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〜舞台はVIPからパー速へ、VS TIGの初戦報告は・・〜

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俺が息を切らせながら帰宅し、
TIGとの電話の後何が起こったのかを報告しようと
親父に借りてるボロノートPCを開こうとした頃にはすでに0時を過ぎていた。

そして俺の立てたスレを確認しようと絞り込み検索をしていくと


-会社でお姉さんと仲良くなったのに凹られた2-


あった!だがしかし前スレがどういう顛末を辿ったのか俺は激しく気になった。
そして前スレも同時に発見していたので続きをDL
すると

>>639 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。投稿日:2008/02/04(月) 22:14:49.68 ID:f95h58qKO
>>オセロでもして待ってれ、おまいら


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ふむ

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ほう

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って暇だからってオセロしてるんじゃねえ!!おまいさま方!!
しかも

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無茶苦茶じゃねえか!!おい!
そして

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何事もなかったかのように再開すんな!!

このような感じでスレは進行していたらしい。
俺は苦笑と「こいつめ・・・」という笑いのあと、
先ほどまでTIGと繰り広げられていた事件の顛末を話すべく、書き込みウィンドウを開いた。
俺は先ほどまで繰り広げられていた事件を、痛む腹をさすりながら書いていく。



ー数時間前
俺は姉貴のワゴンRを発車させ、飲み屋へ急いでいた
初めは
「鉄火姉さん大丈夫かね、まあ俺が凹られなければそれでおkなんだけどねw」

位の気持ちだったが、信号待ちの合間に俺のハイパー妄想タイムが始まり
TIGにホステスの姉ちゃんのごとく言い寄られてる鉄火の姿をリアルに想像するにつれ
俺のアクセルを踏む足が次第に力強くなっていくのが自分でもよく分かった。


15分程で鉄火の話していた飲み屋に到着、我ながらナイスドライビング
イニシャルDも真っ青の坂道発進だったぜ。ワゴンRよ、御苦労さま。
そして店内に入りミッションスタート、奥の席に鉄火の綺麗なストレートヘアが見え
俺はそちらに急ぐ。

そこにいたのは鉄火、TIG、そして昼間のヒラメ顔のTIGの友達

TIG
「おぉー大蔵省お疲れ様やな、まあまあ、ほなこれよろしくなあw」

TIGが俺に手渡したのはその飲み屋の伝票、俺は戸惑いながらも受け取る。
鉄火は申し訳なさそうな顔を俺に向け、「どうしようもねえな、このTIGは」という視線でTIGを見た。

俺は鉄火の顔を見て、「ああ、本当にお金無かったんやな」という気持で伝票を持ってレジへ
鉄火はトイレに行ってから出るとのことだったので
残りの男二人は当然俺についてきた。

勘定を終え店を出て、裏の駐車場に出た。
人気は少なく、薄暗い。するとTIGが俺の袖を引っ張り
俺を駐車場の端に連れていく。

TIG
「何を急に色気づいてるねん、おぉー?」

TIGが俺の腹を振り向きざまに殴った。俺は息が詰まるが、体を折る事で痛みを堪えようとする。

「女にはええ顔してる癖に俺ら若い現場もんにはちっとも媚びひん(媚びない)なあ、おい」
また腹を殴られる。またも体をくの時に折ることで避けようとするが
襟首を掴まれているのでうまく避けられない。

「パソコンばっかり触ってよ、ほんまに働いとるかどうかも分かるかってんじゃ、なあ?」
また殴られる。とにかく息がつまって喋ることすら出来ない。

「それとよ~、『低脳』って、誰に言うてんじゃ?」
再度腹にTIGの拳がめり込む。口を開けてゲロに備えるが、唾液が出るだけだった。

そこまでやられても、俺にはやり返そうとか、逃げようなどという考えは浮かばなかった。
俺は中学校の時分にDQNなクラスメートの妙案により
クラスの連中から1年間無視され続けたという悲しい経験があったせいもあり、
DQN耐性というものが極端に低くなっていた。
それも、高校時代の「ネクランティス」命名のバックボーンともなっていたのだが。

