

が致命打にはならず、群れなす他の甲殻と同じように
連打で摩耗させて打ち込み続けるしかない
それは敵も同じこと、大剣に繰り返し叩き伏せるカニ爪と
メゼツを胴体から分断しようというハサミの攻めを
済んでで躱せばまたしても!

「ドガッシュアアアア!!!!」

(このハサミの重み、ズキズキ来やがる!)

メゼツは体勢を立て直すと自らの大剣に再びの力を呼び起こさせ
相手の蟹爪を撃ちあげて隙の出た脇に連撃を叩きこみ
体勢を崩させたのちすぐさま!

「爆ぜの太刀!」

装填具ボムエッジの推進力を利用してハガネーロビニの
指揮系統であるデカブツの腹に大剣を!

「ギィィィィィィィィ!!!!!」
打ち込んで! 火花散らす!
「まだだぜ! 激震爆雷!」
ボムエッジには三つのモードがある
ひとつは爆ぜの太刀、これは圧縮された爆発力を
切り伏せる太刀の推進力として噴射して相手に叩き込むモード!

そして激震爆雷、相手に切り込み太刀が食い込んだ時の
ひと押しで切り込み刀身の中で芯を爆雷で高周波振動させて
電動のこぎりの様に火花散らして斬り進むモード!
そして!

「ぐっぐっグオアッバアアアア!!!!!」

刀身が深く入り込んで泡を吹きながらも両のはさみで
メゼツをとらえたも同然と攻勢に出て一気に終わらせようと!
大剣の刀身は深く突き刺さって抜けない! 退路は断たれた!
だがメゼツは嬉々として!

「もう一押し! これがあるんだよなアア!!!」
大剣の柄頭を叩いて装填具の信管を起動させると!

「ドッバアアアアアアアアアアブグブグブゲロォォォオオオ!!」

ボムエッジは内部爆破をし
装填具に込められた爆発力を使い果たして甲殻の内側から
爆ぜて大剣の刀身に更なる爆進力を与えて!

「ぶっつぶれろやああああああ!!!!!」

甲殻が完全にブチ砕けて真っ二つに爆ぜて飛ぶ甲殻は!

ドッゴォオオオオオオオオオオオオングボアバブッワー!!!

大破するに至った!
(メゼツVS指揮系統との描写を聞きなおそう)

「いやったぜえええええ!!!!!」

勝鬨をあげる気の早い甲皇国の仲間達
無理もない何体の異形種と戦ったも知れず
敵の残存戦力を確認しても
デスターゼンのこの山越えにさえ成功すれば
目指すべきメルタお嬢様!
そしてホロヴィズ総司令がいる。

そんな熱狂の中

羽ばたきさえ感じさせず
ここまでの戦の様子を全て把握しているもの
がいた、その名を
完全なるもの竜種ドラケンフォーリナー
114, 113

  

13完全なるもの竜種ドラケンフォーリナー

12
「よくもここまで切り結んだものだ
 貴様らが戦い抜くことを
 選んだのであれば
 我もそれにこたえよう
 大地より立ち上がれ巨城竜ディグナグス」

震撼!

「な、なんだ、こりゃ!? 山が! 山が!」
「動いている!」

鳴動!

「生きてやがんのか!? こいつぁ!?」

大地よりせりあがった巨大な要塞竜種ディグナグス

「こいつは」
116, 115

  

大地よりせりあがった巨大な要塞竜種ディグナグス

「こいつは」

全身より見て取れる、今まで戦ってきた全ての
13変異形種を取りまとめたものとして完成された姿。

「総員退避ィィ!」

その咆哮は獣種グラビースト
全ての兵士を慄かせ鋼鉄の獣を呼び寄せる。

「敵の残党がひとまとまりに後方よりも迫ってます!」
「くそ! こいつ自体が今までの指揮系統種と
 同様の統率力をもってやがるのか!」

その鋭き角は角種ニドキエル、稲妻を落とし
戦場をしびれさせる。

「角種がまだこんなにいたとは!?」
「ちきしょう! 大将首揚げ損ねたと思ってたが!」

角種ニドキエルの指揮系統種自体が
ディグナグスに取り込まれていたからこそ
遠隔地にいたニドキエルの眷属の攻めが弱かった
そして攻勢に出なかったことで残った
ニドキエル群体との連携技
いなずまをあたりに発生させ甲皇国軍を追い詰める!

「隊列は崩さず竜破は避雷針を立てて
 一般兵ととも退避しろ!」
「虫戦車が! 幾分か! 混乱して!?」
「くそ、まだ反撃体勢も整ってねえ!」

そのまったきヒレは膜種ヘバリーゼ
すべての飛ぶものを巻き込みディグナグスの覆いとなり守る

「あ、あれも」
「あいつが膜種の指揮系統か
 いままでバラバラだったやつらをつなぎとめてやがる!」

大きく息を吸い込み吐く一息に
煙種ガスドロームを含み、

「ガスマスクをしろ! この黒い靄は
 指揮系統を叩いたからそう長くはもたねえ!
 とにかく今はやりすごすしかない!」

対するものむせ返るばかりの肺病をもたらす
吐き出しおわると
息の中には爆種ボンバーナの
閃光を吹き出し

(爆種の光!? 爆種の余剰成分が煙種を作ってるってのか!?)

大地に爪痕を残す!

