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#11

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◯バリシャノン シャワールーム

 シャワーを浴びているエシラとアイリーン

エシラ
「……ニーヴの言う通りだ

散っていった人たちの感情に押しつぶされて吐くだけで何も出来なかった

遺棄機体と思われたようで、私だけが助かった……」

アイリーン
「戦場で何も出来なかったからって、ニーヴもあんなに恨む事無いのに」

エシラ
「肉親が死んだのだから、他に怒りのやり場が無いのだろう

私がもし同じ立ち場ならニーヴと同じ態度を取るかもしれない」

アイリーン
「まるで他人事ね……まぁ気にしないで、そもそもニーヴは他人に突っかかって仲を詰めるタイプだから」

エシラ
「分かった、覚えておく」

アイリーン
「は? それだけ?」

 黙ってシャワーを浴びるエシラ


◯脱衣所

 棚をまさぐっているエシラ

エシラ
「Tシャツが……無い」

アイリーン
「さっき出ていったニーヴだよ、きっと

いい年してこんな嫌がらせするなんて」

エシラ
「いい、慣れてる

それにニーヴのせいと決まった訳じゃないし」

アイリーン
「慣れてるって……エシラ、それ良くない態度だよ」

エシラ
「ずっとここにいるワケじゃ無いし、任務が終われば関わる事も無いから」

アイリーン(エシラに顔を近づける)
「その人間味の無い態度どうにかなんない?

ニーヴにそんなに負い目があるの? エシラが殺したワケじゃないし、戦場なんて怪我と弁当は自分持ちでしょ」

エシラ
「別に、そんなんじゃない」

アイリーン
「マゾ体質?

それともイジメられ慣れしてんの?」

エシラ
「違う……」

アイリーン
「じゃあなんで?」

エシラ
「……私は学生時代に級友をイジメていた一人だった

でもいつか知らない間に仲良しグループが変わり、私がイジメられる側になっていた

その時から他人とは距離を置くように心がけるようになっただけ」

アイリーン
「あー分かる分かる

イジメ対象が突然変わるのはあるある話ね

アタシもね、小学生の頃いつもみんなが綺麗だと言ってたこの髪がある日からからかいの対象になったの」

エシラ
「綺麗な赤毛なのにね、私のなんてコレよ」

エシラ、頭に巻いていたタオルを取ると盛大なアフロになる

 それを見てアイリーンが盛大に笑う

アイリーン
「アハハハ、凄っ!」

エシラ
「無重量だから余計にね……って笑い過ぎ」

 そう言ってアイリーンを小突く

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