第九話『ラオウと豪鬼の鬼ごっこの果て』
「へぇ、そんな格好してるんだ 古風だねぇ」
指定された場所に行き着いた先に居た人物に声をかける。
「何いきなり話かけて来てるわけ?」
―――――――い?
面をくらって、一瞬黙ってしまう。
「ぇ、いや あなたが先程の“ナイト”さんですよね?」
もしかしたら、違う人・・・?いや、確かにここだった気が・・。
「いかにもおれが“ナイト” おまえが依頼sしゃか?
おれは忙しいはやく用件を済ましたィんだが?」
―――――――調子が狂う人だなぁ。
そもそもアイツが私の言うことを聞いて大人しくしてれば
こんなおかしな人に依頼する必要なんてないのに・・・・
まぁ、いい 渡す物は、渡してさっさと寝床に帰ろう。
「えぇ、確か 12本だったわよね?」
何とまぁ、曖昧な金額の要求なんだと思ったがとりあえず
1200万の金が入ったトランクが手元にある。
「・・・・・・・それでいいのか?」
「え?」
「これだけの大金を簡n単にわたす
貧弱一般人のおまえにそれで良いのか?といってrるんだ」
男は、いきなり私に向けてパーに開いた右手を突き出し
右手に親指だけを隠した左手を重ねて続けて言った。
「9本でいいおれは謙虚な“ナイト”で有名なnんだ」
「は・・・はぁ」
「安心しろ おれは腕力も強いしこのシマでも圧倒的な影響力
と人気を得ている だからおれはやり手でそのうえ謙虚で
有m名なんだ 必ずおまえはおれの見事な仕事に感動するだろう」
何だろう、やはり調子が狂う 早く帰りたい。
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―――――聞いてくれ
俺は今ある死活問題を抱えている。
俺は、甲斐谷さんに何度も何度も直談判しに行った!
だけど、甲斐谷さんは「もう仲良くなったんだね」とか
「だめだよ、それは。 もう決まっちゃったし」とか
取り合ってくれない!
そんな会社なら、会社を辞めればいい?
あぁ、そうだよ! 俺もニートに戻るのは嫌だったけど
流石にこんな環境じゃ仕事なんてできない!!
だから、俺はとうとう言ってやった。
しかし、ここで衝撃の事実を俺は知ることになる。
「え、辞めてどうするの? 図師君 うちに多額の借金が
あるんだけどどうやって返していくの??」
「え???どういう事っすか?」
どうやら、俺にかかった開発費やら色々含めて
とんでもない額の借金が俺にはあるらしい。
極め付けには、
「そもそも、君は定期的にメンテナンスうけないと」
そう、すっかり忘れてる科学者様の存在があったのです。
それは、ともかく話を戻そう。
何が死活問題かと言うのかというと、原因は目の前のこいつにある。
「な、なによ 人の顔じろじろ見て」
この目の前のスーツ姿の女の名前は、鈴音という。
どこにでもいる可愛らしい少女の様だが外見に騙されてはいけない。
―――――――殺人未遂犯である。
ついこの前、「パートーナー認定試験」とか言って
大振りのナイフ片手に追いかけ回し、これから始まるであった
俺の薔薇色のビジネスライフをぶち壊してくれた糞スィーツだ。
こいつのせいで散々な被害を受けている。
どう被害を受けたかというと、数日前の事だ。
先程も語ったが、俺はナイフ片手に追い掛け回されていた。
必死に逃げた先は、屋上という逃げ場無しの死亡フラグまっしぐらな
場所であったんだがここで俺は決死の覚悟を決める。
生憎、空を滑空する事は一度経験しているので
俺の鋼の両脚ならば今回も耐えてくれるであろうと
ビルの屋上から飛び降りたのだ。
馬鹿女は、「え、うそ?」 とか言って、唖然として
俺が飛び降りる様を指を咥えて見る事しかできない。
―――――――漸く、平和が訪れた
と滑空しながらそう俺は安堵していた。
しかし、俺を嘲笑うかのように地面に着地した瞬間
その平和は無残にも通り過ぎていく。
突如、腹部から綺麗に鮮血の嵐が飛び出たのである。
何が起きたのか全く理解できない俺は、そのまま
ドクドクと飛び出ていく「my blood」を呆けて見るしかない。
オフィス街の為、人目は多く。
あちこちから「キャー」とか「うわっ」とか悲鳴が耳に入ってくる。
そろそろ説明が面倒なのではしょってしまうと
後日、「英雄、オフィス街で大パニックを引き起こす!」
だとか「血みどろの英雄、彼に何が!?」とか各誌の新聞の