「ウワアアアア!!!!!!」
「こちらの左翼に被弾! 壊滅的被害です!」

焼き付けられた閃光の一息は
大地をこうこうと赤い溶岩として溶かしきり
甲皇国軍を分断した

「たった、たったものの数分でこれだと!?」

その体が動き出すとき大海嘯とも
水棲種スプラッシャアを引き連れて進む。

「山が激流と共に滑ってきます!
 流れの中に水棲種を多数確認!」
「ぐ、こんな馬鹿なことが」

全身を蝕む虫もまた迫りくる
さかえしものツリーダイアグラムの木々が生える。
はばたく翼種フライバナクワウェ
この固き身の力をハガネーロビニのうろこ
進みゆけば枝木と鋼の雨あられの槍を打ち込んでくる。

「総員撤退! 踏みつぶされなかったら逃げろ!」
「せめて一撃でも、撃て撃てえええ!」
「お前ら!? くそ!」

更にはその身を砲火で風穴を開けても
液種ゲルボブロブの溶解液で溶けて癒着し固まり
驚異の再生力を持つ
巨大な城であり

「そんな」

竜種ドラケンフォーリナーの力をひとつに
取りまとめるさいにパッケージしきれずに
溢れ出したがこの要塞である。
これを攻略する手立てはあるのか?

「全軍防衛陣地まで下がれ、こいつは敵の居城だ」
「えっ!? 坊ちゃんは!?」

混乱する虫戦車の羽ばたき音に檄を飛ばして
いなしてこれの首元に乗ると敵の城に飛び込んだ!

「あ、あんな無茶を」

メゼツは単身この城を攻略しに掛かった
大剣をふるいこの城に駆け上がり
13変異形種の砦たるこの城を
巨大な動く山城たるに住まう変異形を切り結び
打ち倒しながら!

「狭い空間ならよおぉ! 一対一で勝ち抜けば!
 てめえらの頭ァぶっつぶせるよなあああああ!」

進んでいく、メゼツはこの城自体は
機械仕掛けで進んでおりそれを構成するのが
変異形の機関であるならと見て取った結果
この城自体は巨大な竜の遺骸であると知れた
そのことはすなわちディグナグス自体は
機関によって動く生ける屍と知れ攻略の手も浮かぶ

(だが、さすがに城を動かす機関を壊すにも
 十分な爆薬も重機もねえ、どうする?)
『メゼツの坊ちゃん!』
「!?」

竜破隊が虫戦車によって上空より投入される!

「お前ら!?」
「虫に安定剤うってどうにか来れましたよ!」
「――――――無茶しやがって」

当然、外側から攻めようという時、触種や
木種の投擲攻撃に巨大な竜の翼の羽ばたきまで
これをぬってほぼ特攻の形で
メゼツの信号を目指してなみいる敵をなぎ倒してここまで
やってきた猛者たちとはいえ、甲皇国の消耗は限界に
すでに越えている。
通常の軍隊ならとうに壊滅といえるだろう。

「この計測器に目方が登録してある
 おれの歩幅に合わせて大体の目安と
 大剣の平衡器使って目測の距離をカウントしてある
 竜破に計測器のカウンターを突っ込めば
 カウントの位置がレーダーに出る」
「なら、あとは竜破隊の同期信号で
 十六機と連携をはかります、目標を叩きましょう!」

城の全体にある駆動部分をひとつずつ
筋肉の腱を叩き
いままで戦ってきた敵と同じように
撃滅していく具合であり
酸液が油圧系のチカラとなってる部分なども
把握できるようになり
体内にある爆種ボンバーナーを利用して
この城の核となる部分を叩くことを考え
うまく仕組みを逆流させるように仕組んだ

「よくまあここまで仕掛けを理解したもので」
「途中から連中から隠れて移動したんで
 大体の場所の見取り図が取れたって具合だ」

かくてこの城は甲皇国軍を滅ぼすかにみえたが
内部の侵攻がかなったこともあり
この戦いに勝算が出た。

「敵が入れないように窓以外の入り口を
 破壊したかいはあったな
 というより激戦区かと思えば
 内向きにはがらすきっての、ボロが出たってわけだ」
「さてここからが忙しいですよ
 このまま進むと防衛陣地を踏みつぶします!」
「おう、じゃあそろそろやるか!」

まずはメゼツは外側から一斉攻勢を仕掛けるよう味方に
伝令! 『野郎ども! こいつのどてっぱらに大穴空けてやれ!』
多脚戦車を及び防衛陣地にあった各種火砲が火を噴くと
ディグナグスの山城の至る所に命中するが
こんなことで止まるディグナグスではない!

「足元を崩せ! 点火!」

数多くの遠隔爆弾がディグナグスの足元を破壊するが
ディグナグス自体は羽ばたき足元を水の噴射で進み
変わらずの進行となる。

『仕方ねえ! ギティギラの刃を使え!』
『あれを使って、無事で済むと思ってるんですか!?』
『ガタガタぬかすな! どのみちここで負けりゃあお陀仏だ!』
『――――――残存魔素を充填、魔術技師は急いで魔法陣を!』

ギティギラの刃、ホロヴィズが開発を進めていた
魔導兵器の一つである、古代遺跡にある魔素がこもった
数多くの遺物があったが内包してある大量の魔素を
取り出す方法が失われておりこれを解放する方法として
魔術回路と科学爆薬の最大火力のものをかき集めて
古代遺物にたたきつけて魔素結界を圧縮破壊して
解放し放出するというものである。

『ギティギラの刃! 準備完了!』
『撃てぇ!!!!!』

瞬間、闇夜が白み巨大な光の柱が空に立ち
徐々に傾いてディグナグスの肩を大きくえぐるように
切り裂いた!

「ギジュァアアアアアアアアアア!!?!?!?!」

閃光は一筋の線となって消え去った

「やったか!?」

だがディグナグスはこれに応え
ボンバーナーを凝縮した火で
全ての相対する甲皇国軍を薙ぎ払うというのか?!

