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終り無き日々の終焉、苦悩のはじまり

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20xx年、400万人を超えたNEETに政府はNEETによる経済問題対策法案を国会に提出、
与野党両方からの猛反対を受けたが結局成立。2年後に施行された。

NEETを強制的に職業安定学校に寮生活で通わせ、仕事の大切さを教え、社会に
巣立たせていく。それがこの法案の表向きの形であったが、実際は違った…
NEET対策法が施行されてから3年。やる夫のもとに1通の手紙が届いた
母「やる夫、あなた宛に手紙が届いてるわよ。珍しいわね」
 「う、うるさいお。黙って渡すんだお」
やる夫は母親から封筒を奪い取り、急いで自分の部屋に戻った。

やる夫はいわゆるNEETであった。中学のころいじめに遭い、そこから不登校になり
一応は中卒であった。普段は自分の部屋に閉じこもり2chやネットゲームをしたりして
明朝まで起きていて、昼は寝る。昼夜逆転の生活をしていた。当然家の外には中学以来でていない

「まったくなんだお。いまどきペーパーメディアなんてアナクロすぎるお。」
やる夫はぶつぶつ文句を言いながら封を切った。

「「NEETによる経済問題対策法による出頭令状」」
(ニーソクデ やる夫 右の者はNEETによる経済問題対策法第4条
 に於いてNEETで在ると定義された為、送状した次第である。
 速やかに、最寄の警察署に出頭されたし…云々)

「はぁ?ちんぷんかんぷんだお。」
赤い書類をいらいらしながら見ていると、もう一枚紙があるのに気が付いた
(ニューソクデ やる夫 さんへ あなたは国がニートであると決定したため
 この書類を送らせてもらいました。あなたには仕事をするための訓練を
 国の補助をうけて、やらなければなりません。まず、この紙をおうちの方に見せて
 ください。そして決められた日までに必ずちかくの警察署に行ってください。必ずです。)

「なんだって!?」
やる夫は、この法に対する様々な噂をネットで聞いていた。しかし実際に行った人間の
話は全く出て来なかった。そのため、本当に職業安定学校などがあるか、疑っていた。

しかし、厚生労働大臣の署名と判の捺された書類は紛れも無い真実であった。

しかしやる夫の頭の中はこんがらがったままなので、とりあえずネットの住人に
聞いてみることにした。

[ちょwwおまいらwww赤紙がきたwwwwwww]


やる夫は出頭令状のことについて色々と聞いてみた。
しかし誰も知らないのか、当り障りの無い返事や荒らしのみだった。
そのとき、1つのレスが付いた。それによるとレス主の兄が1年前に
令状を貰い、訓練学校に通っていたのだが、つい最近訓練中に
事故死をしたそうだ。しかし、事故の詳細は全く教えてもらえず、
遺体もどうやら戻ってこないらしい。
訓練中は一切の連絡手段がとれず、いきなりただ死んだと伝えられて
非常に困惑しているそうだ。

(こっ、これはやばいお・・・一体学校では何をやるんだお?)
いったんやる夫はそう思ったが、単なる釣りという可能性もあると考えた
(まあ、政府がやってるんだからそんな恐ろしいことは無いはずだお)
と気楽に考えた

そして、書類を母親に見せるためにやる夫は部屋から出た。
「母ちゃん俺国から出頭命令が出たお」
「何ですって!?やる夫あなたパソコンで何か悪いことしたの?」
「何もしてないお…なんかニート対策がどうのこうので学校に行かなきゃならな
くなったお」
「そう!それは良いことね。あなた中学の時から一歩も外に出なくなったけど
これでようやく外に出られるわね」
「なんだかしらないけど、すごくめんどくさいお。でも絶対行かなきゃならない見たいだお」

やる夫は母親が久しぶりに喜んでいるのを見て自分も嬉しくなった。
もう二度と外には出まいと誓ったのだが、この令状と母の顔を見て
人生をやり直そうと誓った。
2, 1

  


20xx年y月z日出頭の期日
「やる夫~準備は出来たの?」
「もうちょいだお。学校で食べるうまい棒全味と、焼肉さん太郎が・・・」
「遊びに行くんじゃないのよ!ちゃんとしなさい」
「昔からおやつは300円までならもっていっていいんだお」
「遠足じゃないの!もう!」

