賢明な読書諸兄の中にはお気付きの方もおられると思うが、この作品集は「タイトルではペニス」「作中ではちんちん」と男性器を表記している。なぜそうしているかというと、文中の「ペニス」は少しイメージとして堅苦しい、というか日本語ではないので、日本語で書いている文章に質感やリズムが合わない、という感覚がある。逆にその語感はタイトル向きであると考えている。
だから本来私は「エレクトリカルちんちんパレード」について語りたいのであるが、残念ながらここでは自分を曲げて「エレクトリカルチンポコパレード」について書き記していくことにしたい。「エレクトリカルチンポコパレード」は私の造語ではない。コラムニスト「深爪」氏の著作「深爪流 役に立ちそうで立たない少し役に立つ話」の中の「『夜中のテンション』に騙されるな」に出てくるフレーズである。
ある日著者が夫との夜の営みの後、夫のマグナム（夫のちんちんをそう表現されている）の色が少し変だなと感じる。思わず「チンポコ、赤くない？ 大丈夫？」と夫に尋ねたところ、「チンポコって……」と苦笑されてしまう。確かに大の大人が真面目な顔をしてチンポコはないよな、と思った瞬間、頭の中でチンポコ祭りが始まってしまい、ワッショイ！ ワッショイ！ チンポコワッショイ！ と神輿も担がれ、遠くの方からは様々な電飾に飾られたエレクトリカルチンポコパレードもやってくる、という事態になってしまい、著者と夫は全裸で笑い転げて死にそうになってしまう。
ちなみにチンポコ→勃起→エレクチオン→エレクトリカルパレード、という連想ではなく、チンポコを祀ったチンポコ神輿からのエレクトリカルパレードへの連想と思われる。
後で冷静になればどうしてチンポコ連発で爆笑していたのか、という話である。どうやら日中と夜で働きの違う交感神経・副交感神経の作用の一つで、脳内物質が変な風に分泌される影響らしい。真夜中に書いたラブレターは出すな、といった話に関連づけられる。
1999年ごろ、2ちゃんねる黎明期に「電撃少女」というHNで切れ味鋭いスレッドを立てていた深爪氏であるから、怖いものはない。平気でチンポコ連発できてしまう。エレクトリカルチンポコパレードの上に乗っているキャラクターは「ミッ〇ー」などと伏字にされているが、チンポコは全て伏せられることなくフルにチンポコ表記である。
私が「エロアンニュイ」という文芸新都の作品に影響を受けてこの作品集を立ち上げた際、「ちんちんネタ縛り」というコンセプトは決めていたが、「毎日更新」とは決めていなかった。いずれネタが尽きるだろうと思っていたが、予想外にちんちんでいくらでもネタは浮かんできた。ちなみにほとんどの作品を早朝に書いている。真夜中のちんちんテンションとは関係のない、冷静な朝に私はちんちんの頻出する文章を打ち、娘が早めに起き出してくると画面を隠している。
そうは言っても体調不良やネタ切れの際に書けない日も出てくるだろうからと、ストック分として今この文章を書いている。世の中にはちんちんに対していろんな形で立ち向かっている人がいるのだよ、という紹介を兼ねて。風邪を引いた息子が珍しく長い昼寝をしているので、家の中がとても静かである。その間にこれを書き上げる。お風呂の用意をする時間が近づいている。エレクトリカルチンポコパレード、と私は口には出さない。「エレクトリカルペニスパレード」とタイトルを打つだけだ。
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Audible版があるということは、冷静な声で「エレクトリカルチンポコパレード」と呼ばれているのか。ピー音が入るのか。