「くそ! 敵の攻撃が来るぞ! 各員退避!」

ディグナグスの炎が口から吐き出される!

が!?

「!?!? な、なんだ!?」
「見てください! 敵の頭部が爆発しました!」

すでにボンバーナーの仕掛けは逆流するように
破壊しつくされており
ディグナグスは体内より発する閃光とともに
大爆発を起こしてその機能を停止した。

「やった! やったぞ!
 メゼツの坊ちゃんの言うとおりだ!
 遂に敵の城をおとした!」

歓声に沸く防衛陣地の甲皇国軍は
疲れ切ったからだに湧いた泉を滾々と
分かち合うがごとく暗い防衛陣地から
武器を手に取りディグナグスの遺骸に駆け寄っていく

「探すんだ! まだ生きてるはずだ!」
「メゼツの坊ちゃんなら!」

すんでのところで竜破につかまり
虫戦車の低空飛行により脱出に成功した
竜破隊とともメゼツは

「おい! まだ拠点は制圧出来てねえぞ!
 気を緩めるな! ここは確実に落とすぞ!」
「エイオー!!!!」

この城を完全に制圧せんと立ち向かう甲皇国軍たちの一派が
ついにここを拠点として残る敵を迎え撃つ構えを
したため敵軍との消耗戦の中で希望の光と
なった、いかな変異形種であっても
この甲皇国軍の居城を攻略する事はかなわないだろう
だがまだ戦いは終わってはいない
13変異形種の神たち変異形神は
いままさにデスターゼンの大階段の先
天球へと続く道の祭壇にらせん状に立ち居並び
メルタとホロヴィズと契約を結ぼうというのだ。

「ここで下ろせ、ここからはオレの足で行く
 虫戦車隊は竜破隊とともに後続と
 落とした城に待機していてくれ」

戦地を乗り越えた先にメゼツを待っていたのは
白き人の鋳型、球体関節人形のようなものの
闊歩する原野が広がっていた。

「なんだこれは?」
118, 117

  

10
人鋳型イデロドールと呼ばれる
そうこれはこの地球上に散在する人の模型ともいえるもの
この地上の人間体安定を作り出した
原初の人間たるものの失敗作ともいえる
数多くの人の形をしたものであり
その魂を得るために必要だったものこそが
十三異形神そのものであった
だがいまはそんなことは関係ない
メゼツにとって重要なのは
このイデロドールと同等に扱われようとしてる
メルタのことである
(この世界から魔素が失われたことによって
 引き起った奇病、全ては)
ホロヴィズはミシュガルドから失われた魔素を
保つために十三変異形神との契約を再履行し
メルタを死の運命から救わんとしていた
(おおくの奇病もまたここから始まった)
(この世界自体がひとつの実験場であることは明らかであった
 異形の箱庭と呼べる)

「クソ親父」

(メルタ自身に契約を再び)
ホロヴィズは悲願たる思いを祭壇に捧げ
(かつての始祖の人間が執り行った儀と同じくである)
メルタを機械鋳型におさめたものを
(メルタの命が失われようという今
 十三異形神との契約の終焉によって
 ミシュガルドが牙をむいたこの時代において
 約束の大地を求めてここへ至ったのだ)
かつてミシュガルドの胃袋と呼ばれた
13の塔がミシュガルドの各地から集い
捧げられたものの魂を吸収し
13異形神の降臨を受け入れて
ミシュガルドを再生する儀式の時
(図らずも獣神将は異形神を呼び寄せる
 ミシュガルドの胃袋を満たす役目を為し
 自らの意思に関係なく儀式に加担した
 獣神将達はいまは獣神帝とともに
 遠く離れた場所で
 いつ終わるともしれぬ戦いを続けている)
さあこの世界の命運を決する時が来た。

「!? させるかよ!」

人鋳型イデロドールが数居並ぶ中を
突っ切るメゼツが目にした光景は
ホロヴィズによるメルタを救うがための
人間体安定を得る
十三異形神との契約の時
怪奇月蝕が始まる。
120, 119

  

13

「メルタ、メルタ、目をお覚まし」
「お母さま?」

人間体安定とは
異形神の形質を全て受け継ぎ
せめぎ合う多種の性質で
互いの力を削いで人の形に
全ての力をパッケージ化すること
契約により異形の力をもって
人として安定すること
人体、人類の中で
十三異形種の代理戦争を行うことを
決定した弱きものの苦肉の策であり
それは人間という種の延命ではあっても
終わること無き闘争への幕開けでしかない
かようして作られた人間体安定の楔として
機能する人の器たるものは
契約の日まで潰えること無き人の鋳型
もってメルタは永遠の存在となる

「!? 目を覚ましてくれたか! メルタ!」
「――――――お父様」
122, 121

  

14

「ここから全てが始まる、メルタ、お前の命、
 失った全てが、元に戻る、メルタ、わたしのメルタ」
「お父様、これが? わたしが人であるための?」
「そうだ、全ての根源、人類の病理を救済する
 唯一の方法だ」
「――――――わたくしは」
(お父様にとっての今までの私は?)

