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危ないロリータ(4)

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「も~う!お兄ちゃんったら!もう朝の九時よ!早く起きて!」
「う~ん、もう少しだけもう少しだけ………」
「駄目だってばー!ほら!」

バサッ

ビンッ

「きゃっ」
「(し、しまったー!妹のコリンに朝のアレをー!)」
「もう!お兄ちゃんなんて知らない!」
「ちょ、ちょっと待て!待てってばー!」




昼間に買ったシガーガムの残り、それを右の奥の歯で静かに潰しながら、
俺はソファの上でゆっくりと命の大切さを知った。青臭いな、などとは微塵にも思えない。
テレビからはあの狐男達が「店主の冥土の土産」と言って投げつけたビデオ、
それが再生されている。深夜の静かな暗さに混じるそれはどこか異様に見える。
俺は助かった、今のところは。それが現状だ。
しかし課題は山積みだ、これから一体、どうなるのか………。


第三次世界大戦以降、この日本はアメリカの属国として成長して来た。
数十年たった今でもそれは変わらないものの、厭戦感情は薄れてきている。
しかし愛国心というのは、どれだけ酷い国であっても、少量は残る。
自分達が生まれ育ち、与え、または与えられた国を、愛する者は必ず居る。
そしてその志は多くの場合、様々な形で排他的かつ暴力的に遂行される。
自爆テロ、犯行声明、内戦………それはここ、日本でも同様だ。
そして彼等は時に内部から侵攻し、政府を襲ってくる。
自身の国を立ち上げる『聖戦』を繰り広げようとするのだ。


「………」

俺にかせられた使命は、東アジア警察署の内部で彼等を誘導し、
抵抗に会う事無く、素早く署内を制圧、指揮下に置く事を助ける事だ。
そしてその様相は恐らく、日本全国で、一斉に行われるだろう。
その名は『クーデター』―――奴等は『聖戦』を始める気だ。
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