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今どこ

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キャンディの雨が降りだして、僕は思わず手持ちの傘を開くことなく視界右端にある本屋へ駆け寄った。
店頭のガラス窓には黒く真っ黒く黒い色の文字で張り紙に書かれているけれど、おそらくその文章は僕には読み取れない。
雨はいつのまにか止んでいた。でも夢の洪水は未だ僕の中では収まりきってもいないはずだ。
道路に出ようとして靴が水溜りに触れたときの質感と音はひどく気持ち悪いものがあった。
それでも僕は歩を進めようと努力をし続けなければならないような感覚に襲われ無性に足を動かし始めた。
靴がとれそうになるにも、僕は右足つぎに左足と足を交互に出し続けなければならない。
景色は黒い。
僕が目蓋の裏を眺めているからだ、現実で目を閉じている僕は夢の中でまた目蓋を閉じている。
歩く歩くひたすら足は動くこの瞬間の視界の風景を把握してはならない、それを知るのはあまりにも僕自身が嫌だからだ。
一度モノを考えるとどこででも場所をわきまえない頭は無意識下でも冴えるばかりで留まるところを知らない。
想像がよからぬ何かを生んで嫌になるけれど、真っ暗な場所にいれば不思議とそう嫌な気分にはならない。
目蓋の裏側に映し出される景色はひたすら真っ黒で、足取りも宇宙を歩くような浮遊感がある。
今僕はどこにいるんだろう
4, 3

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