ホロヴィズとメルタは互いに言葉を交わす中で
この世界を救う術はこれしか残されていないと
納得しようとしていた。

「メルタが人の礎となり、永遠に安らかに安寧の時を享受する」

メルタを原形質として
全ての異形種たち
人から変貌した人の輪郭を失ったものをとどめるためだ
メルタが人間の世界の中心として人間体安定を得るなら
メルタ自身の滅びは永遠に訪れないと考えれたからだ
だがそのことにまだメルタは迷いを持っていた

「お父様はどうなるの?」
「おお、メルタ、優しいメルタ
 私は永遠の時をメルタと共に過ごせない
 だが悲しむことは無い
 メルタの心によって
 新たに定義された人の器に
 いつか必ず私の魂は戻ってくる
 全てはお前の心次第なのだよ」
「わたくしのこころ?」

ホロヴィズは
ホロヴィズにとっての救いは
メルタが世界を見つめつづけるということ
メルタは自らが果たしてその願いを
聞き受けられる存在か分からない状態であった

「さあ失われるばかりの世界の幕を閉じよう
 新たなる世界の幕開けだ」

ホロヴィズは十三異形神との交信を始めた

「宇宙の始まりさえ越えて生ける神々よ
 居並ぶ世界線を交錯させる運命の迷い子に
 今再びの契約の儀を」

――――――十三異形神

『つらぬくもの角種ニドキエル』
『全きもの膜種ヘバリーゼ』
『満たすもの煙種ガストローム』
『滅ぼすもの爆種ボンバーナー』
『吠えるもの獣種グラビースト』
『遊泳せしもの水棲種スプラッシャア』
『蝕むもの蟲種デバグバグア』
『さかえしもの木種ツリーダイアグラム』
『奪うもの触種オクトパーフェクト』
「はばたくもの翼種フライバナクワウェ」
『溶けゆくもの液種ゲルボブロブ』
『はばむもの鉱種ハガネーロビニ』
『完全なるもの竜種ドラケンフォーリナー』

(これが、これが神だというの?)
メルタにかつての人類と交わした契約の履行を迫る神々。

『汝、十三の時を経て人間体安定を得るか?』

これが病魔におかされた彼女を救う
唯一の手立てとなるのだ。
124, 123

  

15

イデロドールの群れの妨害
メゼツに次々につかみかかるが

「邪魔だ! 木偶どもが!」

メゼツを目的地にいかせはしないという具合に

「出来る限りついていきます!」
「竜破隊か!?」

竜破隊がこれを叩き潰し
メゼツの渾身の一振り

「人の心も分からねえ木偶人形は!
 全部まとめてスクラップだ!」

並みいるイデロドールを叩き切り

遂に約束の地に上り詰めるところまで至る

次々と駆け寄り全身に組み付いてくる
イデロドールに
大剣を地に立て足を前前へと進む

「ハア!」

大剣を横なぎに振り回して旋回し
組み付いたイデロドールの群れを振りほどき
大階段を駆け抜ける

「メルタァァァァァァ!!!」

そして駆けつけた先
ホロヴィズが契約を結ぼうとする
異形神の影が集う中心にメルタをみつけた

「――――――メゼツ、お兄様!?」
「メゼツ!? お前は後方の指揮にあたらせたはず!?」

ホロヴィズがうろばえるなかで
メゼツはホロヴィズに一喝する

「総司令官が敵と取引だアア!?
 てめえの愛娘を!
 俺の妹を! メルタを! よくもここまで落ちぶれたな!」

そうである他でもない
甲皇国の総司令官ともいえる地位に立つ
ホロヴィズが

「――――――敵を作るのは簡単だ
 戦えばいい
 だがメゼツ、お前は分かっていない
 人は戦うだけでは生きていけぬのだ」
「ほざくな!」

この先全てのものを投げ捨ててまで
異形神との契約こそが人類の災厄の元だったと
いうことすら忘れたように
かの存在を受け入れて
異形神による支配統治をミシュガルドに
もたらさんという

「戦って殺し合って終わらせることも出来ねえで
 泣いてすがって慈悲を求めて何様だ!?
 死んで死んで死に続けた仲間達!
 無かったことに出来るとでも!?」

かの敵と戦い抜いたメゼツは知っている
無辜の民に過ぎなかった民間人を
異形の化け物に変えた異形神

「――――――すべては一人の浅はかな願いからだ
 唯一ひとつの答えも選べずに全てを得ようとした
 愚かなる人の始祖の企てたことだ
 だが我々は他の方法を知らない
 人は全てを手に入れる」

「お前が憎んで始まった!
 お前に全部が従った!
 お前が全てを決めさせた!
 それが全てじゃなかったと!
 今その口でよくも言ったな!」

メゼツは大剣を振り上げ、ホロヴィズを切り伏せようとする
ホロヴィズは杖の石突をメゼツに向けると――――――

「お兄様! お父様! やめて!」

銃声が黒い柱にさえぎられた

「やめて、お願い」

異形神の眷属は元はミシュガルドに
移民した無辜の民であるということを
また古代の人類も同様であったとしても
人間の持つ意志によって
体の力によって機械のチカラを借りてでも
歪んだ契約を一方的に為す敵を許してはならないと
人のチカラのもとで

「こんな! 得体のしれないやつらに!
 こんな! 間抜けなクソ親父に!
 こんな! ところに!
 メルタをひとりぼっちにしてたまるか!」

メゼツは叫び続ける
だがそれは異形神たちには届かない

『時は来た、か弱きものたちよ今一度その
 望みを聞き受けようではないか
 13の烙印を押されてでも
 脆弱な人の器を保ちたいという
 かつての人の子のように』

「メルタ!」
メゼツの振りぬいた大剣が異形神の伸ばした影の手に
鋭く食い込む!

「お兄様!?」
126, 125

  

16

「うっ!?」

十三異形神は遂にその槍の穂先を
メゼツに対して大量に伸びる触手が
メゼツを地に伏させ
大剣を支えにしたメゼツは
ギリギリ剣を持っているのが精いっぱいであり
そのまま体の動きを奪われ
悲しくも一歩届かず
さあ契約の時は迫る
メルタの願いとは
世界を救うべく?

メルタはこの世界の楔となるのか?

