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○月×日 純情派

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 そうだ!
 突如閃きました。今きっと私の頭の上には電球が、こう、ピカッと。いえ、別に乱れ雪月花とかそういうのじゃないです。
 呪文が使えないのなら、武器を使えばいいじゃない。これぞ逆転の発想。リバースアイディアです。
 そうは言っても くさりがま や てつのおの を振り回したいわけじゃありません。あれらはまほうつかいが使ってはいけないものです。たとえ筋肉モリモリなまほうつかいがいたとしても、ゴールデンルール上装備してはいけないものなのです。
 私の狙いはズバリ、いかずちのつえ。天にかざすだけでベギラマってしまうという、マジカルな武器です。ああ、ベギラマ……。なんと甘美な響きでしょう。まほうつかいなら誰もが一度は夢見るだろう憧れの呪文。それまでちょっとやられキャラ気味だったまほうつかいが一躍脚光を浴び、パーティの撃墜王にさえのし上がれてしまう革命の呪文。それがタダで出したい放題だっていうんですから、もう、もう……。是が非でも手に入れなくては。是が非でも手に入れておおありくいをやっつけなくては。
 でも一体どこにあるんでしょう。うーん。まさかどこかの村の井戸の前に落っこちてる筈もないしなぁ。皆目見当がつきません。となると、お金かな。お金で買えないものはないって偉い人が言ってたし。

「ねー、おばさん」
「おねえさん」
「ねー、おねばさん」
「変なところで妥協しないで。――今日は何?」
「お金ちょうだい」
「ダーメ」

 かようにルイーダおばさんはまっことケチでおられたので、私の夢は潰えました。
 人は大人になると夢や希望を失くしてしまうのものなのでしょうか。
 歳は取りたくないものです。

「おばさんの夢ってなに?」
「仲間を呼ぶはぐれメタル」

 わあ、ステキー。
 でもそれ全然はぐれてないじゃん。

6

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