とにかくいつまで続くのか、この拷問のような仕打ち。
だが涙目と涎にまみれてひたすら耐えていると、
ブーツのガッツガッツという音と共に鉄火が俺とTIGを引き離しにやってきた。
俺の目には彼女がジャンヌダルクのように高潔で勇ましい女性に見えた。

鉄火
「いい加減にしないと会社に言いつけるからね!!TIG!」

彼女の眼は怒りに吊り上がり、TIGを今にも刺し殺しそうな勢いだった。
俺の頭はこのような状況であったにも関わらず、意外に冷静で

「なんでこの姉ちゃん、俺なんかかばうんやろう?謎や」
と少しズレた感想と疑問を頭に浮かべるのだった。


鉄火
「私が関西で一人で頑張ってるんだから
 この子もがんばってるんだから邪魔とかするのって最低!!」

彼女がどのような心境でそんなことを口走ったのかは分からない。
とにかく、俺は彼女に守ってもらい、TIGも俺をそれ以上殴ろうとはせず
こいつは忌々しい、という顔つきで俺を見るだけだった。

鉄火は俺の皮ジャンを引っ張り、俺のワゴンRの方へ俺を導く
そして俺がキーを廻し、混乱した頭で軽くふるえながら運転を始めると

鉄火
「なんでさ」

「へっ?」
鉄火
「なんでそんなに迎えが遅いの?馬鹿なの?死ぬの?」

「いやー仕事が」
鉄火
「あんだけ私待たされてさ、ずっとTIGの横でくっだらない話聞かされてさ
 君が来なければ私ずっと拷問だったんだよ?」

「いやーハハハ、すんますえん」
鉄火
「何その謝り方、めっちゃ腹立つんだけど」

「ま、まあ勘定も済ませたし迎えに来たから勘弁してって話」
鉄火
「絶対TIGに払わせるってえの!」

そして駐車場を出ようとするとTIGが俺の車に近づいてきて、こちらに向かって唾を吐いた
姉貴の車だったので非常に腹が立ったが、相手はTIG、俺にどうする事も出来るはずもない。
とにかく、鉄火の助けもあり俺は窮地を脱し
彼女とのしばしのドライブを楽しむのだったー



16, 15

  

ー俺は彼女の顔を横目に見ながら、彼女を家に送り届けようと車を走らせていた

彼女は俺に礼を言い、俺と二人きりになった途端、顔色を変え、楽しそうに話を始めた。

「ありがとね、来てくれなかったら明日口きかなかったよ」
「なんで迎えがあんなに遅いの?」
「いっつもあんなに遅くまで仕事してんの?」

俺は彼女の質問攻めに遭い、しどろもどろながらも彼女に答えていく。
だが、話が続かないのと、先ほど殴られた腹が痛んで運転に集中できないというのもあり

「あの、ちょっと、腹まだ痛いんで静かに・・・」
という史上稀に見るKYな発言をする。

それに対し彼女は
「ああごめんね、まだ痛かったんだ、ごめんね」
そう言い、黙って窓の外を見た

正に後悔先に立たず、俺のお息子は先走って立ち上がっているというのに。



しばらく二人とも黙っていたが
仕掛け人である俺自身がその沈黙の空気に耐え切れなくなり

「ちょっと、回復したで、ありがとうかばってくれて」

とようやく言うことが出来た。
この俺が人にお礼を言えた。
リアル世界で本気で礼言うのは本当に久しぶりだ。

彼女はこちらを見て優しく微笑んだ後で
「うん・・・・・・」
とだけ言った。

俺はその短い返事に少々物足りなさと寂しさを感じてしまう。
俺の黙ってろ発言に彼女が萎えてしまったのかと思ったが、そうではなかった。
逆に機嫌を直してもらおうとオロオロする俺に彼女が優しく言った。