メゼツはただ歯を食いしばる
ホロヴィズは全権をメルタに、願いを託す

『さあ契約の時は来た
 我々の終わること無き闘争のために
 そなたの真なる答えを』
128, 127

  

17

ホロヴィズの悲願は
この世界にただ安定をもたらすこと
ではなかった
甲皇国を再び世界に覇を唱えるチカラを得る事
メルタを救う事
様々に暗躍し
自らの策によってこの世界を救済する事を
そして何より
魔素が消滅した今アルフヘイムは脅威ではなくなっていた
ミシュガルドにおいて魔素がなくなったことにより
魔素を失った人類たちが異形神に慣れさせられ
自らの持つ変異におどらされ
異形神の内部抗争によって
内部からどの異形神とつながるかということで
人間体安定を失う事を防ぐこと
ホロヴィズが狙うは
メルタを介して全ての人類を人間の原型を定め
甲皇国人を基盤とした人類の安定
ホロヴィズが失い続けてきたものへの
救済でもある
はたしてメルタの願いとは?

メルタは自らの想いを叫ぶ

「わたくしはあなたたちに何も願わない
 わたくしは今まで自分を支えてくれた
 全部を投げうったりはしない
 そう今日この時のために
 運命を変えるために
 今までの自分を捨て去ったりしない
 捨てられるのは、あなたがたのほうです」

メルタは異形神との契約を破棄した

機械神マーキナーの忘れ形見を胸にして
130, 129

  

18
「メルタ、お前を失ったら私は!」

「お父様の望むメルタも
 お兄様の望むメルタも
 どのメルタももうここにはいない
 そして神を騙る異形が望む
 傀儡としての都合の良いお人形も
 それが普通の人と言えまして?
 誰かの望みを叶えるだけの
 メルタはここにいませんわ!」

メルタの叫ぶ声はひとつの胸に咲く

「勝ち取った力がある!
 戦ってきた日々がある!
 メルタの心臓は!
 自分の望みを叶えるためだけに!
 いまこうして高鳴って!」

この世界から異形神の力をはねのけ
我々は我々の力で生き抜くという事 運命を切り開く
という事

――――――甲皇国軍宿営地にて

「め、メルタ様のお体が!? 反応を!?」
「これは?! はっ! 皆急いで整備しろ!」

メルタアーマーをメルタ親衛隊たちが起動させ
巨大な翼を持つメルタな新たなる体は

「メルタブースター起動! メルタ様のもとに届けるのだ!」
「はっ!」

今日までメルタの体を支えてきた数多くの
技術班、そして常にメルタに仕えて
忠誠を誓ってきた仲間たち
信じて送り出した翼が
宙をきり
甲皇国軍の戦い続けている戦地を横切っていく
「彗星!?」
「信号が届きました! メルタ様はご無事だと!」
「なんと! ではこれは」
全軍メルタの新たなる星をにして
デスターゼンの奥地に走る軌道を見送って
「我らも遅れをとってはいられん!
 陣を立て直すぞ!」
「はっ!」

いざデスターゼンの祭壇へ

黒い影はどよめきたち
十三異形神は
『人の子は滅びを受け入れるか
 よかろうこの儀をもって
 弱き人の子は加護を失う』

「ま、待て! それでは
 おぬしらが集ったこと
 そのものが不意になるのだぞ?」

『――――――我々は
 弱さを克服しようという
 ものには試練を与える
 だがそのものが我々を
 求めぬというなら』

「求めぬというなら
 何をなさるおつもりで?」

「ぐっメルタ」

『忘れ去られた民として
 ここで生涯を終えるがいい』

「忘れさせるものですか!」

メゼツを縛る大量の触手を翼で断ち切って
メルタのもとに届けられた超合金のカラダ!

「これがわたくしの!
 わたくしたちの生きてきた証!」

メルタは異形神に一矢報いることを考えていた
メルタ用に丹念に調整されたその体は
そしてメルタを中心に基礎としてこの世界が築かれる時
メルタを研究しミシュガルドの遺跡を探求して得た
かつて廃された機械神マーキナーこそが
この世界を再び開闢し
人類を導く力だと飛躍を遂げさせるものだと考えたのだ

「時代を切り開く力!」

これは全ての甲皇国人の苦しみを救うものであり
メルタは初めから異形神に自らを捧げる気は無かった
ただ胸に秘めた刃をあたため続けてきた
かの神々に突き立てることを
この時を待っていたのだ
132, 131

  

19

「人の真なる形質とは
 なんどでも立ち上がり
 自ら道を決める
 自由を勝ちとる姿にこそあり」

ホロヴィズはただメルタの宣告におののくばかりだった
自らが今まで築いてきたものをなげうった老人は
メルタを中心とした人の連なりによって
ホロヴィズの想いははねのけられた
もちろんメルタはホロヴィズまでも
救うつもりであった
機械文明における
異形神は甲皇国にとって異物に他ならなかった
メゼツがメルタの剣ならば
メルタは一世一代の勝負に乗り出した
十三異形神たちをこの世界から立ち去らせ
機械神マーキナーと契約を結ぶことが
メルタの願いだった
メルタの胸元にあるペンダントのチカラ
機械神マーキナーとの楔であるこの証

「さあ機械神マーキナーよ
 いまこそ失われし時を刻め!」

メルタとひとつとなり願いを聞き受ける!
かつて滅びた神の復活
マーキナーのペンダントは
惑星ニーテリアの中枢世界儀鋳型を動かすための
必要なギアであるに他ならなかった

「ハッハッハ!」

メゼツはメルタととも戦い抜くことを決意して
巨大な敵と切り結ぶことに全神経を注ぎ
メルタアーマーと共同でこの戦いに赴く

134, 133

  

20

メルタがメゼツにむけた目線ののち
メルタの体にがっしりとメルタアーマーが装着される
今までのいかなる仕組みよりも強靭に組みあがっていく
メルタは自らの体を
この異形神を排除する事
このニーテリアから排除することを願い
今までよりも強い力を得た
今や機械神マーキナーは廃された神として
このニーテリアの地中深くで屋台骨として使われているという
具合でしかなかったが

(信じることとはこころひとつで立ち向かうこと)

メルタとメゼツの働きによって立ち上がらせられ
再びこの世界を動かすための活力を
機械神マーキナーの化身ともいえるメルタアーマーによって
そしてメルタはメゼツと二人力を込め
異形神の妨害をはねのけて
前に進む!

