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第1話 八百九十三

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俺は山下カズキ。
普通の会社で普通に働いていた。
そして、そのままも普通に生きる…

はずだったんだが。


第1話 八百九十三


「さて、会社に行くか…。」

午前七時。
カズキは家を出て、普通に会社に向かう。

カズキの目線が多少揺らぐ。
実は、彼は現在37.5℃の微熱を発している。
そんなことからだろうか。

間違えて、隣のビルに入ってしまったことは。



約一年前。
カズキは会社に入って、部長へと挨拶に行く。

「ああ、君がカズキ君か。待っていたよ」
「お待たせして申し訳ありません。ところで…」
「分かってる、城寅組のことだろ?」

城寅組(しろとらぐみ)は、カズキが通う本社の隣に本部を位置する、
いわば「893」な方々だ。

「あそこには絶対に入るな…。間違っても、間違ってもだ…。」
「は、はい…。」



「うぃーっす、入社してk…?」

ビル内に入ったカズキは、異変に気付く。
いつもの見慣れた景色は目に入らず、
強面のお兄さん達ばかりがちらほらと見える。

「あ!?なんだテメェは!」

ここは、城寅組本部。
カズキの地獄の幕開けであった。
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