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プロローグ

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プロローグ

 綺麗なもののそばには、何時だって醜いものが存在する。あの美しくきらめく星々の間にさえ、何万光年という暗くて冷たい空気すらない世界が広がっているように。
だから、僕はこの世の中での「愛」とか「夢」とか「希望」とか、そういったものが嫌いだった。きっと裏には「憎悪」とか「失望」とか「絶望」なんかがきっと歪な笑顔をたたえて待っているのだ。
そんな思考の僕だから、憧れの先輩が「悪はいる!」なんて言い出したときは、逆に嬉しかったりした。いつも笑っていて落ち込んでいる人がいたら励ます、そんな気丈な先輩が、薄暗い教室で「悪はいるのよ、実際に」といった時にはなぜだか嬉しくなったりしていた。とことん天邪鬼な性格な僕だけれど、その先輩の言葉を聞いた時は「愛」という言葉を少しだけ愛おしく思えたりした。
だけれど、さっきも言ったように「愛」のすぐ後ろには「憎悪」や「失望」や「絶望」なんかが待ち受けていんだ。
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