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第3話〜稽古〜

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「さぁ、掛かっておいでよ」
ニヤリと笑ったが、目は全く笑ってない。たぶん本気だ。ガルフは集中した。
鋭くにらまれた目をまっすぐに見つめ返す。これは基本であり相手の出方を伺う事が出来る。
人ごみがザワザワ騒ぎ出す。キリタが人を帰し始める。だが、怖いもの見たさで残るものもいた。
キリタはひとまず一通りを非難させ、ガルフに合図を出した。
ガルフはそれを横目で受け取り、安心してルオと対峙する。
「本気でいきますよ。先生」
「もちろん、君で勝てるかどうか問題だけどな」
「ガルフ! 負けるんではないぞ」
「キリタ先生! 残っている人の守りをお願いします。あとカルリ先生。サポートお願いします」
「分かった。力になろう」
カルリが横に来て、腰にある剣を抜き構える。
ガルフは短剣を右手で持ち、来るのを待ち構えた。ルオと視線をあわせて目を見る。
ルオは剣を振り上げ飛び掛ってくる。ガルフはとっさに反応し、後ろにさがりかわした。
ガルフは反撃にでる。地面をけりルオに斬りかかる。しかし剣はむなしく空を斬る。
そこにルオが斬りかかり、ガルフはかわせずに胸にくらい出血する。
全身に痛みが走り右手の力が抜け、剣を地面に落としてしまう。金属音が鳴り響く。
痛みがさらにひどくなり胸を押さえて、地面に片ひざをつく。
カルリがそれを見、ガルフの一歩前に出てルオに手のひらを向ける。
カルリは呪文を唱え出すと、手からあふれんばかりの赤い閃光が辺りを照らした。
「バーニング・フレイ!」
光と共に赤い球体がうなりをあげて、ルオへ向っていく。
ルオは左手をかざして呪文を唱え出すと、手から青い光がほとばしり辺りを青く染める。
「ウォーター・シ-ルレット!」
炎の玉が当たるよりも早く、ルオの前に水の盾が現れる。
その水の盾は四角い形状で地面から浮いていて、自分の前方しか守れない盾だ。
水の盾は炎の玉がぶつかると見る見るうちに吸収してしまった。
「くそっ! やりにくい」
「まだまだだね、本当の魔法って言うのはこういうものなんだよ」
ルオは両手を天高くかざして気を込める。
気というものは人間の身体にある力のことで、その力を使い魔法を使う事が出来る。
気というものは無限のものではなく、使えば無くなってしまい回復するまで魔法を使う事が出来なくなる。
手のひらに大きな炎の玉が出来上がっていく、それにつれて光が増幅していく。
そしてそれを2人に放つと、すごいスピードで向っていく。
ガルフは痛む胸を押さえたまま、立ち上がろうとするが力が入らない。
――当たる!!

ガルフは目をつぶり、衝撃に対して構えた。
爆発音が当たり一帯に響き渡り、地面を砕き煙が上がる。
ガルフは痛みを感じなかったから自分の身体を見る。が、全くの無傷だった。
「大丈夫か? ガルフ……」
ガルフは視線を上げる、すると前方にキリタが仁王立ちしていた。
服はこげていて、少し肌の焼けたツーンとするにおいが辺りを包む。
「まさか、先生!」
崩れている足元を気にせずに、キリタはガルフに向き合いガルフの肩に手を当てて笑いかける。
「大丈夫だ、ガルフ。ルオさんを止めてくれ」
「先生……」
ガルフはキリタを座らせて、ルオと向かい合う。
「ルオ先生……人を魔法で傷つけてはいけないのを知っているはずですよね!」
「魔法は便利だ。それを人に対して使わぬわけがないだろう?」
「しかし! 魔法は危険だから人に向けて放ってはいけないと、先生は毎日のように……」
「忘れたな。そんな子供のお約束は」
ガルフは短剣を力強く握り、怒りを抑えた。
「というか、そこの奴だって俺に向って魔法を放ったぞ」
ルオはキリタを指差しガルフに対して挑発する。
「その約束を決めたゼックだって、ラクネリックというものを作り出したんだ」
ルオは右手に気をためて、集中する。
「魔法は人を傷つけるためにあるんだ」
「そうですか……」
ガルフはいまだ痛む胸を抑えて、小さくつぶやく。
「なら、俺も先生を助けるために魔法を使います!」
「ふん、開き直ったか! 喰らえ、バ-ニング・フレイ!」
ルオは集まった気を一気に放つ。低い位置でガルフに向っていく。
「違います! 俺は助けるために使うんです!」
「ふん、ただのきれい事だろ。所詮は偽善者なんだ! お前も俺も!」
ガルフは急いで呪文を唱えて、両手で唸りを上げて向ってくる炎の玉に、標準をあわせる。
「ライジング・ストリーム!」
あたり一面を黄で染め上げて、雷が駆け巡る。一直線に炎の玉へ向っていく。
自分の少し手前で二つが相殺し、爆発を起こす。煙が上がり、視界が悪くなる。
ガルフは、今だ。と思い短剣を振り上げルオに斬りかかる。
斬るときに自分の剣が光ったと思ったら、何故か昔から知っているような懐かしい感じに包まれた。
体が勝手に動く……。ガルフは跳躍し剣に気を込めて、一気に斬りつける。剣が金色に輝く。
ルオは不意打ちを喰らい何も出来ない。そこに斬りつける。一閃。
胸から大量に血が出て、ルオは顔をゆがませる。ガルフは血が付いた剣を手に呆然としていた。
ルオはガルフに笑いかけて、自分の胸を押さえる。
「強くなったな……ガルフ」
「えっ?」
ガルフはいきなり優しくなったルオを不思議そうに見る。が、それも終わった。
ルオが剣を握り闇雲に振り回してくる。ガルフは一太刀ずつかわす。
そこへシフトとホウレイが到着し、ホウレイはその光景を見て、顔を隠し座り込む。
シフトはガルフをじっと見た後にルオも見る。そして、表情を曇らせ目を伏せる。
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