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マップ・難しい

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#4 マップ むずかしい

僕は頭に広がるマップ画面を想像してみた。
どう考えてもこのマップはキャンプ(待ち伏せ)がしやすいマップだ。
キャンパーは近距離戦に弱い。そして今の俺の状態からして俺は遠距離戦に弱い。
だとすると勝てる方法は一つ。どれだけ近くから撃てるか。それで生死が決まる。
僕たちのチームは上の階から、敵チームは下の階からだ。

今回のルートA/Bともに、今僕らがいるフロアからおそらく交戦用の中央フロアに
繋がっている道のようだ。
Aルートは「階段」から中央フロアへの道だが、
階段はどうやら狭く暗いため、ショットガン使いに弱い。
対するBルートは「エレベーター」で移動する。
明るく安全に移動できるのだが、降りるその瞬間が一番怖い。
相手に先手を打たれればキビしいものがあるだろう。

TDMの基本といえば、間違いなく団体行動であろう。
だからこそ、僕は彼らに従うほかない。僕は初心者なのだし、
第一彼らと話合う年齢ではない。

「よし、お前らAルートだ」
最初に口を開いたのは、三十台くらいヒゲのオヤジだった。
それにしてもこいつ、声といい見た目といい、性格までわかってしまえるような気がするほど、
一種の特殊な"ニオイ"を放っていた。まったく。

先陣を切るのは、ずいぶんとまぁデカいショットガン
(後で名前を聞くと「M4/M1014 JSCS」らしい)を持ったヒゲオヤジだった。
次にアサルトライフル持った若い姉さん、その後ろに俺、その後ろに高校生くらいのハンドガン持ちが一人。
最後は相撲でもやってるらしいピザがついた。ピザはSPR Mk12とかいうアサルトライフルを持ちながら、
非常に気持ちの悪い笑みを浮かべ最後尾に着いた。

中央のフロアに到着した。
乱雑な部屋だ。なんというか、豪華なパーティの密集版で広い、というか。
「どうみてもこりゃ相手はBルートらしい。ここで待機だな」ヒゲがえらそうな口調で言う。
スナイプでもされて死ねばいい。

ご希望通りヒゲの頭が吹っ飛んだ。(ざまぁみろ。とか言ってる場合じゃねえ。)
どうやらここで敵チームは潜伏してたらしい。
そういえば、ルートAはBと比べスピードが断然違う。そこを考えなかった。

僕はフロアの特に大きな机に身を屈ませ隠しながら、反撃のチャンスを待つ。
JAMはまだ一発も撃ってないので無いと思われるし、まず大丈夫だろう。

リスポン(復活)まであと三十秒はかかるし、さっきのAルートなら走っても一分。
ここでチームが全員死ぬとずいぶんマズい。


しかしこの机じゃあスナイパーライフルなら壁抜き可能だよな・・・マズい
と思った矢先、足に被弾していた。
激痛が走る。(こんなリアリティいらねえよクソったれ!)

「外したか・・・。」
銃声の飛び交う中どこかで聞き覚えのある声。
誰だろう?誰だとしても近づいて撃ち殺すしかない。


僕はゆっくりと立ち上がり走った。
足がジンジンする。が、そんなことは今に関係しない。
目の前の奴を殺す。それだけだろう。
走るとしても痛みのせいで変な声が出る。
確かに出るのもあるが、もっとも割合的に大きいのは
抑えきれない衝動のためだろう。
「うっひょおおおおおおおおおおおおお」


おっかー・・・だったか。やっと戦う事ができるか。
「死ね」
目の前にいる友人の頭ぶち抜く。
手首から伝わる"反動"はまさしく、アドレナリンを増幅させるものだろう。

こんなことはこのゲームのプレイヤーでなきゃ経験できない。
底知れぬ快感を覚えつつ次の標的を探す。左か。
銃声はするのだがなかなか敵の姿は見えない。ハンドガン高校生は結構頑張っているようだ。
ヒーローでも気取っているのだろうか。相手の銃を見事に(格闘術か何かだろうか?)奪い取り、
それを使いこなしているようだ。

ピザは頭から血を流しているのにも関わらず、うす笑みあげながら連射している。
なんだあのAIM。さっきまでたくさん居た奴らが急に静かになった。
ほとんどピザだろうが、俺も援護射撃に参加する。

「Wooooohooooooo!Yeah!」
相変わらずピザのテンションはどこかおかしい。
とりあえず一通り撃ち終わった後、マガジンを地面から取り出す。
そして装填しなおす。これがなかなか時間が掛かる・・・
ピザの後ろには人影が見える。
これはどう考えても危ない。
そう考えを0.3秒でまとめた僕は、
「危ない!」
「邪魔だどけピザ!」
と二言だけ言って、
フルオートにしてしっかり構え撃つ。
今までのように素早く、美しく。

人影はどうやら倒せたようだが、ピザも横たわっていた。
ピザは悲しそうにクスッと笑い、消えていった。
4

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