彼女も仕事の影響で腰が痛いので、早く家で休みたいということだった

その後はしばらく彼女とメールの内容や俺と彼女のバイクの話などをしていたが
彼女の説明に従い運転していくうちに、彼女の家の傍までもう来ているということだった。
意外に俺の家と近かった。車なら15分くらいだろうか。

かくして、俺の緊張と痛みに支配され続けたドライブは終了した。

車から降りながら鉄火が俺に話しかける
鉄火
「じゃあね、ていうかさ、私らお互いのことあまりに知らなさすぎじゃない?」

「そうっすね、じゃあもっと良く知りましょうか、またメールしますよw」
鉄火
「ていうかこんどFTR(※1)見せてよ、私のTT(※2)と一緒に出かけようよ」

「寒いよ、この雪フル季節に」
鉄火
「わーヨワ男じゃん、たまには外に出ようよインドア少年!」

「まあ、考えとくっす」

そういう俺を見る彼女の顔は、やっぱり笑ってた。ー




※1 FTR・・・主人公=スレ主の乗るホンダ製のバイクの名称(FTR223)
        排気量223cc、ストリート系カスタム車のベース車として若者から大人気となる。
        
※2 TT ・・・鉄火の乗るバイクの名称(TT250R)
        排気量249cc、高座席のヤマハ製オフロード車
        発売当時は乗り手を育てるバイクとしてエンデューロレーサーから大きな人気を得た
        
        



カタカタカタカタ・・・タンッ!!
俺は軽快にキーボードを叩き、報告を済ませていく


>145 名前:1 ◆oyDR7bB8tg 投稿日:2008/02/05(火) 01:23:06.89 ID:8JHQKXaW0
>「じゃねー」
>手をヒラヒラさせてマンションに入ってく彼女を見送ってから俺は帰ってきた
>以上、何もおきませんでした
>質温(※1)があったみたいだから答えてく



報告の最後の文を投下し終え、俺は感慨に浸っていた。
頭の中は非常に冷静だった。穏やかな思考のさざ波に浸りながら
俺は静かに思いに耽った

「うはwwwwwwwwwwwwwwおkwwwwwwwwwww彼女がwwwwww」
「出wwww来wwるwwwwかwwwもwwwwしれwwwない」
「叩き続けた住人乙wwwww俺勝ち組wwwwwwwみなぎってきたww」

しょしょしょ少々浮かれた感はあるものの、あああ頭の中はちょ、超冷静
俺はいつもの俺だった、それ以上でも、それ以上でもない。

やがて住人から俺やTIG、鉄火に関するスペック開示を望む声が散見された。
俺のバイクや彼女のバイクに関する質問に答えつつも
同時進行で彼女達の姿を思い浮かべ、報告すべきスペックをまとめていく。

>俺(>>1)25歳 孤男板出身 孤男暦25年
>173cm 64km
>趣味、昔は漫画ばっか読んでたけど売った
>アニメは見ない、ワッキーに似てると言われた。
>でも先日髪型は一応前髪だけ立ててソフトリーゼントみたいな感じだけど
>キマッテナイぜ俺
>鉄工所勤務 どうも友達とか作るの苦手
>人付き合いを求めて色んな板をたらいまわしにされた経験もあった
>中学時代クラスに無視されて以来一人が好きになった
>でも今はちょっと寂しい

>ケンカなんて実家の猫としたくらいのもん
>特に苦手な人間は不良とか


>鉄火
>多分26歳 すっぴん暦およそ26年
>俺と同じくらいの背 俺でもお姫様抱っこできそうなくらいの細さ、筋肉質
>姓名を続けて読むとお寿司な名前になるのでよくからかわれている
>俺(>>1)と同じ鉄工所勤務
>よく見ると髪の毛少しだけ染めてたみたい
>化粧嫌い だから肌がきれい 色白
>いつも青いツナギ着てる、細身で筋肉質な腕、黒髪はいつも束ねてる
>スリーサイズ不詳、今度聞いてみる
>顔のタイプ、想像だけでムッハーされると困るのであくまでタイプと言っておくよ。
>去年新撰組の上戸綾が出てたドラマでいっちゃん最初に殺されたおいらんの人
>結構年いってるはず、その人は

