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庭のペニス

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 幼い頃、学者だった両親が揃って海外留学していた時期があり、その間私は田舎の祖父母の家に預けられた。少し早く自慰を覚えた頃だった。庭に面した一室を与えられた私は、自慰で果てる瞬間に庭に出て、地面に精液をぶちまけるやり方を覚えた。上に土をかけて始末していた。

 当時祖父母宅にもう一人居候がいた。高校を休学中だという。祖父母の恩人の孫だとかで、都会の学校で問題を起こして転校を余儀なくされ、静養と気分転換を兼ねて数か月滞在する、という予定だった。襖を隔てた隣の部屋に彼は暮らしていた。恥ずかしい話だが、私の自慰の始末の仕方の習慣を、彼に見られてしまった。
「なるほど。それならティッシュの節約にもなるし、土の栄養にもなるんじゃないか。いい案だ。俺もしよう」
 そういうわけで、祖父母宅の広い庭に、私たちの種が無数にぶちまけられることとなった。

 その結果、庭からちんちんが生えてきた。精子を土に植えるとちんちんが生えてくるということを、当時の私たちは知らなかった。一回で放出される何億もの精子が全てちんちんになるわけではない。栄養状態の良い土の元に辿り着いた数億分の一の精子が、地表を突き破ってちんちんとして芽を出した。

 隣の部屋の男と私のちんちんとの違いはすぐに分かった。当時の私のちんちんはまだ皮を被っており、男のちんちんは剥けていた。しかし私の方が大きかった。
 他の雑草に紛れて祖父母たちにはまだ見つかってはいなかったが、そのままにしておくわけにはいかなかったので、私たちは自分たちのちんちんと同じ形をしたちんちんを、雑草を刈る振りをして鎌で刈り取っていった。いい気分ではなかった。
「地面に出すのはやめにしないとな」
 そう言うと男は襖を開け放って、自室に私を誘うようになった。彼が都会の学校を放校された理由も、何となく察せられた。

 それから私たちは庭に出すことはなくなり、ちんちんも生えてこなくなった。彼はやがて復学し、しばらくしてから両親が外国から帰ってきた私も、元のように暮らすようになった。

 祖母の葬式で久しぶりに田舎に帰り、例の彼とも再会した。彼は今では結婚して子どももいるのだという。それでも私を誘う素振りを見せたが、冷たく断った。

 祖母の四十九日の際に、家の掃除も兼ねて祖父の家に入った。私が居候していた部屋で、祖父は今寝ているらしかった。葬式の時にはあまり生えていなかった雑草が庭に茂っていた。その中に、しなびているもののとても長い、見覚えのある祖父のちんちんがたくさん生えていた。

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