1月31日
しばらく更新していないのにも関わらず、自分の漫画がずっとホットアイテム入りしている。続きを待つ読者や、どこかで紹介されてやってきた新規の方々のおかげである。
２月1日
「明日更新します」という呟きがバズる。
２月2日
更新したところ、最新コメントの9割が俺の漫画で埋まってしまう。
2月3日
更新直後はいつもそうだが、いろんな商業大手から「うちで連載しませんか」的な話が来る。
でも俺はプロになるために描いているんじゃない。何より商業で連載を始めると時間を取られる。
俺には美人で胸の大きな妻と、愛しい子供達が3人いる。宝くじで3億円当てたので金には困っていない。
何より、俺は新都社が好きなのだ。
2月4日
悪い夢を見た。
俺はまだ実家暮らしで、細々と漫画を描いているが、大して人気はない。
話がある、と両親に呼ばれ、テーブルにつく。
「いろいろ値上がりしてな、もうお前を養っていくのは厳しい」と父が言う。
「だからね、そろそろ働いてもらおうかなって」と母。
「俺、漫画家になるからって言ってるよね」
「お前の『もろちら戦士パンパイン』も頭打ちだろ。大体月一更新も出来てないじゃないか」
「なんで親父が知ってんだよ！」
「お父さんは特定検定準2級なのよ」
「でも少数だけど熱心な読者がついてるんだ」
「ありゃワシと母さんじゃ」
「時々『ランダムから。面白い』とか言われるし」
「ランダム当番は親類で持ち回りしとる」
「じゃあたまに来るアンチコメだけが俺の純粋な読者だったのか」
「アンチは嫁に行った妹で、純粋な本音だそうだ」
「読者全員身内」
2月5日
俺の作品へのアクセス数が凄すぎてサーバーエラーが出続けている。全く読めない。
まるで存在していないかのよう。
2月6日
家族が行方不明になった。
妻も子供達も帰ってこない。警察に連絡したが真面目に話を聞いてくれない。
2月7日
何億もあったはずなのに、預金残高がゼロに近くなっている。おかしい。
2月8日
知らない人がいっぱい来た。
2月9日
入院。
2月10日
悪い夢の中。
2月11日
くすりいらない。
2月12日〜28日
悪い夢の中。
2月29日
お父さんお母さんありがとう。
2月30日
よかった、みんなかえってきた。
2月31日
俺の漫画見れるようになってた。
2月32日
みんな待たせたね、続きを描くよ。
2月33日〜
良い夢の中。