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やまのおはなし(暴力描写注意)

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漆黒が空を覆い尽くす
紅蓮が私を覆い尽くす
私の目に映る世界が2色に分かれる
今私はとても気分が良いのです

移民船の中で産み落とされた私は
親の顔を見た事が無く
掃き溜めのような街で
飢えと寒さに必死で抗い
激しい孤独が常に付きまとい
そして私には夢があったのです
黄ばんだ本が私の宝物でした

それは雲一つない青空の日でした
口から泡を吹かした男の人が
その手に斧を持っていて
私の両腕を
その斧は錆びていて
とても切れ味が悪く
何度も何度も振り下ろされて
私の意識は
その両腕と共に
すり潰されるように
切り離されてしまいました

次に私の意識が戻ってきた時
日は沈みかけていて
私の身体からは咽びかえるような血とケモノの臭いが

ああ、なんという屈辱

止め処無く噴出してくる黒い感情とは裏腹に
目の光はその力を失っていき
私はこの世のすべてを呪う事しかできないのです
来る日も来る日も呪いの言葉を
口が朽ち果てても
男を呪い
親を呪い
街を呪い
夢を呪い
私を呪い
あなたを呪い

私の激情は溶岩に
私の劣情は絶壁に

いつしか私は
私があった場所は
大きな大きな
火山となっていました
2

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