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第二話

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栗栖の目の奥が精子色に輝いたあの日から早くも1ヶ月が経とうとしていた。




人間の順応力とは恐ろしいもので、3年6組の者達も、その異様な授業風景にすでに慣れ始めていた。飛び交う栗栖の精子、乱れ飛ぶ栗栖の精子、気持ち悪い栗栖の喘ぎ声。
いつものように栗栖が黒板に射精し、白く、美しい曲線を描きそれを元に授業が進行するのだ。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

始業のチャイムが鳴った。
クラス全体が大きくどよめいている。何か特別な出来事があった訳ではない。血気盛んな高校生が30人も集まれば、それはそれは騒がしくもなる。教室全体がジェット機のエンジンのような轟音の真っただ中にあった。
そんな教室を一瞬で静まり返らせたのは、ガラリというドアが勢い良く開く音。
そう、次の授業は数学だから入ってくる先公といえば、あいつしかいないのだ。
皆が「うすハゲ」と呼んでいる。その男は栗栖トリ。

教室が手のひらを返したように、もしくはまるで見合いの席のように静まり返った。
耳を澄ませば、カコンという心地よい獅子おどしの音が聞こえてきそうな程である。
いや、何の理由も無しに、このクソガキ共がこうも静まる訳は無いのだ。
実はつい先日、このクラスのクソガキ代表格の一人であったマサが、栗栖が教室に入って来ても携帯電話でひたすらに騒いでいた時、栗栖はその命中精度99%と断言する、肉棒ショットガンでマサの目玉向けて、一発ド濃いのをお見舞いしたのだ。
その特製精子弾が見事に命中したマサは、もんどりうってその場に倒れ、そのまま病院送りとなった。今も集中治療室にて治療中で、予断を許さない状態だという。

生徒達の視線は栗栖に釘付けになっている。なぜなら今日も栗栖の股間が丸出しだからである。春の心地よい風にふかれて、気持ちよさそうにちん毛もなびいている。
しかも・・・何という事だろう。今日は中途半端なことに半勃ちである。気持ちが悪い。

そんな生徒達など気にもとめず、栗栖はサササッと教卓まで移動し、少し間を置くと、大声で叫んだ。

「号令!」

「起立ー!」

生徒達は一斉に立ち上がり、礼をした。

「んふぅ~かわゆいねぇ~じゃあクリちゃんのちんちん勃起授業始めちゃうぞぉ~」

彼は小さく呟き、こうして今日も授業が始まったのだった。

今日は積分の話の最後の方からであった。
すでに数学・栗栖クラスの授業進度は、成績優秀者が集う3年4組すら大きく追い越していた。
栗栖の熱心な射精により、6組の治安は一気に回復し、皆の授業態度も真面目腐ったものになっていった。
授業中はシンと静まり、聞こえるのは生徒達がせわしく筆記用具を動かす音と、栗栖の射精した精子が黒板に勢い良くぶち当たる音だけとなっている。


-----栗栖は何気なく黒板に手を当てた。なでてみると、多少の起伏が出来ているのが分かる。精子のなんとたくましいことか。彼の精子で少し黒板が削れているようだ。
栗栖はそれに気付くとフッと笑い、生徒達の方を向いた。
そしてこれから何をされるのかと、怯えきった目をしている生徒達に向けて一言だけ優しく言葉をかけた。

「むへへへへへぇ」

教室は依然として静まり返っている。
むしろ先ほどよりも静けさが増したのは気のせいか。
1分ほどの間、誰も笑わないのを確認すると、栗栖はまた授業に戻った。

始業から20分。授業中、寝ている生徒を栗栖は発見してしまった。
その瞬間、栗栖の目の奥が精子色に輝いた。
目にもとまらぬ、妖怪のようなスピードでその男子生徒の机の脇に経つと、自分のポコチンをこすった。
---  しごいた。
-----    摩擦した。   激しく・・・・
              これぞマスターベーションだ



