題名:D-ICE
登場人物:的場 楯(じゅん) 剣姫の弟。大学生。実家通い。ゲームセンター「KING」でアルバイト。
的場 剣姫(はやき) 楯の姉 独立して一人暮らし中。ICE社のD-ICEの開発課所属
桜木 京 (さくらぎ きょう)ゲームショップ「QUEEN」の店員。一応、D-ICEのプレイヤー。楯の行きつけで仲良し。
小遊鳥 晃騎(たかなし こうき) 楯と同じ大学。ありがちな昔からの親友。
月見里 月那(やまなし つきな) 晃騎の彼女。芸術大学在籍。
我孫子 草次郎(あびこ そうじろう) 前回のD-ICEの優勝者。現在、フリーター
瑠璃垣 速人(るりがき はやと) 剣姫の同僚。一応、部下だが口が悪い。
倭 姫百合(やまと ひめゆり) D-ICEの審判。詳細不明。
真澄ますみ(まずみ ますみ) 女子高校生。多分脇役。ちょっと内気
D-ICEとは…開発元:International Create Entertainment社(略してICE)開発
名前の通り、ダイスゲームである。
ゲーム内容は、まず最初にダイスを振り出た目により自軍のリーダーの能力が決まります。勿論、相手と一緒の能力になる場合もあります。
この時、ダイスの振りなおしが2回できます
その後、制限時間以内にデッキを組みます。
デッキは50枚で構成されます。
カードの種類は、OGカード、サポートカード(防)・(攻)、マジックカードの4種類です。
カードはプレイヤーの分身となり一緒に戦っていくパートナーです。
このゲーム最大の売りはOGカードを自分自身のDNAで作るという所です。
なので、他人と被ることがありえません。
まず、D-ICEと一緒に梱包されているOGカード作成機に髪の毛を一本入れてください。
それで、約一日でDNAが解析され貴方だけのOGカードが完成します。
ではカードの説明に移ります。
まずはこのゲームのメインとなるOGカードの説明です。
例:①ベリアスLv1 ②(魔) ③HP14/14 ④OP3 ⑤AP3/3 ⑥特殊能力:攻撃成功時、相手手札をランダムに一枚捨てる。 ⑦Exp 0/5
①カード名とレベル ②そのカードの属性 ③カードの耐久度 ④攻撃力 ⑤行動ポイント ⑥このカードが持つ特殊能力 ⑦経験値
⑦の経験値は相手に攻撃が成功するたびにポイントずつ溜まって行きます。そして、ポイントが溜まるとLvが上がり能力が上昇したり新しい特殊能力を使えるようになります。
サポートカードはこのゲームを左右するほど重要なカードです。
サポートカードには(防)と(攻)の二種類あり、それぞれ使い分けていきます。
名前で分かるように、(防)は防御時に(攻)攻撃時に使用します。
例:①守護結界 ②サポート(防) ③2 ④効果:1ターンの間相手OGから受けるダメージを1ポイント軽減する。
①カード名 ②カードの種類 ③使用AP ④使用時の効果
①棍棒 ②サポート(攻) ③1 ④効果:一度だけ攻撃時にOPに+1する。
①カード名 ②カードの種類 ③消費コスト ④使用時の効果
③サポート(攻)の場合APではなく、使用時に手札を捨てることになります。
※サポートカードは攻撃時と防御時、ともに一枚のみ使用可能です。
最後がマジックカードです。
マジックカードは、相手OGや両プレイヤーに直接効果のあるカードです。
例:①空間歪曲 ②マジックカード ③8 ④効果:使用したターン、両OGのAPが半分となる。端数はすべて繰上げ。
①カード名 ②カードの種類 ③捨て山にあるカードを除外します。 ④使用時の効果
※マジックカードは1ターンに何枚でも使用可能です。
そして準備ができれば対戦開始です。
先行はバトル無しです。
D-ICEはOGカードがパートナーとなり戦闘を進めていきます。
そして、能力を決めるためダイスを振ります。
プレイヤーはOGカードのサポートを行っていき最終的には相手OGのHPを全て減らした方が勝利です。
ターンの流れとしては
ドローフェイズ ※①・②
↓
OGカード行動フェイズ※③
↓
OG同士のバトルフェイズ
↓
エンドフェイズ
