「ギャグ系がないみたいなのでいくつか置いておきます劇場」
作者:TABB
※笑えなくても責任は取りません
■「愛は世界を救う」
「くそっ…!」
狭い部屋に空しく声が響き渡る。
「なぜ皆わかってくれないんだ…!!」
周囲は、無言で見守る。
彼等は簡単に言うと、ボランティア活動をする団体の人である。今日も世界で苦しむ子供達の為、駅前で募金活動を行ったのだが、案の定というかなんというか、大半の一般人どもは素通りであった。
「こうなったら…なりふり構っていられない!!」
ついに彼等は、募金活動の改革に乗り出したのだ。
まず、モデル事務所を訪ね歩き、モデルの卵の、ウインクひとつで人の一人や二人は殺せそうな思わず(自主規制)したくなっちゃう可愛~い女の子を買収、キワドイカッコをさせ黄色い声で呼びかけ。
さらに自分達も功夫を積み、芸を身につけ募金箱の隣でパフォーマンス。
ギターやサックスの演奏にジャグリング。
募金された金を消し、ハトに変える手品。
時にはゲストを呼び、有名お笑い芸人と漫才。
最初は、どうしようもない赤字だった。
しかし彼等はくじけなかった。血ヘドを吐くような特訓で自らの芸を磨き、必死で芸能プロダクションと交渉した。
その努力を神が見ていたのか。
だんだんと赤字は減ってゆき、通りすがった客が小銭を放るようになり、
3年で奇跡の黒字転換。
その後も彼等のショーは口コミで評判となり、黒字は増え続けた。地方から見に来る人もあった。
ついにはタモリやみのもんたが司会を担当するまでになり、その頃には黒字も半端な額ではなかった。プロジェクトXにも出た。
まさにドン底からの成功。成り上がり。
彼等はついに、高額納税者ランキングにまでその名を連ねたのである。
そして彼等の名前は伝説となる。
「青年奉仕団」の名前が。
「やった、やったー!!」
「…で、俺たち、何をしようとしてたんだっけ?」
完
■「サラダ」
ゴゴゴゴゴゴ…
「タオルからオヤジの臭いがするね、って君が言ったから…」
「…な、なんの記念日なの…?」
「命日」
「はやまらないで…!!」
■「前向きのススメ」
「いいか?物事ってのはポジティブに考えた方が得なんだぜ」
「へーえ、たとえば?」
「そうだな、、、例えば、女の子のズボン姿は、スカートより色気はないが、その分おしりの形を堪能できるだろ?」
「お前そのポジティブは間違ってる」
■「前向きのススメ2」
「はあ…どうしてわたしはこんなドジばっかり…最低だよ…」
・
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「またあの娘落ち込んでるなあ」
「ホントだ、そんなに気にする事ないのに」
「よしっ、元気づけてあげよう」
「おっ、いいとこあるじゃんか」
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「ねえ、」
「…なに?」
「このドジ」
「…え?」
「褒め言葉だ」
「うそっ」
■「英会話スクール」
「当校は、ネガティヴティーチャーをウリにしております」
「ネガティヴ!?ネイティヴではないんですか?」
「日本人ですが」
「・・・・・。」
「それではレッスンを始めマース」
「外人じゃねェか!」
「ノンノン、ワタシ日本国籍アルよ」
「・・・生まれは?」
「中華人民共和国デース」
「ここは英会話スクールですよね!?」
「それではレッスン1、リピートアフターミイ。」
「はいはい…」
「I’m tired…_| ̄|○」
「え?イキナリ何言わせてん・・・」
「I will die…_| ̄|○」
「あっこのへんがネガティヴなんだ!!?」
語尾に_| ̄|○って。
■「HERO」
2月になるとやってくる、彼の名は如月仮面。
どのへんが仮面なのかというと、般若の面をつけてるから。
「2月の代表行事はバレンタインではなく節分!」をモットーに、
弾数は年の数だけ装填可能な自慢のフルオート射撃豆鉄砲で街を行くカップルにありがたい福豆をぶちまける、東北の豆栽培農家からの刺客なんだ。
味気ない、たいして美味くもない福豆も彼にかかれば涙で塩味、世紀の美味!
