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あれ? 後編

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「どうしたんですか? 早く行きましょう理さん」
がちゃ。
聖と理が家を出た後従兄である京輔は携帯電話をかけた。
『もしもし?』
「あ、弟君? ちょといい情報が入ったんだけど」
『京輔兄さん? 僕今忙しいんだけど。兄さんとお姉ちゃんと一緒に旅行するんだけど』
どういうわけか知らないが弟は兄と一緒に旅行に行くつもりである。
大方姉の方が嘘をついて弟を連れ出したのだろう。妹の方は分からないが。
しかしどんな嘘をついたか知らないが姉についていくとは阿呆かバカか純粋かのどれかだ。
たぶん阿呆で馬鹿で間抜けなんだろうと従兄は認識した。
「ははっそん事といわずにさ。すこしでいいから聞いてみなって」
『今僕忙しいんだけど。もう空港に居るんだけど』
弟の口調に怒気が入る。
弟は普段は温厚で学校では男子女子問わず人気がある。その理由は例えどんなことしても絶対に怒らないというのがあるだろう。
しかし兄のことになると別である。そもそも怒らないというのは兄以外に関心が殆ど無いからである。
兄に危害を加えたり取られると思ったりすると途端に性格が反転する。
なんつーか死ぬ。死ねる。軽く死ねる。
「怒るなって。君にとっていい情報だよ」
『くだらなかったら殺すからね』
相変わらず物騒な奴だなぁ。
「聖ちゃん覚えているかい?」
『……ああ、あの女ね。それがどうかしたの?』
「うんうん話を聞いてくれて嬉しいよ」
『早くいえよ』
機嫌を損ねると危ないので口早に済ませることにした。
「聖ちゃんがね理君をつれてお買い物に出たよ」
『は? それはもしかしてもしかしなくても……』
「うんうん。弟君は騙されていて今理君と聖ちゃんは楽しくHOTELにでも行ってるんじゃないのかな?」
少しというか大分誇張して話す京輔。
彼には彼なりの企みが在る。
『嘘じゃないよね? 嘘だったら……』
「何を言っているのかな? 俺と弟君は同盟状態だろう。俺は弟君に有益な情報を教えて弟君も俺に情報をくれる。何故嘘をつく必要がある?」
『ちっ。今からそっちに向うよ』
「OK。でさ」 
ブチッ。ツーツーツーツーツーツー。
話の途中で電話を切るのはやめてほしいんだけどなぁとか思いつつも電話をかける。
次の相手は姉である。
「あ、もしもし? 弟君にばれちゃったみたいだから止めに行った方が良いよ。場所は空港らしいね」


「なぁ聖ちょといいか?」
「ええ。どうしました理さん」
俺は今現在この状況について思考中である。
俺は今どこにいる? 
公園だ。
俺は今何をしている? 
ベンチに二人で座っている。
俺はどこに行くつもりだった? 
一応買い物だ。
俺と聖は今どうなっている? 
弁当を食っている。
「どうしました? 理さん余り美味しくなかったですか?」
「いや、そう言うわけでもないんだが」
この弁当は手作りである。勿論聖の。
うまい? と聞かれたら十人中十人が何これプロ? というだろう。
それくらい上手い。美味いのだが。
「そうですか。それでは。あーん」
「いやいやいやいやいやいや。おかしいだろう」
「赤ちゃんにするのが夢だったんですよ。理さん赤ちゃんみたいだからシミュレーションに良いかなとか思ったり」
さいですか。なに? おれは赤ん坊以下と!?
まぁ同でもいいんだけどさそんなことは。
「なぁ、買い物行こうぜ。俺腹いっぱいなんだよ」
「そうですね。いきましょうか」
俺はなんとか危機を脱出した。
もし弟の友人とかに見られたらやばいからな。普通に死ぬぞ。聖が。
16, 15

  

買い物を終えてさっきの公園で休んでいると電話がなった。
「電話ですよ理さん」
「んぁい」
携帯を取り出して通話する。
「もしもし」
『おっ理君。俺俺。俺だよ俺。弟君がさ』
「はい。俺々詐欺には引っかかりません」
『ちょ! 違うからね。待ってくれ』
プッ。ツーツーーツーツー。
従兄からなので電話を切って電源を落とす。
眠いなぁ。
「理さん。寝ちゃ駄目ですよ」
「そうだなぁ。でも眠いもんは仕方ないよなぁ」
只今睡魔と戦闘中。
ぐわあ。睡魔強ぇええ。
「理さんってば」
ぐおっぐふっぎゃぁぁああ。やられたぁ。
どうやら理性は睡魔にやられったぽい。
まぁ少しくらい寝ても平気だろ。聖が居るから起こしてくれると願う。
薄れゆく意識の中で最後に聞こえたのは聖の声だった。
「おやすみなさい………お兄ちゃん」




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