俺の名は男嘉(おとか)。
平凡な公立高校に通うロンリーウルフ1年生。
硬派な外見とは裏腹に、筋の通らないことが大嫌いだ。
そして、それと同じくらいPerfumeが大好きだ。
いつも通り、ツレの神名(カミナ)と諮問(シモン)とランチを摂り終え、スイーツを貪っていた昼休みの出来事。
「男嘉、そのスイーツなんだよ?」
おもむろに神名が俺に訊ねた。
ビニール袋の中にボンドとタピオカを入れ、中のAIRをストローで吸うだけのお手軽スイーツ、料理は嫌いでは無い俺にとって、少し微笑ましい気分になれた気がした。
「うるせえよ」
俺はただ叫んだ。
真面目に答える気にならなかったのは、俺のオンリーワンが汚される気がしたからに他ならない。
「おい、てめえ」
俺の詰襟の襟を神名が両腕で掴んだ。
気のりはしなかったが、俺はそっと両腕のポリリズムを解放した。
「ならば俺の両腕を見ろよ」
意外なことに、神名は物怖じなかった。
「うっせーよポリリズムがなんだっつーんだコラ」
少しばかり俺は焦りを感じつつ時は硬直した。そして睨みあい、小一時間後のこと。
「やめなさい」
白衣に身を纏う音楽教師兼白衣の天使、俺の憧れの女性(ひと)、担任の照子先生だった。
「マッポが偉そうな口聞いてんじゃねーよ」
俺と神名の死闘をただ眺めていた諮問が、照子先生にそう言い放った。
世の中なんて俺は信じない。大人なんていつだって嘘っぱちさ。俺はきっと誰一人愛することのできないロンリーウルフ。
「すまんかった神名、諮問、ふけんぞ」
「おうよ」×2
俺達は教室から駐輪場まで走り抜けた。俺の許容範囲外の練習量を忌み嫌って陸上部を中退したのが中2の春、こんなにも走ったぜ After a long time
「さあ行こうぜ、俺達のスターバックスに」
そっと耳を傾けてみた蝉の鳴き声は、俺達のサマータイムのアバンチュールのオーケストラ。
「うはおk!!!!!」×2
俺達はいつだってどこにでも行けるぜ。