最高だ
実に最高だ!
メイド
ああ、なんといい響きだろう!
詰まらない生活が一瞬にして詰まるものに昇華した!
しかもあの美貌!
男心がくすぐられて仕様がない
孔雀の羽根三枚でくすぐられているかのように、
いとおしく、むずかゆい電気が骨の髄を伝播する
重要なのは理屈ではない。
今、ここ、これが現実だということだ。
第3話
***
でもな…本当にこれは現実なのか?
自分でも気持ち悪いと思うくらい粘着質になってる。
現実、ゲンジツってな…
まあいい!とにかくこれですべてをハッキリさせよう!
では、初めての命令…じゃなくてお願いをしよう。
「頬をつねってくれないか、僕の!」
…言ってておかしいと思ったさ。ああ!思ったとも!
俺は被虐志向ではないと思ってたのに…。
「へぇ?あ、はい」
あ、やっぱり困られた。というか引かれてるのか?
当然ちゃ当然だがな。
給食のリクエスト献立決めるときに、揚げパンが人気を博するぐらいの高確率だ。
「では、やりますよ」
あ、でもちゃんとやるのね。仕事はきっちり果たすタイプなんだな。
彼女が右手をそっと、俺の左頬のほうに伸ばしてくる。
その手は、おしろいが塗ってあるかのように白く、透き通っている。
桃花の香りがした。
彼女の手が俺の領域に触れた。
あたたかい、安らぎ。
ゆびで、やさしく、ほほをはさんだ。
「いきますよ、いいですか?」
「どうぞ」
ギュッ
先程の指とは対照的に、力強い。
痛みが感じられる。イテテ…
だが、これは現実であることの証明だ!
俄然喜びが湧き上がってきた。
むろん、美少女につねられたからではない。と思う…。
「もう結構ですよ」
「はい…」
無意識のうちに目を閉じていた。
広いたその前には、当たり前のように、いる。
少し当惑した表情を見せている。
もしかしたら、つねられてたときに、恍惚を情示していたからかもしれない。
「痛くありませんでしたか?」
「痛かったです!」
「す、すみません!」
「いえいえ、いいんです!」
今の俺は、アルコールが入ったときの俺よりも確実にテンションが高い。