そんなこんなでやる夫は母親の運転する車で警察署に着いた

やる夫は、まず受付に向かった。家から出たのも久しぶりだが、
それ以上に人に話し掛けるなどということはもっとも恐ろしいことであった。
「あ、あああの、すすすみませんお」
「どうされました?」
「ニニニートなんたらでっしゅしゅっとうがどうのこうの・・・」
「ニート対策法による出頭令状のことですね。
それでしたら2階のニート対策課の受付に行ってください」
「あああありがとうございますだお」

「2階かお・・・」
(それにしても綺麗な婦警さんだったお。それになんかいいにおいがしたお)

そして2階へむかっていった

2階ニート対策課
昼間なのに何故か薄暗く、照明も切れかかっていた。
「すみませんだお」
「出頭命令を受けたニートの方ですか?」
「そうですお」
「では書類をお出しください」
やる夫は書類を出し、担当の警察官から
訓練学校での注意事項を聞き証明写真を
とり、別室で待たされた。

「ニーソクデ やる夫さん、今から全体での説明が
あるので付いてきてください」
「全体!?俺以外にまだいんのかお?」
「はい、ご案内します」

やる夫はその警官に従った。
(しかし、何でこんなに腰が低いんだお?
警官と言えば威張りくさってんのが常識じゃなかったお?)
そう思いながら歩いていると、広い会議室のような場所へついた。
「ここです。席に名前が書いてありますからそこでお待ちください」
「はいだお」
やる夫は席についてあたりを見回した。なるほど、皆昨日まで引きこもっていたような
連中だ。数は20人程いる。

「皆さん集まりましたか?では早速ですが移動していただきます。
そこで詳しいオリエンテーションが開かれると思います」
皆動揺こそしていないが、移動ということで少し嫌な顔をしている。
(やっぱり美味い棒もってきてよかったお)

行き先は首都だと言うことだがそれ以上は教えてくれなかった。
そして、何故か、犯罪者の乗る網付きのバスに乗せられた。
(これじゃあ外が見られないお。つまらんお)
やる夫は能天気だった。他のもの達は、どうしてこんな仰々しいものに
乗せられるのかと明らかに動揺していた。

やる夫は他の人間の会話を盗み聞きしようとした。
しかし皆知り合いでもないらしく誰も喋ろうとは
していなかった。不気味であった
そしてそれは、能天気であったやる夫の心を
次第に不安にさせていった。

そして何時間か過ぎた後に、バスは止まり、建物の中に
入っていった。

そしてバスから降りるように言われた


やる夫達の降りた場所は、刑務所だった
「こっこれはどういう事だお!?」
バスに乗っていた者たちは驚きを隠せなかった
「冗談じゃないお。これはどう見ても学校じゃないお」

すると…
「やかましい!さっさと歩け!」
警官達の態度が一変した。
「す、すみませんだお…すぐ歩くお」
(これはやばいお…警官おっかないお)
出頭命令が強制されていた事から、裏に何か有ると
うすうす感づいていた人間もいたようだ。
数名は、覚悟を決めていたようだった


高いコンクリートの塀に囲まれ、その内側を何重にも金属
の柵が張り巡らされ、重武装の警官(と言うより兵士)が
パトロールをしていた。21世紀の先進国にあるのは
ありえない場所だった。
(なんなんだお…ここは。それにしても余りにも重装備すぎるお
塀の塔にはミニガン、M82A1、地上の兵士もF2000やSP15なんてまるで
戦争でもおっぱじめる気だお…)
やる夫はもちろん、他の人間もその施設が狂気じみていること
を直ぐに悟った。

ここは刑務所ではない!

しかし何のための施設なのか?



「中に入れ」
巨大なコンクリートの立方体。
窓は無く、実に味気ない。
案内されたのは二段ベッドのある細長い部屋。
中は熱がこもって暑いと思っていたが、意外に涼しかった。
「指示があるまでここで待て」
警官はそう言うとその部屋の厚い扉を閉め、錠をかけた。

やる夫は出発前に見た掲示板へのレスを思い出した
(これはまずいお…あれは嘘じゃなかったんだお…
ガチで殺されちまうお)
恐怖はますます膨れ上がっていった


薄暗い照明の中残されたやる夫達は
とりあえずベッドに腰掛けたり、寝たりしていた
しかし、やる夫はそわそわしていた。
抑えきれない恐怖感が体中を這いずり回っていた。
(と、とりあえず情報収集でもしてみるお)
やる夫はあたりを見回した。青白い顔のNEET達が
ぐったりとしていた。
「疲れたな…」
「日の光を見たのは久しぶりだ…」
「辛気臭い部屋だ…」
みなぶつぶつと文句を言っている
しかし、誰も他人に話し掛けようとはしない
4, 3

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