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1.迷惑な客


突然だが、コンビニのバイトは割と大変なのをご存知だろうか
レジで突っ立ってるだけが仕事じゃないんだぞ、わかってます?
わざわざ説明するのも面倒だから省略させていただく
そんな勘違いしてる馬鹿がいるおかげで、誰にでもなく愚痴をこぼしたくなる。もちろん脳内で。

と、まぁ今も困った客に絡まれてるわけです。
「ねぇ、何でこのお弁当は500円なのにコッチは520円なの?」
何でこの女は真剣な顔でこういうことを聞いてくるんだろう
そんなに気になるんだったら本社にでも電話しなさいな、俺は止めない。
なんてこと言えるわけもなく
「量やおかずの質の違いじゃないですか?」
などと適当かつそれっぽいことを言っておく、まぁ多分合ってるだろうが。
それで納得して帰ってくれればいいのだが、世の中そう甘くないね
「でも私から見たら500円のほうが高そうよ?これは何故かしらね」
まだ絡んでくるかチクショウ
と、いうか知るかよ、それはお前の主観だろ。
世の中の大半の人はそう思ってないかもしれない
俺も500円の方が高そうに見えてしまうがな。

とりあえず当たり触りのないことをつらつらと並べながら質問に応答していく
いい加減にしてくれ、もう30分はこれの繰り返しだぞ。
誰か助けてくれてもいいよね? さぁ助けておくれ相棒
と、一緒に入っている仲間に視線を送ったものの
逸らしてやがる、目線を逸らしてやがる。
何だこの孤独感、負けるな俺、がんばれ俺。
そんな感じで脳内パニック状態に陥ったその時
「あら、もうこんなに時間経ったの?」
俺は半ばキレそうになりながらもなんとか無表情で
「そうですね、時間が経つのは長いようで短いものです」
クールな俺カッコイイ。後で仲間に聞いた話だが、顔がヒクついてて怖かったらしい。

そんなこんなで女は「それ戻しといて、じゃね」なんて馴れ馴れしい口調で
ふざけた台詞を残して帰っていった。弁当をぶちまけたい気持ちになったのは初めてだ。
それから俺は残った仕事を時間内に片付け、野菜ジュースと水を買って帰宅した。
今日は何だか妙に疲れた、原因はあの女だろうがな
全く、もう来ないでほしいね。

「疲れた、寝る! おやすみ!」
誰に言うでもなく叫んでから布団に入ると、すぐに眠れた。
疲れてたからだな。

その翌日、また妙な疲れを感じるハメになるワケですがね……。
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