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「好きな子ができた??」
大人びた外見をした少女が俺に問いかけてくる。
やっぱり・・・驚いているのか?
実に興味があるらしく、大きな目をさらに見開いて何度もパチパチさせ、
俺のことを期待の目でジーっと見つめてくる。
本当に女はこの手の話が好きだよな。すぐに食いついてくる。
人の恋愛の話なんか聞いてどこが楽しいんだろうか、俺には分からない。
ただ今回、目の前の彼女に恋愛のことで相談をしている人間、
それは他の誰でもない俺だ・・・・・・
「それで私に協力してほしいってわけ?」
ニヤリと笑いを浮かべて悪戯そうに聞いてくる
協力してほしい・・その通りだ。
でも俺は昔から素直じゃない。
正直に「協力してほしい」なんて口が裂けても言えるわけがない。
好きな子ができた・・・って打ち明けることができただけでも俺にとってはとても大きな進歩だった。
「えーっと、あー、まぁつまりそういうことだ・・ハハハー」
「ハッキリしない男だなぁ、そんなんじゃ嫌われちゃうぞー」
ああそうさ、いつも俺はハッキリしないさ
でも今回の俺これまでになく本気だ。
「と、とりあえず真面目に聞いてくれよ、霧島。」
・・・
同じクラスの藤代綾乃のことが気になりだしたのは、
高校に入学して大分経った二学期の始まりだった。
一学期には目に留まることなど一切なかった彼女のことが、
どうしようもないくらいに気になり出していた。
一目惚れ?そんなものじゃない
一学期は彼女の顔をまじまじと見たことなんて一度もなかったし
まともに喋ったことだって一度もない。
班も係も委員会も一緒じゃないし、体育祭や文化祭の準備だって一緒にしたわけじゃない。
自分でも理由が見つけられない。
でも二学期が始まってから、彼女がやけに気になってしまう。
気付くと彼女をいつも見てしまっている自分がいる。
これが恋なのかなぁ、とか馬鹿みたいにロマンチックに考えたこともあったけど、
実際そうなのかもしれない。
「人を好きになるのに理由なんていらない」っていうのはこういうことなんだろうか・・?
それにしたって変だ・・・