※①このゲームのドローは特殊でドローフェイズ時に1~6の数字を宣言します。そして、ダイスロールを行い宣言した数より多ければ最初に宣言した枚数分ドロー出来ます。1と宣言すれば必ずドローで来ます。
例:プレイヤーが4を宣言。ダイスの目は5。よってプレイヤーは4枚ドローで来ます。
プレイヤーが6を宣言。ダイスの目は3。この場合、プレイヤーは一枚もドロー出来無いことになります。
※②ドローするカードが無い場合、リサイクルフェイズに変わり捨て山がデッキに変わります。その時、一度シャッフルを行います。
リサイクルフェイズではドローも無いので圧倒的に不利になります。マジックカードも必然的に使用することが出来ないのでサポートカードで乗り切りましょう。
それでは、簡単に説明も終わったところで実際に一度対戦を始めてみましょう。
分からないことがあれば、P15のヘルプを参照してください。
カードバトルの説明は以上です。
それでは、D-ICEのもう一つの遊び方を説明します。
D-ICEでは自分で作ったカードをインターネットに登録してアバターのようにネット上でのコミュニケーションを取ることが出来ます。
そこでは、実際にカードバトルもすることも出来ます。
そして、インターネットの象徴である他人との関わり合いでAIカードにも直接影響を及ぼします。
例えば新しい特殊能力が追加される。または、能力値が変更されるなど色々な事があります。
そう、OGカードはもう一人の自分。つまり、人間なのです。
人間は他人と関わり、影響し合い互いに成長していくものです。
それがいい方に向くもの悪い方へ向くもすべては貴方次第です。
HPのアドレスはこちら httpp://ice.co.jp/
第一幕 的場 楯の挑戦
「ふ~ん。姉貴ってこんなカードゲームの開発してたのか。俺にゃあんまり向いてなさそうなゲームだな~」
俺はそう言いながら説明書を机の上に投げた。
「まぁそうだな。お前の頭じゃこのゲームは難しすぎるな。しかし、プレイするなら俺が教えてやらないことも無いぞ?」
このお方は、的場 剣姫様。俺の姉。昔、色々あって逆らえない状態にある。
見た目はちっちゃい(多分、150cm位?)なめてかかるとえらい目にあう。
すごく偉そうな事言っているが、実際にすごく偉いのでどうしようもない。
会社の方でも若くしてあのD-ICE開発部門に配属され上司の信頼もずば抜けて厚い。
俺と比べりゃ天と地ほどの差がある。本当に俺達姉弟か?
それでも、俺には誰にも負けない物がある。別に興味ない?
いやいや、それを言われると話が進まないと思うから言わせてくれ。
自分で言うのもなんだけど相当が運がいいと思う。
うんまぁそれだけなんだ。
あと、念のために自己紹介もしておこうか?男なんて必要ない?それも一理あるが聞いてくれよ。聞かないと後で分からなくなっちまうぜ?
つ~ことで、俺は的場 楯。×○大学に通っている20歳の大学生だ。只今、彼女募集中!
「それでどうする、楯?」
おっと、変なこと説明してる間に姉貴の質問をうっかり忘れてたぜ。
どんまい、俺。
「そうだなぁ。別にやってもいいんだが金かかりそうじゃん?姉貴も俺の趣味知ってるだろ。結構お金かかるからあんまり他のには使いたくないんだよね」
「あぁ勿論知ってる。ふむ、開発に携わったものからすれば一人でも顧客が増えればと思ったんだが…」
「弟を顧客としてみるなよ...」
「お前がしないというなら…そうだな」
あ~ぁ、何か考えてるよ。
「D-ICEのカードセットをタダでやろう。それなら文句はないだろう?」
「ただでくれるなら貰うけど何か裏でもある?」
こういう時って普通、何かあるって考えるのが常識だよね。むしろ、無いと話が終わってしまう。
「当たり前だ。タダより高いものは無いってな」
「まぁいいけど、そんで俺は何すりゃいいわけ?」
「その事なんだが、お前には普通にプレイしてもらうだけでいい」
「はぁ?プレイするだけ?本当にそれだけでいいの?」
怪しい…怪しすぎる…違和感全開だ。
しかしタダで貰って普通にプレイするだけなら…
「あぁ、俺がお前に頼むのはD-ICEをプレイしてもらうだけなんだ。後、一応言っておくがプレイしなくても直ぐ分かるからな」
考えても分からないから一応に貰っておくか。
