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一家団欒

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 家には、“入院に必要なもの”というメモ用紙があった。病院から渡された物のようで、洗面器などが入っていたダンボールの中身の物の他に、タオル、バスタオルも書いてあった。
「バスタオルがなかったからお風呂に入れなかったわ」と、言うと「持ってったぞ」と言われた。名前を書いてバスタオルもフェイスタオルも持って行ったと旦那は言うが、私の手元には届けられなかった。だが、マジックで大きく“3F 多治見リョー”と書かれてしまったタオルが家には複数枚あった。

タオルの他に、私の持っていなかったはずの下着と肌着、パジャマ3つ、スエットの部屋着が5組増えていた。
これも準備するものとして持ってくるように病院から指示があったもの。病室内で、ある日突然チェンジしていたグレーのスエット上下は、この部屋着の中のひと品だった。
 新品のそれらの物には全て“3F多治見リョー”と書いてあった。
黒の油性マジックで1枚1枚にこれでもかっていうぐらいの大きさで記名がしてある。

肌着はまだこんなの売ってるんだといったカンジの、一昔前のババシャツとグンゼのモモヒキだ。
  私:「普段、こんなのはいてないじゃん」
 旦那:「だって、肌着上下って書いてあったもん」

パジャマと部屋着は合わせて8組も買い揃えたらしい。
  私:「コレ、重複するんだけど・・・部屋着とパジャマって、一緒じゃない?」
 旦那:「だって、こうやって書いてあったもん・・・パジャマ3,部屋着5って・・・」
  私:「何もこんなにデカデカと名前書かなくても…」
 旦那:「だってわかりやすく書いてって言われたもん」
・・・・素直かっ!
 新品だけどでっかく“3F多治見リョー”なんてマジックで書かれちゃって、人に譲ることもできない。
 この 3F というのは3階の病室という意味らしい。そういえば、せっちゃんが洗った服を干す時、窓から鉄格子越しに見えたのは、ちょっと高い所からの風景だったっけ。
・・・ん?確かトイレはボットン便所だったはず・・・3階なのにボットン便所って…どーなってんの?下の階とか…どんな造り??・・・
そんな事も旦那としゃべって二人で笑った。
この日は久々に自宅で家族水入らずの食事・・・。家族3人、みんなでこうやってご飯を食べられることが何よりも幸せだーと、しみじみ感じた。
しかし顔がしびれて食べづらいぞ・・・・・・・・。
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 後に“医療措置入院について”というタイトルのピンク色の紙が家にあるのを見て、これがいわゆる強制入院だということを知った。
本人や家族の同意なしで入院させられますとか、不当勾留の申し立ては都道府県都知事を通して厚生労働省に(逆だったかも)できます、みたいなことが書かれていた。
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多治見リョー 先生に励ましのお便りを送ろう!!

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