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第二段

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第二段

「1,2,3,4・・・・」
俺は段数を数えながら階段を上っていた。
俺、高田義弘は俺の近所にある廃病院にある噂―階段の数を数えながら上り下りすると、
上りと下りで階段の数が違う・・・・・そんな噂を確かめにきたのだ。
馬鹿げた噂だと、俺は思う。しかし、同級生で親友の孝明に誘われてしまったのだ。
孝明も17歳になって、まだこんな噂を信じているなんて・・・・
孝明は、病院の外で待っている。噂を検証するときはひとりづつやろう
と言われてしまったのだ。ああ嫌だなあ、廃病院はとても不気味で、
今にも何かが飛び出してきそうだ、などと思いながら階段を上りきった。12段だった。
 そして俺は階段を下り始めた。早く終わらせたい、と思い、早足で下りた。
「11,12,13。」
階段を降り、俺はおかしいな、と思った。上るときは12段だったのに、
今度は13段になっている。少しゾクッとしたが、きっと数え間違いだろう、
と思い、再び階段を上り下りした。今度の結果は、
上りが14段、下りが15段だった。また、違う・・・・・
俺は、がくがくと震えた。二回とも段数が違うだなんて。
ここはまずい、早く逃げたほうがいい、と思う頭に逆らい、
俺の足は階段を上り始めた。
「14,15,16・・・」
さっきよりも一段増えている・・・・
その事実に恐怖しながら、俺は階段を下り始めた。
しかし、いつまでたっても下に着かない。
そして50段ほど下った頃、俺は疲労と恐怖でその場に座り込んでしまった。
どうすればいいのだろう、どうやってこの階段から逃げるのだろう、と思った。
しかし、恐怖で何も思いつかない。ああ、もう駄目なのだろうか・・・
そう思ったとき、下のほうから声がした。
 「おい、義弘、どうした?」
孝明の声だ、と俺は思った。そして前を見た瞬間、さっきまであった
無限の階段はなくなり、何の変哲もない階段がそこにはあった。
俺は孝明の方へと、階段を下りていった。よかった、あの恐ろしい階段から
逃げられる・・そう思いながら。
孝明のところまで行き、さっきの体験を話したが、信じてはもらえなく、
その日はそのまま家に帰った。後で知ったことなのだが、
その病院の階段から転げ落ち、妊娠していた子供を流産してしまった
妊婦がいたそうだ。その死んだ子供は、もしきちんと生まれて、育っていれば、
今は17歳になっているそうだ。
これが、俺の階段の怪談。

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