>先週末にメアド貰って、日曜あたりから俺とメールを始める
>基本すげえお姉さん体質、なんか落ち着く
>ヤンキーのTIG男にもひるまない気丈さ
>正直俺、心惹かれちまった


>TIG
>タバコはハイライト、かっこつけんな低脳
>ヘルメットをかぶらずにいつもキャップをかぶっている
>デニムの上に作業着といういでたち
>一応顔はサンじゃぽのあの目のいかついホストみたいな感じでかっこいい、
>髪の毛もそれぐらい
>口癖が「バインバイーン」(排気音のまねなのか、巨乳を妄想してるのかは不明)
>俺より頭一個分くらい大きい
>工場勤務なんでマッチョ


>TIGのツレで飲み屋に居た椰子
>不細工だったww顔がヒラメちゃんみたいな感じ

>向かいの席の子
>交友関係広そうな今風の子、髪はくるくるしてる。けっこう頭いい
>たまにねえさんと出掛けたりしてるみたい。23才だったはず。男いないって言ってた。
>TIGと付き合えよ、TIGやるよ

スペックを書き殴っていきながら俺は考えた。

俺は実際のところ、これから報告をして行くことで、
住人や俺の身の回りの人たちに何を期待しているのかは自分自身よく分かっていなかった。
実際、鉄火と何をどうしたいのかも分からない。

だが、孤男という身の上を甘んじて受け入れ、独りこそが至上の快感とさえ思っていた俺に
何か別の感情が浮かんできていることだけは確かだった。
「彼女ともう少しだけ仲良くなりたい」という感情
いや、「少し」というのは嘘かも知れない、かなり心惹かれてる。

彼女の関東言葉に錯覚しているのかも知れない。
だが、そんな俺の欺瞞に満ちた心とは裏腹に
「もう少し俺からも近づいてみるか」とも俺は考えている。

そしてこの人たち=VIPPER達となら、俺は自分を変えられるかもしれない。
何をどうしたいのかも分からない状態ではあるが、俺は進まなければならないー。
俺はヴェーダの決定に従うソレスタルビーイングのごとく
KYな俺を統率するVIPPERの任務に従わなければならない。
孤男から脱出するために。

そして日をまたぎ、
会社にて身の回りの人物に関するスペックを書き終えるか書き終えないかの頃には、
俺の棲み家もニュー速VIPからパー速VIPへと変わっていた。







※1 室温・・・・・スレ主=主人公が「質問」と書こうとし「室温」と書いたことを始まりとし
          それ以降住人が真面目にスレ主に質問したい時は名前欄に
          「室温」と書くのがルールとなる。
          ただ、これは主人公が一方的に決定したルールであったためかどうかは不明だが
          殆ど流行らなかった。
          殆ど・・・・・流行らなかった。
18, 17

  

俺は昨晩の怒涛の報告を原因とする猛烈な眠気と闘いながらも出勤のタイムカードを押し、
昨晩寝ようとした折に届いたメールを開き、独りほくそ笑んでいた


鉄火メール
「もう寝てたらごめんね。。お腹痛くないか?すごく気になってお姉さまは眠れないよ
 嘘、私は腰が痛くて眠れないんだけどね(笑)
 おやすみ。約束は守ってよ!今度バイクで三田のアウトレット連れてってよ!」


ニヤつきながら朝起きてからから何度もこのメールを確認している。
先ほど彼女は俺と会ったときに、敬礼する感じで「ヨッ!」というポーズを取り工場へ入って行った。
彼女の色気も糞もない作業ツナギが、かえって俺の妄そ・・いや、彼女への好意を増幅させる。

今夜は・・・ツナギの女の子の画像で御握りだ


工場内の安全見回りを終え、ミーティングも済ませる。
TIGに話しかける用事があったのだが、彼は俺を素無視している。
仕事で話す内容ではあったのだが、彼と口をきかずにすむのなら、と俺もそのまま次の話題に移る

