ここまでお読みいただきありがとうございます。
私はいつも原稿を書き上げたとき、切りがいい時、行き詰った時、
まぁつまり好きな時にバルコニーに出て煙草を嗜みます。
そこから遠くに見える山を見つめながら、たくさんの木の存在に想いを馳せます。
頭の中でその木々の中の一本に近づき、枝を一本折り、枝の先についた葉を一枚ちぎります。
葉はひやりとしており、ふちは薄くて鋭利です。
これでもかというくらい目に近づけ、葉脈を見つめます。
葉脈を流れる水気を想像し、感触、色、香り、温度、味を頭の中で好きなように変え、作り出し、物語にします。
たくさんの葉脈が一枚の葉にあり、たくさんの葉が一本の枝にあり、たくさんの枝が一本の木にある。
そのたくさんの木が一つの山を作り上げています。山とは無限の物語なのです。
その無限の物語のどこを切り取るか、私を始めとするたくさんの小説家の方々も頭を悩ませているのです。
知らんけど。
さて、本作品でもの主人公の葉介のどこを切り取るかでだいぶ悩みました。
最終的には四肢をすべて切り取って正解だったと思います。
「大切なのは形じゃないけど、形が変だと伝わらねえ!」と叫ばせてあげたのは同情心からです。
自然と身体は大切にしましょう。
それでは、また次の作品でお会いしましょう。