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不用意に『竜とそばかすの姫』観てしまってたらキレ散らかしたわ。

いやホント俺には全く合わないというか、観た事を激しく後悔するレベル。

確かに音楽、映像そのものは美しいし(特にオープニングは鑑賞後も何度も見返したほど)問題提起も一応あるし、テーマも前向きだからと評価が高いのも理解できる。

だからこの作品を好きだという人を否定するつもりは全くないです。

ただし細田守監督は別。



一応言っておくと細田作品は本作以外は『時をかける少女』しか観てないです。

時かけは周囲の評判が良い割には自分には全く良さが分からず。

キャラの感情がなんだか不気味で不快な印象的しか残ってないです。

(細田作品は何作かテレビで見たけど、どうも肌が合わない感じで冒頭で早々にチャンネルチェンジ)

この程度に世間とズレてる人の感想です。

あとこれを読む人は本作を観た前提で書いているのでネタバレ全開っす。

今ならamazon primeで無料だし、9月23日の金曜ロードショーでやるので先に観る事をお薦めします。



まず舞台は高知県とはっきり示しているのに誰一人として方言を使わないのが気になって全く物語に乗れない。

そもそも何でわざわざ高知県にしたんか?

もっともベルの姿になって方言を喋ってしまうと世界観と合わないからという理由があるのは分かる。

それなら舞台をぼかすとか、母の死後に東京から父の実家のある高知に越して来た事にするとか、いくらでもやりようがあると思えるけど。



んで仮想現実Uの世界がビタイチ魅力的に見えないのが致命的。

Uの住民って無言で空中浮遊している姿しか映し出されなくて、ナニここ楽しい所なんか?ってなったわ。

一応50億人以上もユーザーがいるんだろ? しかも捨て垢無しなんだろ。

Uならではの楽しさ描写くらいくれよ。

そもそもUではユーザーの生体情報と潜在能力をスキャンしてアバターが作られるそうなので、俺だとチンパンとんちきアバターしか与えられない事が容易に想像できて行きたくねぇですが。

大体さ、まともな人間型アバターが少数派ってなんだよ。

すずや周囲の人間だけがまともで世の中バケモノだらけって言いたいのか?



すずの歌の歌詞が重要らしいけどそれならポスターに「歌を聴いて」なりのコピー文くらい添えてヒントを出せよ。

「あなたは誰?」なんて大して重要じゃないだろが。



すずが竜の事を気になるというのは飲み込み辛いが、まぁ男女の仲は理屈じゃないから……と無理やり飲み込んだらそういう展開にならないし。

じゃあ虐待受けてた同士なにか通じる所があるかと言うとそうでもないし。

何なんだよお前ら、ぜんぜん前世の縁か?



ベルがアバターを剥がされて、すずが実体として歌うところは確かに感動的なんだけど、フリが全く効いてないからこっちが色々設定を思い出してやらないといけない。

あと途中でまたベルになるのはなんでなん?

ベルという仮面を必要としなくなったのが感動なんでしょうがよ!

絵的にベルをもう一度登場させたいというのであればOPの使い回しは止めるべきじゃねぇか?

「隠されたもう一人の自分」を具現化させる世界なんだから、素顔で歌えるよう成長したすず=ベルはもっと凄いアバターになってないと絵的な説得力は無いし辻褄が合わないんじゃないか?



東京で虐待を受けていた兄弟の居所を突き止める手順があまりに酷すぎてキーってなったわ。

創作だからご都合主義や端折りや飛躍があるのは当たり前(そこが創作物の魅力なのだけど)だとしても、あまりに雑すぎ。

こういう時こそU民の特定力を借りた方が良いんじゃないの?

せめてツインタワービルの特定くらいはさ…

その場にいた人間がたまたま解決しましたってなんだそりゃ!

あーあの時の写真がこうなるってヤベー、伏線回収だわ……ってなるかボケ!!



一番不気味だったのが、すずがネグレクトを受けていた兄弟を救いに東京に向かう時のすず父の反応。

すず父が「すずが親切な子に育って良かった」云々言うだけで放置するのに違和感というか恐怖を感じた。

物わかりの良さに名を借りた保護責任放棄じゃねぇか。

父親の立場からしたら奥さんを亡くした上に、事と次第によっては最愛の娘まで失うかも(それも奥さんの事故と同じで、赤の他人を救おうとして)なんだぞ。

普通の親なら半狂乱、俺なら座り小便かまして脱糞するわ。



ともあれ、すず父は警察と連携取ろうとか車で追いかけるとかしないものか?

誰か(合唱隊のオバサンとか)と運転を交代していけば、すずの乗る夜行バスに追いつけないにしても、何とか東京で合流出来そうなもんだけどそういうジタバタもない。

他の大人も友人もすずを放っておくし、お前いらない子なん?



次しのぶ!テメェだ!

「守ってあげる」と言っていたんだから東京に付いて行けよ!

約束守れよ、何の為にあのフリがあったんだよ!

すずもしのぶに頼らなきゃおかしいだろが!

作劇上、虐待親父とすずを対決させる必要があるのは分かるよ。

だとしたらしのぶは付いて行ったとしても最後の対決前にすずが「しのぶ君は見守っていて」で処理できるし、彼の立ち位置(母の代わりに見守っていた)もよりハッキリするんじゃね?



すずが東京に着いたらベル=すずとみんなが認識していて大騒ぎになって、その人達の力を借りて件の家を見つけ出すという展開……かと思っていたけど、闇雲にかけずり回ってたら偶然出会うんかい!

もう話作りとかどーでもよくなったんかい。

俺が想像したのもご都合主義でありきたりだけど、でも少なくともUの唱える「世界を変えよう」にも合致してるし、ネットの特性も表わしていると思うんだけど、どうよ?


あと関係ない話なんだけどさ。

虐待を受けていた少年の立場になれば、自分たちの為に素顔を晒してまで助けに駆けつけてくれて抱きしめてくれた女の子なんて好きになるに決まってんじゃん!

後々の展開を想像したら、虐待親父の問題が解決した後にすずと親しくなって交流持つじゃん。

でもすずは地元の幼馴染のイケメン君とイチャコラしてると知ったら余計な心の傷を負うじゃんか?

どーしてくれんの?



で、ラストでしのぶがすずに言う台詞が一々腹が立って「テメェ何もやってないくせにナニ上から目線で語りかけてんだ!ケツ穴に二の腕ぶち込むぞ」とキレまくってたら、すずは頬を赤らめてるしナニやらいい雰囲気になってるしで、もう俺には全員狂人にしか見えない。

それとも俺が狂っているのか?

だとしたら本当にゴメンなさい。

これ観た俺が悪いんです。

もうラストショットはキャラ一同で「これが日本の夜明ぜよ!」と叫んでジャンプ決めて欲しくなったくらいどーでもいいわ。



最後に

児童虐待というセンシティブな問題を扱うなら専門家に監修として入って貰う必要はあったのじゃないか?

(一応スタッフを確認したが該当する肩書きは見当たらず)

『MADMAX 怒りのデス・ロード』だって性暴力を扱うためフェミニズム作家イヴ・エンスラーが監修に入っているんだし。

問題提起をするならたとえ作品内で持て余したとしても、問題を正しく伝える姿勢は必要じゃ無いのか?
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