「わたくしの病魔もわたしの運命も
 わたくしの力で切り開いてこそ!
 神が定めし運命を
 お兄様が見せてくれた道を
 わたくしは自分で生き抜いて見せる!」
136, 135

  

21

戦線は荒廃し
既に13異形神との戦いも
おぞましいほどの数の異形が生まれ
この世界は滅びようとしていたが
機械神との契約によって為された
巨大なうねりが
再び甲皇国軍の機械兵を立ち上がらせ
機械の心は戦いを始めた
機械たちに再び主たる神の降臨を
その苗代たるものの力を与えることに繋がり
それは確実に甲皇国軍の士気を復活させる
倒れていたものが再び
歴戦の英雄と共に立ち上がったものとも

「機械兵がまだ戦っている!
 立ち上がっている!
 やれる! やれるぞ!」

それはメルタとメゼツの関係により

「こんなことが」

ホロヴィズの予測をはるかに超えた力であった。

「見ろ! 彗星が落ちたあの場所を!」
「あの輝きが!?」
「メルタアーマー!」

「頑張ってください! メルタお嬢様!」
138, 137

  

22

「お兄様この石を!」

機械神マーキナーの心臓部の核とも呼べる
”神代の礎石”
それはメゼツの剣の切れ込みにすっぽりと
はまるものであった
かくてこの力をもって戦い抜く!

「なにか分からねえが!
 元気そうで何よりだ!」

敵は束にして先ほどのイデロドールが動き出す
かのものは古代人類の遺志を継ぎ
古代人類の悲願であるメルタの願いを失い怒り狂っていた!

「俺とメルタに勝てるわけないだろうが!」

イデロドールを打ち払い
メルタアーマーとメゼツは
異形神の前に
この裏切りに対してのイデロドールの群れは
攻勢を貫こうとし
原初の人としての力を発揮する
群れて組みあがり立ち上がり礎としての人
神代の巨人を、だが

「「デゥスエグゼマーキナー!」」

機械神マーキナーの太刀は斬りぬいたところから
万物の仕組みを紐解く力
工程逆向のチカラ
この力をもってすれば
神と神の戦いとなり
ならば切り結ぶことも可能なはずと
再び古代人類を撃破した先の
異形神撃破を目指す

「わたくしを苗代にしようとした代償、高くつきましてよ!」
「何万年もオレタチにつきまといやがって!」

人間の運命はかつての古代人類が
求めたおぞましき多種多様なる神々からなる

「わたくしたちには!」
「お前らなんざ!」

機械仕掛けの心臓は己の肉体の飛躍をも越えて
弱きものが自ら立ち上がり
小さき一歩から踏みだす文明の灯となった
140, 139

  

23

『すばらしい』
異形神たちは口々に

『永久機関を完成させたか』
『賢者の石を胸に抱くか』
『汚泥の塊を金塊に』
『血濡れた運命を清水に』
『世界儀経を紐解いて』
『全神未踏の極致にゆくか』
『宇宙の法則をも書き換える』
『天球をかける翼』
『運命改変世界線移行の道しるべ』
『闘争を越えし智者の加護』
『魂を増やす唯一の術』
『我らを旧支配者として乗り越えるか』
『完全なるものよ』

機械神マーキナーの名を連ねていく
かつて機械神マーキナーがこの世界にいたこと
この世界の中枢にあった事
あるいは異形神の傀儡であったこと
しかしそれが
メルタの心臓となった機械神マーキナー
魔素の量に限らず
永久機関ともいえるその流れを汲み
もって機械神マーキナーが絶大なる
力を手にしたという事を知り
13異形神は力を求め欲しその眷属と食指を伸ばして
再び機械神マーキナーの力をわが手にと
メルタとメゼツに襲い掛かる!

「そう何度も押さえつけられるかよ!」

メゼツの刃が跳ね返す!

「わたくしのお兄様をいじめないで!」

メルタの翼が切り抜ける!

「よもや造物主たる我らが廃した
 機械神マーキナーが遺功を汲み
 そして英雄神レジェンダリが星を冠して
 深淵の闇を元とした我らの形質に
 一矢報いようとするとは
 人は真に」

完全なるものドラケンフォーリナーは
自らの108つの神の魂を輝かせて
13異形神の影から出でた
142, 141

  

24
再び機械神マーキナーと呼ばれ続けるその
縛りの中にメゼツは飛び込み

「お兄様!?」

敵である異形神の触手に飛び乗り切り結び
メルタから離れていってしまうが
その戦いの中で
メゼツは機械神と自らの刃の組み合わさった力を
敵を打ち破ることによって知っていった

「やれる!」

だが段を踏み入るように異形神達の
相手の攻撃や相手の運動によって
ひとつひとつその策は奪われていき
絶命かと思われたメゼツを

「無茶をしないでくださいな!」
「わりいな! メルタ!」

メルタアーマーの翼が切り結び
メルタの鎧から発せられる数多の機関砲の火勢によって
メゼツは救われ
ふたたびメルタの背にメゼツは乗り
敵を一閃で切り結ぶために
異形神のもとに飛び勇んでいく