「ふぅん。ま、貰ったからにはさすがにプレイはするよ。このゲーム、運が良けりゃ勝てるんだろ?」
「どのカードゲームでも言える事だが、その時必要なカードを引けるやつが一番強いんだ。しかし、それを補うための戦略も勿論存在するぞ。運だけで勝てると思ったら大間違いだ」
「そんなこと言われなくてもわぁ~ってるよ。しっかし、俺は今までカードゲームっていうのをやったこと無いんだが」
「そうか。ならば俺のデッキと一度対戦してみるか?初心者のお前にも分かるように説明しながらやってやろう」
姉貴と対戦か。
さすがに初心者には本気を出さないだろう。と、思ってる奴は甘い。
姉貴は手加減というのが凄く嫌いだ。例え、身内で俺のような初心者でも最初から全開で来るだろう。
一応、聞いてみるか。
「聞くけど、手加減なんてしてくれないんだろ?」
「当たり前だ。手加減なんて相手を見下したことなんぞ俺にはできん。っと、忘れてたな。まだ、お前OGカード無いじゃないか」
「そういやそうだ。カード作らないと対戦できね~じゃん。つ~ことで、また明日だな」
「残念だが明日は仕事だ。だから、他のD-ICE知ってる奴のところに行って来い」
D-ICE知ってる奴か…
晃騎とかの知り合いにいないかな。
「明日大学行って晃騎にでも聞いてみるわ」
「それがいいだろう。何だかんだ行ってもちょっとはやりたいんだろう?」
「いやいや、やらないと約束破ることになるだろ?ただ、それだけだよ」
何だか姉貴がニヤニヤしてる。
さすがにバレバレだよなぁ。
俺だって自分の分身と一緒にゲームしてみたいんだよ。どんなのが生まれるか楽しみでしょうがないんだよ。
すげぇかっこいい奴ならいいなぁ。侍とか西洋の騎士とか憧れるよな~。
明日がすっげぇ楽しみだ。
「それじゃあ、俺はそろそろ帰るから父さんと母さんによろしく言っておいてくれ」
「ん?晩御飯食べてから帰ったらいいじゃん」
「それでもいいんだが、いかせん急ぎの仕事があるのでな。それはまた今度の機会だ」
しょうがない、物で釣ってみるか。
「今日は姉貴の大好きな鰤大根用意するって言ってたよ」
「何だと?本当なのか?」
「今日は姉貴が久しぶりに帰ってくるって言うんで母さん、おいしいの作るって言ってたよ」
さぁ、姉貴は仕事と大好物どっちを取るのか!
「そうか。なら、久しぶりに食べて帰るとするか」
決断早いな、オイ。
「仕事の方は大丈夫なのか?」
「部下に連絡しておけば大丈夫だろう。ちょっと待ってろ、今電話入れてくる」
そういって、隣の部屋に入っていった。
仕事より好物を取ったのが少し驚きだったけど、母さんの料理が無駄にならなくて良かった。
でも、それ以上に俺、鰤大根苦手なんだよな~。
二重の意味で助かったよ。マジで。
とか、考えている間に姉貴の戻ってきた。
「部下の人はなんて?」
「色々文句言われたが何とかしてくれるだろう」
「へー。信用できる部下?」
「馬鹿だが、信用はできる」
「馬鹿なんだ…」
「あぁ、確実に馬鹿だ」
何だか、部下の人に共感を覚えた…けど気のせいだろう。
「それより、晩御飯食べていくのはいいけどまだできるまで結構時間あるぜ?」
「それもそうだな。楯、久しぶりに一緒にすごすんだ何かいい暇つぶしはないか」
「この間、発売したゲームで対戦とかどう?」
「そうだな。それなら暇つぶし程度になるだろう。決定だな」
勿論、このゲームを選んだには理由がある。
それは、姉貴がこのゲームは初心者ということだ。
だが、俺は経験者!
圧倒的有利に進めることができる…はずだった。
まぁ人間誰だって失敗もする。
今回のは稀に見る大失敗だ。
何たって30分位すれば姉貴はもうほとんど互角に戦っている。
「ちょ!無理無理!」
「勝負に手加減無用」
WINNER 2P!!!
世の中、経験ではどうにもできない才能の差があるということは俺は今日、痛感した。
「はぁ・・・姉貴にはゲームでも勝てないのかよ~」
「いちいちそんなこと気にするな。高々ゲームだ。む…?下から匂いがしてきたな」
「あぁ、もうそんな時間か。そろそろ下に下りようぜ」
「久々に家族と一緒に夕食か。楽しみだな」
でも、俺の嫌いなぶり大根…
そんなわけでいつもの食卓に+1され賑やかな夜になった。
第一話 了