現実主義者
十代の禁欲主義者は死んだ
どこだかの細い路地裏を通り抜けてそのまま消えてしまったらしい
十代の唯識論者は頭を地球と同じサイズまで膨らました後にパンクした
パンクといえば十代の禁欲主義者はパンクロッカーだった
かわいい女の子を見ては目をそらして自分がギターを掻き鳴らす姿を夢想した
十代の唯識論者は頭が破裂した後に脳みそを必死になって掻き集めた
彼は今でもその脳みそとともに霧散してしまった意識で
その瞬間がもう一度訪れることを夢想している
十代の禁欲主義者は穢れた行為だと思いながらオナニーをしていた
十代の唯識論者はオナニーをして自分を取り巻いた雰囲気が世界を覆うと思いながら果てた
彼らは一度街中で通りすがったことがあったがお互いをくだらない人間だと思い合っていた
そして十代の唯識論者も死んだ
自殺なのか他殺なのかよくわからない惨めな姿で死んでいた
彼らが死んだ後に一人の現実主義者が生まれた