そもそも、無視されたからといっても、俺は傷つくことなど一切ない。
多感な中学生時代を無視されたという経験が俺を強くしている。
完全に無視やハブられるといった寂しさからは解脱している。
何も考えずに自分のやるべきことだけしてたら会社では生きていける。
無視されることは辛い経験だったけど、皮肉なもので今の俺の役に立っている。
本当に皮肉なものだ。

ミーティングを終え、事務所に帰ろうとすると鉄火が俺を呼んでいる。
ファイルケースを置いて彼女のそばに駆け寄ると、
彼女が振り向きざまに俺の目の前にコップを差し出してきた。

鉄火
「ホイ、コーヒー。あったかいよー」

俺はステンレスボトルの大きめのコップに入れられたコーヒーから立ち上る湯気に当てられ、
軽く眼をしかめる。彼女は申し訳なさそうにコップを手元に引いた。
俺は間抜けな顔で彼女の手元を見ているだけだった。

鉄火
「飲む?寒いしね、これ飲んだらシャキッとするかもよ、君でも」

俺は寝ぼけながらもコップを受け取り、なんだか申し訳ない気持ちと
少々照れくさい気持ちになり、コーヒーをすすりながら工場を出ていった。
勿論、TIGの強烈な視線に刺されながら事務所に帰っていくことになったのだが。




コーヒーを啜りながら俺はIEを起動させ、パート速報VIPをgoogle検索し、お気に入りに入れた。
パー速という板は初めてだが、なかなか住人が温かく、親身になってくれるため居心地はいい。

とりあえずコーヒーを貰った件を報告してみる

>19 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします投稿日:2008/02/05(火) 09:11:49.14
>>>18
>姉さんの優しさに惚れた


>20 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします投稿日:2008/02/05(火) 09:16:32.67
>VIPからだが今追いついた。
>同じ兵庫県民として応援してるぞww

>24 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします投稿日:2008/02/05(火) 09:59:01.37
>今後も暴力受けそうなら
>ICレコーダーポケットにしこんでおきな
>あと、暴力された日とか
>日記に。
>ICレコーダーで相手の罵声(特に暴力行為をしている内容)が
>録音できたら 診断書と録音データ持って
>警察いけ

なるほど、そういう手もあるな、本当に参考になる連中だぜワンダーランドの住人は
俺をもっとwktkさせてくれ
というか俺はこれから何をしたらいいんだろう、教えろ住人共


>25 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします投稿日:2008/02/05(火) 10:57:26.81
>ずっとROMってたんだけど
>一つだけ気になったから書き込んでみる

>昨日の居酒屋の代金さ
>お姉さんでもDQNでもいいけど返してもらった?

>返してもらってないなら…


>26 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします投稿日:2008/02/05(火) 11:14:10.54
>>>25
>>>1がきちんと取り立てできるとは思えない


ふふん、言ったな〉〉26め、俺が取り立てできないだと?
君たちVIPPERに背中を押された俺が、たかが居酒屋の代金取り立てを出来ないというのかい?
いいだろう、やってやろう、もっと刺激のあるミッションの方が俺は好みだがな・・・
これをやるのがVIPクオリティーという訳かい、そうかいそれなら

>28 名前:1 ◆oyDR7bB8tg投稿日:2008/02/05(火) 12:00:52.26

>>>25
>昼にVIPクオリティとやらに初挑戦してみる
>請求してくるよ

俺の次のミッションは決まった。
さあて住人共、骨は拾っておくれよ。








20, 19

  

昼休み、俺はTIGに先日の飲み屋の料金を請求しに行こうといきり立って事務所を出た
工場内で皆が自分の持ち場で食後のママーリとしたまどろみタイムを楽しむ横を通り過ぎ
俺はTIGの元へ急ぐ

