小説1・第7話
ある日、榎本から電話がかかってきた。
一樹:「はい、もしもし」
榎本:「一樹ぃ、明後日開いてるー?」
一樹:「開いてるけど何か?」
榎本:「明後日さー、福岡のばーちゃんち行くのだけどお前も行く?」
一樹:「俺が行くと迷惑にならないか?つか、交通費どうするんだよ」
榎本:「大丈夫、お前が行くといつもより待遇良くなるからさー。交通費ぐらい払ってやる。羽田で待ち合わせだ」
榎本よ、それは遠慮というのだよ。
一樹:「別にいいけど。つかお前、彼女いるだろ」
榎本:「ああ、いるよ。お前、変な期待するなよ。 アイツ、ブサイクだから」
瑞穂:「なぁーんですってぇ?」
榎本:「み、瑞穂。なぜ、ここに」
瑞穂:「おばさまに入れてもらったわ。幸司をビックリさせてやろうと思ったら...」
瑞穂:「幸司、ちょっと来な!」
榎本:「瑞穂ちょっとやめろ。悪かった、許せ」
ドカバキグシャボキバキギャァァァァァァァァ
受話器の外から悲鳴が聞こえた気がした。
瑞穂:「あなたが一樹君?幸司から聞いてるわ。あたしは、塚本瑞穂。よろしくー明後日行くからねー」
一樹:「あ、はじめまして。明後日は、よろしく」
そして、明後日
榎本:「おまたせー」
一樹:「お前が遅れてどうする?」
瑞穂:「一樹君、瑞穂でぇす。よろしくねー」
一樹:「こちらこそよろしく」
榎本:「そろそろ搭乗手続きするぞー」
一樹:「へーい」
そして、飛行機に搭乗した。
榎本:「う、うっぷ、おぇ」
一樹:「おい、大丈夫か?」
瑞穂:「一樹君、放っておいていいよ。いつものことだから」
一樹:「ほう」
瑞穂ちゃんの榎本の扱いは、手馴れたものだった。 瑞穂ちゃんと榎本が長い付き合いであることを実感した。
最寄駅である福岡の大野城駅に着き、まどか号に乗り込んだ。
そして、ザ・モールで下車した。
榎本:「ここからどうやって行くんだ」
一樹:「じゃちょっと人に聞いてくる」
俺は、近くの同じ年ぐらいの人に道を訊いた。
一樹:「あの~、○○へはどうやって行けばいいですか?」
雄一:「ん?○○?えーっとー こういってーこういってー」
弓子:「何でそんなわかりにくい説明しかできないの?」
雄一:「しょーがないじゃん」
弓子:「えーっと。○○へはあの道があるでしょ。あの道をまっすぐ200Mぐらい下って、そこを右に曲がればすぐつきますよ」
一樹:「ありがとうございます」
ちなみにあの2人は、kさん原作の「時の奏でるメロディ(仮)」からの特別出演である。お疲れ様でした。(ぇ
2人に教えてもらったどおりに行くとすぐ着いた。
榎本:「ピンポーン」
榎本の祖母:「ハーイ。幸司ちゃん?」
榎本:「うん。あと、一樹と彼女も連れてきた」
祖母:「じゃあ開けるねー」
ガラガラガラ
祖母:「あら、幸司ちゃん、一樹ちゃん久しぶりねー。この子が彼女さん?」
瑞穂:「あ、はい。彼女の瑞穂です」
祖母:「瑞穂ちゃん、幸司ちゃんをよろしくねー」
祖母:「じゃあ中に入ってー」
数時間雑談をした。
一樹:「あのさー、瑞穂ちゃんとどうやって出会ったんだ?」
榎本:「中三の時の学園祭で瑞穂をナンパして、それから付き合うようになったんだ」
一樹:「いかにも榎本らしいな」
榎本:「しかし、付き合って見るとなぜか喧嘩ばかりしてしまうんだ。それでも2年は付き合ったのが不思議だ」
一樹:「それほど仲が良いのだろ」
榎本:「逆にお前に聞くけどさー、北条とはABCのどこまで行ってる?」
一樹:「どこにも行ってねーよ(怒)」
榎本:「手も繋いでいないからなー。ちょっと聞いただけ」
一樹:「何だよそれ。お前はどうなんだよ」
榎本:「話すと瑞穂に殺される」
一樹:「すまんな」
そして、就寝時間になった。
祖母:「一樹ちゃんは、手前の部屋で、幸司ちゃんと瑞穂ちゃんが奥の部屋ね」
榎本:「ばーちゃん、何で瑞穂と一緒なんだよ」
瑞穂:「そーよ、そーよ」
祖母:「いいじゃないの、恋人同士なんだし。じゃあおやすみー」
一樹:「じゃあ俺も」
瑞穂:「こっち見るんじゃないわよ」
榎本:「こっちも見るなよ」
雨が降り始めた。
榎本:「朝までは止みそうにないな」
瑞穂:「そうね」
ゴロゴロゴロ、ピッシャーン。ドーン
瑞穂:「キャー」
瑞穂ちゃんが榎本を恐怖のあまり抱いた。
榎本:「ちょっとおいやめろって」
瑞穂:「お願い。抱かせて」
瑞穂ちゃんは雷に弱いそうだ。瑞穂ちゃんは、泣きそうな表情で榎本に頼んだ。
榎本:「仕方ねぇなぁ。雷が止むまでだぞ」
しかし、雷はなかなか止まない。もう、2時を回っていた。
瑞穂:「あたしたちが付き合い出して何年目だっけ?」
榎本:「2年目だろ?それぐらい覚えとけよ」
瑞穂:「うるさいわね!べ、別に好きで付き合っているんじゃないんだからねっ」
榎本:「こっちだって好きで付き合ってじゃねーよ!」
瑞穂:「じゃあ何で別れないのよ!」
榎本:「お前のことが好きだからに決まってんだろ!」
瑞穂:「あたしだって、あんたのことが好きだから付き合ってんのよ!」
榎本:「結局、お互い好きだから付き合っているということだろ?」
瑞穂:「そうみたいね」
榎本:「雷、治まったじゃん。さっさと離れろよ」
瑞穂:「あー、ようやく離れられるー」
榎本:「なんだとー、このー」
瑞穂:「何よ!」
チュンチュン、チチチ
一樹:「おーい起きろー」
もう、既に朝になっていた。榎本と瑞穂ちゃんはまるで事後みたいな状態になっていた。
一樹:「あ、ゴメン。お幸せにー」
ガラガラピシャ
榎本:「俺たち一体、何やってたんだろう」
瑞穂:「そうね」
榎本&瑞穂:「アハハハハハ」
また、いつもの痴話喧嘩をしている。ま、喧嘩するほど仲が良いって訳か!
<第8話へ続く>