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従姉

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今日は従姉と合うことになっている。
なんか知らんが呼ばれたのだ。
妹がついて来るのは別に普通だろう。
しかし何故に千華がついてくる。
黙って、ずっと後ろについている。
お前は背後霊かといいたくなるね。
どうでもいいが。
取りあえず俺のうちから5分ほど歩けばつく距離だ。
何度もいっておくが俺は引きこもりだ。
しかし、アレだな。
従姉の家は何度見てもでかいな。
うんでかい。屋敷って言うのが一番しっくり来るかな。
いや、洋館って言う方がいいかもしれない。
「兄さん見上げてないでさっさと中に入りましょう」
「そうだな」
ピーンポーン
……でない。
「出ませんね。もう一回押しましょう」
ピーンポーン
ピーンポーン
出ない。
というか妹はなんでこんなに押しまくってるのだろう。
連打とか意味ないから。うざいだけだぞ。
「押しすぎだろ」
俺は妹の頭を小突いてやめさせる。
「い、痛いです兄さん」
頭を抑えてるが正直どうでもいいわ。
ていうか今日いないのか?
帰ろうと思い180°回転したところでドアが開いた。
「ごめんね。歌聞いてたら聞こえなくてね」
出てきたのは車椅子に座っている女性。
俺の従姉の紗那。
紗那は3年前事故で両足を失った。
原因は運転手側の不注意らしい。酔ってたとか何とか。
「まぁ、あがって上がって」
「おう」
「お邪魔しまーす」
「………」
おいおい、千華なんか言え。
まぁきにしてないからいいけど。
俺は紗那に案内されて家に入った。
正直言うとどこがリビングでどこが社なの部屋なのか俺は知らない。
広すぎて覚えられないのだよ。
「はい。ここだよ」
紗那の部屋に入って一番最初に聞こえたのは歌だった。
歌つけたままらしいが、その歌というのが……。

「ぽっぽっぽっぽっぽっぽっぽっー♪ ぽっーぽっぽっぽっぽっぽっぽっぽっぽぽっぽっー♪」
ぎろっぽんなんですね。
センス絶対変だよ。こんなん大音量で聞くなよ。
「いいよね。先輩」
「いやぁ……歌下手糞じゃね?」
妹は、従妹に会いに来たみたいなのだが、部屋まで何故ついてきたんだろうか。
やっぱり妹もわからないんだろうか。妹ざまぁww。
ちなみに千華はずっと俯いてる。怖い。
「おい、お前従妹に会いに着たんじゃないのかよww」
「そうですね。って兄さん何故笑ってるんですか」
何故笑ってるってお前。
ワロスwww。
「紗那姉さん。聖ちゃんはいますか?」
「あー……聖は今いるかなぁ? わかんない」
「そう」
そうって……何しにきたんだこいつ。
千華は千華でずっと黙ったままだし。
俺が振り向くとちょと顔上げるけど。3cmくらいね。
「大声で呼べば来るかもよ」
「じゃあそうしてみます」
それは迷惑だろ。
こいつら何? 馬鹿なの?
「聖ちゃーん!!!」
叫んだよこいつ。
紗那も紗那で笑ってるし。
クスクスクスって笑ってる。
俺の周りは変なやつしかいない気がするんだけど。
いや、でもあいつに比べればマシかな。
「誰か私の事呼んだ?」
聖がメガネかけた男に抱きつきながらやって来た。
よく聞こえたもんだ。
というかその男の周りに数人の女子がいる。
可愛い男子もいる。いや、俺はショタじゃないから安心しろ。
「聖ちゃん。その人誰?」
めがねを指差して聞くな妹。
まったく。本当に教養がない。
「ん? ああ、理さんだよ」

6, 5

  

「……理?」
理って。あの理?
メガネかけてたったけ?
「理、俺のこと覚えてる? 同じクラスだった優だけど」
「あぁ。覚えてるよ。今は引きこもりの優だろ?」
酷いなお前。
いや、最低だよ。
「相変わらずモテモテだな」
「モテモテ? はっ! 冗談じゃない! 俺はこいつらの所為で人生滅茶苦茶にされたんだぞ!?」
そうなのか?
特にメガネかけてるとこいがい変わったとこないけど。
「なんだ。どうしたんだ一体」
「お前人生ドッキリでしたって言われた事あるか? ないだろ。俺にはあるんだよ!」
なんだかよく分からんがきっと大変だったんだろう。
「そうか。頑張れ」
「いいよなぁ。お前。人生楽そうだよな」
別に、楽って訳でもないんだけどな。
まぁどうでもいいや。
妹は既に聖と何か話しているようだ。
千華は何故か知らんが巫女服の奴とメンチきり合ってる。
何があった。べつにどうでもいいんだけど。
「そうだ、紗那。何の用で呼んだんだよ」
「ん? そういえば、私が呼んだんだっけ」
自分で呼んだ事を忘れる。
取りあえず病院で検査を受けた方がいいと思った。
「何も用ないなら帰るぞ」
「む、それは少し惜しい。それじゃあ散歩でも頼もうかな」
「おk。把握した」
紗那の車椅子を押しながら散歩している俺。
あれ? 俺引きこもりだよな。
「ねぇ、公園いこう公園。昔よく行ったでしょ?」
「ああ。あの、ブーン公園?」
記憶から頑張って取り出してみたが紗那は首を横に振った。
「違う違う。マンドクセの方だよ」
「知らねぇよ……」
場所が分からないので紗那に案内してもらってった。
途中坂道がありかなりきつかった。
おれは引きこもりなのになんでこんな過酷な肉体労働を強いられるのだろうか。
「ほらぁ。ここここ。覚えてるでしょ!?」
「ああ……思い出した」
この公園はベンチと砂場と水道以外何もなかったんだけど何故か紗那が好きだったんだ。
中央にドクオの銅像があって、プレートでマンドクセって書いてあるのでそう呼ばれてる。
正式名称知らない。
「ここでね、優君が転んで泣いちゃって。あの時は可愛かったなぁ」
なんか語り始めたけど。おれそんな記憶ないなぁ。
「ベンチ座ろうベンチ」
ベンチまで進めたけれど当然立てないので抱きあがらせて座らせた。
本当に、俺引きこもりなのに。
「はぁはぁ……疲れた」
「クスクス……楽しいね」
疲労している俺に向ってこんな事をはきやがる。
まったく。本当に疲れた。もう動きたくない。
「つまらんかった。けどまぁ……」
ベンチにもたれかかって俺は目を閉じた。
「有意義ではあったな………」
ぼそっと、紗那には聞こえないように呟いた。
7

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