TIGがいつも休憩中に座っている材料置き場が見えてきた。
TIGとヒラメ顔の友人は、そこにいた。
彼らの姿を見て、更に歩くスピードを上げようと意識した









足が動かなかった。TIGに先日殴られた腹がキリキリと痛み始める。
俺の足は俺の意識とは裏腹に、歩を進めてはくれない。
冬なのに手がじっとりとしてくる。


俺は



TIGの姿を見て、動けなくなった。
一歩も進むことができなくなり、思考もパニック状態に陥り
飲み代の請求はおろか、彼らに近づくことすら出来なくなっていた

口の中に唾液が溜まり、自らを落ち着かせようとそれを飲みこもうとしたとき
棒状のもので頭をポフポフと叩かれ、俺は突然我に帰る

鉄火
「いよっ!」

振り向いた俺に掌をこちらに向け、歯をニッと見せながら彼女は挨拶する


「ああ・・・姉さんかいな」

鉄火は先ほどまでの俺の緊張など知らなかったという顔をしている。
そして俺に黙って掌を上に向けて差し出してきた。


「?」

鉄火
「コップ!私が飲めないじゃん!」

俺は朝方コーヒーを貰った時に借りたコップをまだ返してない事を思い出し、事務所へ走った。
急いでコップを差し出すと、
彼女も俺にくしゃくしゃになった札のしわを伸ばしながら俺に差し出した。

鉄火がイントネーションのズレた関西弁を使いながら話す
「TIGがさ、『払ろたらええんやろ!』って言って渡してきたよ。昨日はありがとね」
「釣りは貰っておきなよw」

既に回収されていた飲み代を受け取りながら
俺は鉄火の「そういう性格」をまた一つ理解し心温まる気分になった。


昼過ぎにスレにその顛末を報告しながら一つ気付いた。

コップを洗ってないのはマイナスポイントだっただろうか・・・・
洗っていないコップの件がひどく気になり、俺はその件を住人に尋ねた。

>>コップ貸すくらいなんだ気にするはずないだろ
>>姉さん男前だから気にしないんじゃね?

それはそうだ、洗ってないコップがなんだというのか。
それくらい彼女はきっと気にしない。
住人のレスに軽く安心しながら、
時折スレをチェックし、助言に耳を傾けながら俺は仕事を進めていく。


そして17時、皆が仕事を終え事務所のタイムカードを押し更衣室に帰っていく中、
俺は工場で使用するボルト等の消耗品が届いていたので、それを補充すべく机を離れようとした。
すると人の流れの最後尾に鉄火が見えた。
俺は何かを期待していたのか、席を立とうとしたものの思いとどまり再び席に座る。

彼女は社内外注の人間なのでタイムカードを押さなくてもいいのだが、
日報をつけるため毎日事務所に立ち寄るのだ。
その日報を書き終えた鉄火がペンをまわしながらこちらに歩み寄り、俺を呼びとめた。

鉄火
「あのさ、事務所とかでもよかったらさ、私とちょーっとだけ話、してくれない?」

彼女の少し申し訳なさそうな顔が俺を刺激する
更に背を縮めてお願いするその仕草、危険すぎる
というのも彼女の着ているツナギの作業服の前ジッパーが腹部まで下がっていたので
襟首の隙間から彼女のブラが見え隠れしていたからだ。

今の話、事務所のメンツに聞かれただろうか?

工場長は取引先と話をしている。
俺の向かいの席の子は・・・・伝票整理をしているが・・・聞こえていてもなんら不思議はない。
だが聞かれたとしても構いはしない。この向かいの席の娘は俺の事を嫌っているようだからだ。
どちらかというと『こんな俺にも女友達が出来てるんだぜテメーら』くらいの勢いだ


orzむしろ聞いていてほしかったぜ


俺はクールに立ち上がりながら
『今、俺仕事残ってるから忙しいんだよ・・・後にしてくれねえ?』

と冷たく言い放つ妄想は置いておき、即座にOKした
腰を、少し引いた状態で。


そのまま俺は仕事を可能な限り早く終わらせるために、事務所を急いで出た。

22, 21

  

