2. Was der Fall ist, die Tatsache, ist das Bestehen von Sachverh
本題に入る前に少し自分について。
僕には何も無かった。
努力することを放棄し、
経験することを放棄し、
就労することを放棄し、
勉強することを放棄し、
僕はこの暗く汚い部屋で、
生きることを放棄していた。
コミュニケーション能力に欠け、
ブクブクと肥満した醜い容姿。
二次元に逃げ、
妄想に逃げ、
空想と共に暮らしていた。
決定的な敗北感。
それ以外の何をも持たず。
では本題。
時間は少し遡る。
「うはwwwwこいつバカスwwwwwwwwwwwww」
僕はいつものごとくvipを荒らして遊んでいた。
引きこもりニートで何もやる事の無い僕にとってネットは唯一の遊び場だった。
ネットで憂さ晴らしをしている時だけ、
どうにもならない敗北感を忘れることができたからだ。
僕はいつものごとくvipを荒らして遊んでいた。
今日の標的は安価スレ。
安価スレとは、
スレを立てた者が現在より先のレス番号を指定し、
その指定された番号に書き込まれた内容をお題にして様々な事を行うという糞スレだ。
『安価厨死ねよwwwwwww』
僕は"安価"で検索し出てきた全てのスレにそう書き込む。
書き込む、書き込む、書き込んでいく。
僕に出来るのはそれくらいの事。
荒らす、荒らす、荒らしていく。
僕に出来るのはそれくらいの事。
意味も、意義も、理由も無く、
一通り荒らし満足いった僕は自分が腹が減っていることに気づいた。
「冷蔵庫漁ってくるか…」
誰にいうとも無し僕は呟く。
独り言は小説家の職業病である。
なんて言った小説家がいた。
ニートにとってもまた独り言は職業病だ。
話すという機能が衰えて無くならない様に、
気づくと考えていることが口に出るようになるのだ。
もっとも、
コミュ能力0の自分にとっては有ろうが無かろうが関係ない機能なのだけれども。
「――つか、ニートなのに職業病てw」
とまた、
考えていることが意識しないで口に出る。
僕はくだらないことを考えるのは止め冷蔵庫を漁りに立ち上がる。
チラりと時計を見ると針が指し示している時間は昼の3時。
うちの親は両方とも仕事に出かけている時間だし、
妹もこの時間なら学校だろう。
顔をあわせるたびに小言や侮蔑の目線を送られるのは、
たとえ僕に原因があったとしても辛い。
だから僕が部屋から出るのは奴等が居ない平日の日中か深夜だけだ。
引き篭もってすぐの頃は両親も僕の事を何とかし様としていたみたいだけど、
最近は諦めたのか顔さえ合わさなければ何も言っては来ない。
今の自分は勝ってると思います。
なんて、いつかテレビで見たニートが言っていたけれど、
本当にそのとおり。
今の自分は勝っていると思う。
勝っている筈だ。
僕が負けるなんて間違っている。
「だから、この敗北感だって間違いなんだ」
知らず拳を握って呟いた僕の声を、
「ただいまー」
遮ったのは妹のそんな声だった。