栗栖が絶頂を向かえそうになり、その口元からまたも不敵な笑みがこぼれている。
一体この教室の何人の生徒が栗栖を見て、こう思ったことか。
「気が狂っている。」
これは私見に過ぎないが、まったく、その通りである。

と、その時、男子生徒がふと目を覚ましてしまった。目の前にあるのは、恐ろしい程に膨張した栗栖のチンコ。いやポコチン。
生徒はやっとの事で喉から出て来たような、すっとんきょうな声でこう叫んだ。

「な、何やってんすか!!!」

それまで天を仰ぎながら気持ち良さそうにしていた栗栖は、その声に気付き、下を向いた。
男子生徒と目があった。
栗栖は顔面に力を入れて、目をカッと見開き、こう答えた。

「   マスターベーションだ!!!!  」
 
ドブチッ

精子が出た。男子生徒の顔にヒットした。男子生徒はいつかのマサと同じようにもんどりうってその場に倒れ込んでしまった。顔にはホカホカの精子がたっぷりと乗っている。

優しく微笑むと、栗栖は再び授業へと戻った。

それから10分が経過した。依然、先ほどの男子生徒は倒れたままである。ぴくりとも動かない。
ふと、栗栖は生徒に当ててみようと思った。無論、ポコチンではない。
教師として、ただ静けさにまみれて授業をするのは少し物足りない。そこで生徒に問題を答えさせようと思ったのだ。これは名案とばかりに栗栖は後ろを振り返り、生徒の一人、コバヤシを当てた。

「んふぅ~コバヤシィ~~このかけ算してみてぇ~~」

突然の指名に驚きを隠せなかったコバヤシは、そのあまりも簡単なかけ算を間違えてしまった。
どよめく教室。バカかよあいつ。そんな心ない声も聞こえてくる。もともと小心者で薄っぺらい脳みそしか持たない彼がそんな状況で平常心でいられるだろうか。
いや、いられる訳が無かった。
さらに正しい答えを答えようとして、どんどん変な答えを言っていく。教室はさらにどよめきを増していった。
その騒音がうずまく教室で、ただ一人孤独な空間を有していたのは、間違いなくコバヤシである。
そんなコバヤシを見ていて、いたたまれない気持ちになったのか、栗栖は一喝した。

「黙れぃ!!!!!」

教室が再び静けさを取り戻した。栗栖の口調からはいつもの気持ち悪いアクセントが消え去り、一人の人間として、教師としての声になっていた。

「いいか!コバヤシが答えを間違えたのは問題ではない!そんな間違いは誰にでもある!そんな事はどうでもいいんだよ!いいか!でもな!良く聞けよ!今一番問題なのはな・・・!!!ふん!」

そこまで言うと、栗栖は教卓から少し横にずれ、それまで教卓に隠れていた下半身を露にした。

「俺のちぃんちぃんがビンビンだってコトだ!!!」

皆の目が丸くなっている。

「うぉおおおおお」

そんな叫び声が聞こえたかと思うと、栗栖が突如として射精した。黒板にブチ当たる音がする。

ドバチャン!

生徒達は恐る恐る目をあけると、そこにはまたもや信じられない光景が広がっていた。

黒板には見事な達筆ぶりで「ちぃんちぃん」と記されてあった。
一体どういう考えでこの文字が描かれたのか、誰も理解出来なかった。栗栖自信もよく分からないようだ。その字を見ながら首を捻っている。

栗栖はいつもの口調でこう言った。

「んふぅ~~~んふぅ~~~なんでこんなの書いちゃったんだろうねぇ~~~んふぅう・・・うけけ・・・」
不気味すぎる。

ちょうどその時、教室の静寂を打ち破るようなチャイムがなった。終業だ。
栗栖はズボンを履くと、教室から出て行った。
生徒達に残されたのは、ぶちまけられた大量の精子の後始末と、先ほどから倒れている生徒のために救急車を呼ぶ事、そして何よりも、あの「ちぃんちぃん」の真意を読み解く事だ。
謎は、深い。

★次回、急展開・・・?

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