消耗品の補充を終え、俺はいそいそと事務所へ戻る。
そして軽く息を切らせて戻ってきた俺は事務所の入口で向かいの席の娘と鉢合わせした。


「おぅ、お疲れさん」

向かいの席の娘
「・・・・・・(会釈)」

鉄火と何か話でもして居たのだろうか、
にやにやとした笑顔をして出てきた彼女だったが俺の顔を見た途端緊張した顔になる。
色白でアヒルのような薄い口角を
毎日くるくると丁寧に巻いていると想像できる、優しく弾む髪の間から見せ
彼女は帰っていった。


その、どうしようもない愛想のなさが俺はお気に召さないんだよ、向井ちゃん
俺の中で彼女のあだ名は「向井」に決定した。
パーツ的にはプラス面での特徴の多い顔だが、今の俺のお気に召さないという点は否めない。
「無駄な努力、御苦労さま★」
そんな事を考えながら俺は事務所に入る。


鉄火
「おつかれー、今日も残業なの?一人なの?」
事務所の中には工場長はいなかった。すでに帰ったようだ。
鉄火の顔はまだ着替えを済ませていないのもあり、真っ黒に汚れている。


「うん、姉さん上がりでしょ、お疲れっす」

鉄火
「またまたつれない返事だなあ、もっとガブッと来ないの?」

ガブッ!!の妄想を1秒で済ませた俺は作り笑いをしながら答える


「イヒヒ、行きませんww」

自分のことは棚に上げて顔を洗って来い、と言う彼女に500円玉を渡しながら、
それなら自販機で二人分の飲み物を買って来てくれないかと頼んだ。

鉄火
「おっ、ありがと、君はミルクティーでしょ?」


「うん、ってよく知ってんなぁ姉さん」

鉄火
「まあな!情報通がいるもんでww」


「へえ・・」


彼女の言葉の意味を理解せず、また理解しようと考えるのもそもそも面倒なので
俺はそのまま聞き流し、顔を洗いに行った。


事務所に戻ると彼女は向井の席に座っていて、俺にホレッと缶入りの紅茶を手渡す。
俺も向井の向かいの席、つまり自分の席の前に戻ると何故か先ほど渡した500円玉がある。


「あれ?これ?」

鉄火
「あたしのおごりでいいんじゃん?飲もうよ、紅茶だけど」

俺はマンツーマンでの対話にひどく緊張してしまい、
『まだパソコン触る仕事が残ってるんだよ」という顔を鉄火に向けながらIEを立ち上げ
スレ住人に助けを求めた。
鉄火が結んでいた髪を解き、筋肉質な腕で缶ジュースを飲む姿に
俺はまたも腰を引かざるを得なくなる。
だがこんな事で怯んでどうする俺。
今やるべきことは俺の原動力である住人にアドバイスを貰うことだ。

>お姉さまが事務所でよかったら少し話そうよ、と言ってきたぞ
>きくべきことあるかな、地雷は踏みたくないので教えてくれないか?

このような文章を書き、神速で投下、我ながらナイスタイピング
住人のアドバイスを待つ間、鉄火との「ウィット(笑)に富んだ会話」などを楽しむ余裕は無かった。
アドバイスが来るまで俺が考えていたのは、
「話すネタを住人に貰うまでに紅茶を飲みほしてしまうんじゃないのか」ということだった。

俺の対人スキルの無さはもはや神から与えられたギフト
「無い」のに「ギフト」

俺の思考がそんな事を紡ぎだしている間も、彼女は世間話に花を咲かせている。
当然俺は聞いていなかった、いや、
聞く余裕が無かったので花が咲いていたのかどうかは疑問だが。
そうこうしているうちにリロードしてみると住人からのレスが