独特の旨み、その味の深さはは人生の哀しみの深さからきているんだ。
今日も彼は豆(にこめた自身の想い)をぶつけて歩く。そのありがたい福豆によって清められた女性は処女に戻ってしまうんだ。
彼氏との交際をもみ消したい女子高生が彼に頼み込みに来たこともあった。
もっとも彼がその直後に浴びせたのは豆ではなく罵声だったけれど。
そんな彼はある日気付いたんだ。
自分、鬼の面してるから本来ぶつけられる方じゃん…
…彼が一番節分をわかってなかったんだ。
それ以来彼は女の子達に豆をあげるかわりに、自分にせいいっぱい豆をぶつけてもらうというプレイに目覚めたんだ。
皆も、節分の「鬼は外!」の際は豆を外にバラまくフリして目の前の道を歩いているカップルにぶつけてやってね!如月仮面との約束だ!!
おわり
■「マンドロフ」
マンドロフとは何ぞや。
わかっているのは、通貨単位だという事と、僕が先日500マンドロフをすったという現実だけである。
では僕が昨日失った500マンドロフとは、日本円にしてどれほどの価値があるのだろう。しかしそれはわからない。何故なら為替レートがないからだ。市場取引されてないモンに日本円で価値なんぞつけられるか。
金額で価値がつかないのだから物的価値をつけるしかない。では、マンドロフでいったい何が買えるのか。結局金銭の価値は消費活動によって現われるのであるから、結局はそこに帰結するのだろう。では、それを知るためにも、マンドロフの歴史をひも解いていきたい。
マンドロフは16世紀頃、ペニャンペニョン公国で使われ始めたという。当時公国には通貨という概念がなく、人々はブツブツ交換といって、ニキビや口内炎をむしっては交換する事で経済活動を成り立たせていたのだという。
しかしそれは悪習であった。あまりに国民が激しくむしるものだから、老若男女問わず肌が荒れ放題。まだ若年であった時の皇帝ペラペーラ8世は困り果てていた。「将来この国で結婚相手を探しても、肌がスベスベのねーちゃんにスリスリできねえ…。仮にハーレムを建造したとしても、このままでは300人集めたって300人が肌荒れだ!」
そこでペラペーラ8世は、当時天才として名高かったヤムヤムスキー兄弟に通貨の作成を命じたのである。しかし、通貨の作成は困難を極めた。経済的試算の難しさ、どうやって流通させるのか、弟が九九を覚えない、兄の円形脱毛症、兄弟揃って痔…。様々な困難が立ちはだかり、思うように進まない。
それでも何とか、お札の最初の1枚を完成させた2人は、5徹明けのナチュラルハイも手伝って、お札をヒラヒラさせながら山でスキップしていた。「ついにやったぜ兄さん!」「おう、これで俺らは世界一だ!スベスベの美女にスリスリだってできるに違いねえ!」ああ幸せの中2人は夢の中。そして、弟が足を滑らせた。
昨夜の雨で地盤が緩んでいたのだろうか。弟は崖から足を踏み外した。しかし間一髪、兄が弟の左手をつかむ。しかし5徹明けだからだろうか。引っ張りあげようにも、力が、入らない。
「両手で俺の手をしっかりとつかめ!」叫ぶ兄。しかし、弟の右手には、苦労の末完成させた、お札が。「ダメだ!」弟は叫ぶ。「両手を使うには、この札を捨てなきゃならない…そんなの、出来るワケないだろ!兄さん!この札を渡す。そしたら…手を、離してくれ」命など、もはやどうでもよかったのだ。
しかし。
「バカヤロウ!」兄は絶叫した。目じりで、透明な液体が光っていた。「…金なんかのために、かけがえのない家族を捨てられるかァ!そんなのは、外道だ。腐りおちて死ぬべき、外道だ。お前は、俺にそんな男になれっていうのか!?腐った外道に、身を落とせというのか!!?」熱い魂の叫びが、こだました。
「兄さん…」弟は、目から水をポロポロとこぼしながら。札を、手放し。両手で愛する兄のその手をしっかりと掴むと、崖から引き上げられ、そして2人は、固く抱き合った。
お金で買えない価値がある。
通貨はできなかった。皇帝にはこっぴどく罰せられるだろう。でも、それでよかった。それで、よかったんだ。
夕日が、輝いていた。
…で、結局マンドロフ作るの失敗しちゃったんだけど、どうしよう。