「いくぞメルタぁ!」「お兄様ぁ!」
144, 143

  

25

いまこそ十三異業神にこの刃をと
メゼツはメルタの背に乗り
そのチカラを受け取り
十三異形神のなかをきりもみにらせん状に
駆け上がっていくメルタアーマーの推進力
敵の塔の先
中空の天球の中
剣は滑りぬいてそれぞれのものを切り抜かんと
刃は光る
メゼツの大剣はその仕掛けられた機械の心の臓をして
長く一閃の刃として
それはメルタアーマーの第三の翼として
空間をきり宇宙をきり
それはそのまま異形神のたつ柱を
十三の柱と切り結んでいく
その刃ははたして十三異形神を倒すに至るか?

「恐れを知らぬ」
146, 145

  

26

「いくぞ!」
と威勢をもって二人の声が「ゆけえ」と共鳴する時
叫び声が敵の意中にきりきざみ飛び込まんとする時
黒き影が全面を覆う
敵のただなかに
その影はなにものか
黒く立ち上る影に挑む二人

機械の翼を得たメルタの背に乗ったメゼツは
兄妹は
今、巨大な13の影を前にして
大きく渾身の刃を振りぬいた!

「見事だ、ちいさきものよ」

はじかれた!?
ドラケンフォーリナーがその巨躯をして
切り抜いた飛行モードのメルタに追随する

「その崇高なる魂に免じて
 このドラケンフォーリナー
 貴様らに猶予を与えよう」

「なんだと!?」

ドラケンフォーリナーは最大限の魔力の
ほとばしりを全身のうろこを輝かせ
胎内のマグマを赤熱を充填し
惑星ニーテリアにめがけて赤き血潮の
光の柱をぶつけた!

「クソッ! あいつの喉笛搔っ切ってやる!」
「いいえ! お兄様! あれを見てください」

ニーテリアの大地は大気は再び循環をはじめ
失われたはずの魔素の流れがこの
デスターゼンよりも見て取れる。

「我が一息にて吹き返すほどの世界だ
 滅亡、絶滅、破壊と再生
 それは一息の合間の出来事に過ぎぬ
 ちいさきものよ
 一息の生を謳歌するがいい
 ではさらばだ」

天高くドラケンフォーリナーが昇ると
それに準じて異形神たちは深淵なる宇宙へと
渦巻き逆巻き影が立ち上る。

「待ちやがれ! てめえら!
 好き勝手に人の庭荒らしまわりやがって
 その首置いてけ!」
「お兄様! これ以上の高度は無理ですわ!
 メルタセーフモード!」

 メゼツの肉体に霜が降りるほどの高度で
大気の流れときらめく雪の結晶が刺さるように
ただセーフモードに入ったメルタアーマーから
やわらかな気流の流れに沿って透明の幕が展開
メゼツの体を包み込むとそのまま
ミシュガルドの大地に降りていった。

「メルタ様ぁー!!」
「メゼツの坊ちゃん!!!」

 地上では魔素の流れを取り戻し生命の息吹を
確かに受けたものたちが異形に魂を捧げた
亡者たちを相手に優位に立ち戦い抜いている。
 戦場には防衛陣地が再び各所に築かれ甲皇国の旗印が
13異形神の干渉が遠ざかったことを示していた。

「メゼツの坊ちゃん! 無事にメルタ様を!
 妹君を取り戻されたのですね!」
148, 147

  

27
メゼツとメルタの帰還に
甲皇国軍の沸き立つ様は
よくもかんがえてみれば
彼らは秘密裏にしてメゼツにも伝えずに
メルタアーマーを用意していたわけであり

「まったくお前らは」
「?」

まあ良くも言ったものである

最初からこの算段であったかは定かではないが
メルタを助けるという意気込みだけとってみれば
決してメゼツひとりのみではなく
甲皇国軍一致の団結の意思があったわけであり
機械は人が扱ってなんぼのものであり
いつかは人と機械は分かりあう自然の土壌の中
自らを亜人なのではと迷っていた
メルタの生還に
甲皇国軍は軍帽を胸に抱き敬礼する。

「」

メルタの瞳に灯った星一つ流して
150, 149

  

28

かのものを許す許さないの采配の問題ではない
ホロヴィズは軍に救出され
面会謝絶の状態であったが
処遇がいかにしても
各地で銃声がなり
敵の眷属
13異形眷属にあてられたものたちを救う
戦い、甲皇国の旗のもとに結束は強まる
機械神マーキナーの力で
13異形神の覇権から世界を救うという
甲皇国の大義が生まれ戦いは続く

「お前ら! 後片付けだ!」
「「「はい!!!」」」
152, 151

  

29
いまや甲皇国の戦士達、そう戦いは始まったばかりだ
13異形神が去っていた宇宙、この世界を再び見て取った
惑星ニーテリアの輪郭、はるかなる冒険が
いままさにはじまろうとしていた

「きっとあるはずですわ」
「メルタ?」
「私たちの、未来が!」

この戦いの先に待っていたものがいかな
凄惨な出来事であったとしても
機械の心臓を得て機械神マーキナーを友としたとき
甲皇国軍人たちの士気は湧きあがる
ドラケンフォーリーナーの魔素がニーテリアにたたきつけられ
魔素の供給が戻りくるとき
アルフヘイムは息を吹き返した
こうこうと明るく精霊樹が再び芽吹きこの大地を支え始めている
この1息の間に変わってしまう世界を
この愛すべき風土を
彼らはこのミシュガルドの大地ニーテリアの世界を
あまねく魂の流れととも戦い抜いていく
戦士達よ!
154, 153