一面を再び飾る事となった。
萱原曰く「この前の時の傷が治ってるわけが無いだろ」
との事。 ですよねーと後で頷く事しか出来ない。
ともかくこの事件のせいで、俺は会社中に「血みどろの人」のイメージを
植えつけてしまったのである。
お陰で、受付嬢から「流血君」とか言われる有様だ。
お陰で、受付嬢から「流血君」とか言われる有様だ。
これが、俺が被った被害の全貌である。
因みに、後になって「流石に、やり過ぎた」と思ったのか
応急処置を受け終わった俺の元へと「鈴音」は、謝りにきた。
謝るのは、謝ったが
「でも、あんた何か絶対に認めないんだからね」
なんて去り際に言い残して行きやがった。
あれは、ようするに『隙あればいつか殺す』という事なのだろう。
「俺は、殺られねーからな」
目の前の馬鹿女に「宣戦布告」で返す。
今、思ったが最近ろくな女性に出会ってない。
糞だとか馬鹿だとか前頭につけざるを得なさ過ぎる。
俺の心のオアシスは、今の所受付嬢の丸山さんだけだ。
「ちょっと、なにそれ どういう意味よ」
「あぁ?自分の胸に聞いてみろよ。 その“胸”にな!!」
鈴音は、一瞬自分の胸元に視線を落としたかと思うと
顔を真っ赤に染めたかと思えばすぐ様に鬼の形相へと表情を変えて行き、
「へぇ、あんた・・・・またやるっていうの?」
内に眠る殺意の波動を新人へとぶつけてきた。
その殺意の波動を受けて、俺はある事を直感的に感じた。
く、コイツ―――――――できるッ!!
“奴”の全身から妖しげなオーラが覆ってるような幻覚が俺には見える。
これが、暗殺拳を極めし者だけが纏うと言われる“殺意の波動”か・・・・・
――――だが、
「―――――――よかろう、今思えば俺のイメージは
貴様のせいで既にミジンコレベルにまで堕ちた。
もう失う物は何も無い。ならば、我が覇道を突き進むまでッ!!」
これで怯む『拳王』ではないッ!!
言い終わると同時に“殺意の波動”に触発されて
俺の“闘気”のオーラが爆発する。
「もう、あんたのそのアホな技にはやられないわ」
「サイボーグは、ナイフ如きに怯まねぇぜ?」
「―――――――笑止ッ!」
“殺意の波動”と“闘気”がぶつかり合いながら互いの間合いをじりじりと詰めて行く。
「「―――――!」」
今――――、
『拳を極めし者』と『拳王』が雌雄を決する!!
「あー、盛り上がってる所悪いがいいかな?」
「「あ、はい すみません」」
いかにもな社長室にあるような椅子に座って世紀の決戦の
一部始終を見ていた社長の声で『現実』に戻ってきた俺達は、
ハモって反応した。
「いや、仲が良い事はとても良い事なんだけどね」
すみません、社長! 失礼を承知で
進言したいのですが、眼科に行かれる事を僕はお勧めしたいです!
「甲斐谷さんって、卑怯ですよね。
こんな奴を仕向けて私と康平さんを引き離そうとする何て」
「いやいや、これも会社の為だよ 適切な人事だと僕は思うよ」
「うっ・・・」
ニッコリと笑って返す甲斐谷さん。
その笑顔と目に見えない圧力には、流石に反論できないんだろう。
「まぁ、君達を呼んだのは他でもない。仕事の件だよ。」
ちょ、俺の直談判が遂に通ったと思って来たのに!!
「はぁ。まぁ、康平さんは帰ってきてないし
一応こいつと『三木』さんでやりますよ」
あっ! そういえば、俺まだ『三木』さんに挨拶してないや。
「で、依頼内容ってなんです? んで、何処に飛ぶんですか?」
「うん、依頼内容なんだけどね・・・・。
―――――――『要人警護』だよ。飛ぶ必要は、ないかな。」
『三木』さんってどんな人なんだろうか?
とりあえず、まともな人な事だけは祈りたいな。
「ん、珍しいですね。 日本で『警護』だ何て?
って、うちに依頼してくる辺り・・・やっぱり?」
「うん、危ないかな」
「・・・・・え、それってどのくらいです?」
「結構」
『三木』さんが良い人だったら進んで友達になろう!
なるべく人とのコミュニケーションを大切にするんだ!
うんうん、『三木』さんと仲良くなれたら俺
『ミッキー』って呼ぶことにするわ。
そんで、『三木』さんが『にー君』とか言って・・
顔を引き攣らせながら質問する鈴音
満面の笑みを崩さないまま返答する甲斐谷
まだ見ぬ『三木』さんとの挨拶を脳内シミュレーションしだす新人
【JOAT】社長室には、混沌とした空気が漂っていた。