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<文化祭編>第1時間目〜転機〜

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突然だが……本当に唐突だけど、私には好きな人が居る。
なぜいきなり言うのかって?
それはこの地の文が私の心情であり、私の世界でもある。
誰かを好きな気持ちは隠すものじゃないし、知られてもいいと思う。
――でも、こいつには絶対に知られたくない。

「瑠奈~テスト勉強やってるかぃ?」
「……少なくともあんたよりはやってるわよ」
「そういう綾香ちゃんが一番やってないでしょ。昨日も遅くまでゲームしてたでしょ」
「いや~、レベルが上がりそうだったからついつい」

……待てよ。ということは、美樹もそんな時間までやってたのか。

「高岡は部活に命を懸けているから、ゲームなんかしてる暇ないよな」
「そうね……今の部活動停止期間がもどかしいわ」
「なんでそんなに棒で叩き合うのが面白いのかね~」
「瑠奈ちゃん、剣道部だったよね?」

私だって何が楽しくて剣道をしているのか分からない。
答える自信がないし、胸を張って言えるものでもない。
ただ一つ分かっているのは、剣道を媒体にしていることだ。

「おっ、竜也っ。ちゃんと勉強したか?あと2日だぞ」
「昨日はあんまりできなかったな。そういう悟志はどうなんだよ」
「俺に聞くか~?」
「聞くだけ無駄か……」

西倉君と談笑している彼は剣崎竜也。
私と同じ剣道部に所属しており、腕は互角ぐらいでよく一緒に練習している。
いつからだろう。彼に好意を持ったのは。
西倉君の親友であり、西倉君は私の友達。
さらに剣崎君は私の部活仲間で、友達の親友。
こんなにも恵まれているのに、全く行動に移せない私が居る。
情けないよ……。

「高岡、ちゃんと毎日竹刀振ってるか?」

何気ない会話に私の胸は大きく高鳴る。心臓の音が漏れてしまうかもしれないと思うほどだ。
頭の奥が熱くなってきて、何も考えることができない。
そんな私を見て不思議そうにしている彼を見て、私はやっと普通の思考ができるようになっていた。

「うん、剣崎君に負けないように頑張ってるよ」

例え片思いの恋でもいい。恋をしている自分に酔っているのかもしれない。
でも、わたしは彼のことが好きなんだ。
ずっと、恋をしていきたいのだ。
5

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