夕日の差込が、安っぽい緑のブラインドで、安っぽく遮られている。
俺は完成させた未成年の喫煙についての書類を、軽犯罪青年課の課長に渡した。
課長は鈍く差し込んでくる光で厚化粧の丸々と太った顔を光らせながら、
その書類を受け取った。
「あら、今日は早く終わりましたね、デッカードさん」
「チェンや署長の邪魔がなかったからでしょう」
「貴方、チェンと仲が良かったんじゃなかったの?」
「いえ………まあそうですけど」
チェンとは署に帰ってからも会わなかった。
何でも、急に外回りの仕事が入ったらしく、今日は徹夜だという。
まあ仕方が無いので、明日謝るつもりだが、どことなく後悔していた。
外回りをする前に謝りに行けば良かったかもしれない。
タイミングの悪い行動だった。
「まあ、お手伝いがお手伝いになってない時も多いですものね」
「………え、ああ、そうですかね………」
「そうよねえ、だって、あの子ったら、尽くしちゃうタイプだから」
「はあ………」
「同僚とコンビ組んでたんだけど、あの時は凄かったわねえ」
「………まあ、それじゃあ、この辺で帰ります」
「ええ、お疲れ様」
チェンと同僚の話も少しは気になったが、長引きそうなので無理やり切り上げる。
署長の車が既に署に無いのを窓から確認すると、俺は階段を足早に下りていった。