  

~~~作者あとがき~~~


 いやあ長かった、描いてて小説だから
まあこれくらいかなって思ってたけど
結果として13を相手取る話ってなると
やっぱ数こなすだけで手一杯まであるという話。

 実際、メゼツは消息不明で色んなルートで
色んな人が動かしてることがあるので、
今回活躍したメゼツが果たして本当にメゼツなのかも
分からないという具合で、まあ一応復活したメゼツらしいので
少なくともメゼツとしての記憶はあるメゼツだと思う。

 ん、リスポーンしたりとか色々のメゼツ可能性?
うん、実はメゼツ量産計画とかやりたいとか思ってて
そしたら沢山メゼツがいる理由とかも分かるし
メゼツ複数人説、メゼツ影武者説、何でも創作の糧に
なるなとは思ってるけど、まあ今回は仕方ないよね。

 で、実際小説書くのすごい苦手なんですよね、
これが読むほうも苦手なので、せめて拙い文章を少しでも
補えたらという事で挿絵マシマシしてみました。

 多分、挿絵を含めたら鼻ほじりながら適当に、
読める話にはなってると思うのでまあそこんとこ
というか漫画も小説もハードル高いって人は
こういう挿絵小説みたいなのやってみるといいかも
コマ割りとかあんま気にしないで良いし
文章で済ませたいところは文章で出来るのは良いですよ。

 とりあえず2021年の五月の五日くらいにメゼツの話を
そういえば昔しようとしてたなあと思い出しまして
そこから小説実製作に入ったのが多分という具合で
まあ途中、色々と適当な創作もしながら
二十日掛かったけど挿絵自体は三日内で出来てたという具合。

 今回、無事に小説を書くことが出来たのは
進捗管理用に各話にナンバー振ってそこに加筆指示を
いれたりして、色々工夫しながら、途中口述でメゼツが
戦ってる様とかを録音して、それを文字起こししたりとか
なんとか新しい作業とかして飽きないように工夫したのでした。
その結果がこれだ、この後書きを含めたら100KBくらいの
小説になったなあとは思う。

 というわけであんまりメゼツ以外のキャラクターを
登場させられませんでしたけど、この話の戦いのどこかで
ミシュガルドのキャラクターたちが戦ってたりしたのだろうな
と思いを馳せるのも一興かもしれません。

 というわけで、一層ミシュガルドが盛り上がりますように
祈っております。

※キャラ崩壊してたりしたかもしれないので
 そこは本当にすまなかった、拙い知識で執筆欲だけは
 あるというのが釣り合ってなかったのだ。すまなかった。
 ごめんね。

著作責任者:タアアタ


<<<<<各テキストファイルタイトル>>>>>

010開幕!13異形種戦!
020虫戦車竜破連携メゼツ射出
030メゼツ爆ぜる爆発閃光
040爆種ボンバーナー
050獣種グラビースト
060遊泳せしもの水棲種スプラッシャア
070VS水棲種ビッグシャーク
080蝕むもの蟲種デバグバグア
090VS蟲種女王蜘蛛蟻
100さかえしもの木種ツリーダイアグラム
110甲皇国軍ガスマスク
120奪うもの触種オクトパーフェクト
130疲労困憊天を仰げば即翼種
140はばたくもの翼種フライバナクワウェ
150溶けゆくもの液種ゲルボブロブ
160はばむもの鉱種ハガネーロビニ
170完全なるもの竜種ドラケンフォーリナー
180要塞竜種ディグナグス
190人鋳型イデロドール
200人間体安定
210十三異形神
220メゼツとメルタとホロヴィズと
230契約の時
240契約破棄
250フル・メルタアーマー
260機械神マーキナー
270メルタ・エクス・マーキナー
280兄妹星
290デゥスエグゼマーキナー
300永久賢者汚泥血濡世界全神宇宙天球運命闘争魂を我ら完全なるものに
310共闘兄妹
320中空の天球の中
330惑星ニーテリアの再生
340瞳に灯った星一つ
350甲皇国の旗のもとに
360戦士達よ
400あとがき・各テキスト挿絵名称

<<<<<各挿絵タイトル>>>>>

0000戦闘狂時代メゼツ メゼツ絶滅! 絶望のクライマックス
003ホロヴィズ
005ホロヴィズから始まる13異形神
015バーニングメゼツ
025虫戦車竜破連携メゼツ抱えもち
035閃光のメゼツ
045獣種グラビースト
055遊泳せしもの水棲種スプラッシャア
065獣種の大将首天に掲げるメゼツ
075蝕むもの蟲種デバグバグア
085キャンプファイヤー
095さかえしもの木種ツリーダイアグラム
105甲皇国軍ガスマスク
115奪うもの触種オクトパーフェクト
125タコ墨まみれの勝利者メゼツ
135はばたくもの翼種フライバナクワウェ
145溶けゆくもの液種ゲルボブロブ
155はばむもの鉱種ハガネーロビニ
165完全なるもの竜種ドラケンフォーリナー
175要塞竜種ディグナグス
185人鋳型イデロドール
195呪われた月
205人間体安定の呪縛
215十三異形
225メゼツとホロヴィズの対立
235契約の時
245毅然としたメルタ
255天翔けるフル・メルタアーマー
265メルタと機械神マーキナー
275メルタ・エクス・マーキナー
285兄妹☆
295十三の柱メゼツの刃
305十三異形神の影
315メルタの背に乗って
325天球をのぞむ
335甲皇国の旗印
345瞳に灯った星一つ
355戦士達よ
365戦士の素描END
156, 155

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