>>スリーサイズだな

>>子供は何人ほしいか?
>>あと、ヌルポインターって知ってる?って聞いてwwwwww

駄目だこいつら・・・・早く何とかしないと・・

だがここはヌクモリティ溢れるパー速VIP
そのうち俺が「なるほど」と思えるようなタイムリーな意見も見え始める。

>>好きな音楽食べ物住んでる所

>>あと男の好み

>>いきなしスリーサイズは絶対に聞くなよな

>>おまいがききたいことをきけばいい

>>好きな食べ物なんかきいておくと食事誘いやすくなるかもな

>>TIGとの関係は何なの?
>>俺、TIGと姉さんが一緒にいるのとか嫌なんだけど
>>とか言っとけ

オーケーだ、これだけの材料が揃えば俺も流石に話術の天才になれる。
視界良好、進路、オールグリーン
目標を駆逐する!




24, 23

  

住人に貰った質問内容をふんだんに織り込み、俺は鉄火との会話に集中していく。


「~そういや俺、姉さんの好きな音楽とかってまだ聞いてない」

鉄火
「え?言ったじゃん、あれ?言ってなかったっけ?」


「言うてないよw」

鉄火
「えー恥ずかしいからいいよ」

恥ずかしい?何が恥ずかしいというのか、自らの趣味が人に聞かれて恥ずかしいというのなら
そんな趣味など捨ててしまえ、アーティストが可哀想だ。

と瞬時に考えたまでは良かったが、俺自身に置き換えてみたら

PCでエロ画像を見ながら御握りをしているというのが人に聞かれて恥ずかしいというのなら
そんなPCなど捨ててしまえ、AV女優が可哀想だ。

となってしまい、ひどく落ち込んだ。

とはいえ、彼女のお気に入りががもし幽々白書のエンディングテーマだったりしたら、
俺とめっちゃ気が合うに違いない、などと考えながら彼女にしつこく聞いてみた。

鉄火
「橘いずみ(※1)とかさ、かっこいいよね」

誰だそれは、た、たちばないずみ?ダディヤナザァーン?ウゾダドンドコドーン!!
とりあえず分かったふりをして質問を続ける。


「何が好き?」
鉄火
「えええ?」

しまった、こういうところで会話スキルの無さが発動してしまうとは・・・
改めて質問をし直す


「いや、食べ物とか」

鉄火
「ああ、食べ物ね、う~ん、何が好きかな、う~ん、そうか~」
「サラダ!好きだね」


「うん、(じゃあ今度おいしいサラダの店知ってるから・・・無理)」
「好きな俳優とかって居るん?」

鉄火
「ケンコバ!!」


「いや、俳優やってww」

鉄火
「福山雅治!」

ペナルティのワッキーに似てると言われた俺にどうしろと言うのか。

その後も色々と質問攻めに遭わせた俺ではあったが、
奇しくも目下のところ最も聞きたい質問が残ってしまったことに今さら気づく。

「嫌いなものは先に食べてしまえば後から楽しくご飯が食べられるんですよー」

幼稚園の先生の言葉がリフレインされる。
だがスレ住人もこれが聞きたいに違いない、返答次第では俺の進むルートが変わってしまう。
ここで勇気を出して聞かないことには俺は前には進めない。

「じゃあ、じゃあな、彼氏とかは?」

俺の鼓動が大きく、そして力強く拍動するのが感じられる
この気持ち、何かに似ている。
そう、吟味して購入したエロDVDの封を開け、トレイにディスクを乗せた時の感覚に。

俺は彼女の返答を待った。



(※1)橘いずみ・・・女版尾崎豊と評されたシンガーソングライター
            自虐的な歌詞が持ち味だが、流行歌にありがちな「共感」とは一味違った
            シンクロニシティを視聴者に与える事で有名。
            出身地がスレ主と同じ兵庫であること自体は
            鉄火の趣味とは全く関係がない。多分
            俳優で映画監督の榊英雄と結婚、現在は芸名を榊いずみに変更している。
大きく脈打つ俺の股k・・・心臓とは裏腹に彼女の顔はひどく涼やかだ。
俺の顔色を上目遣いに見、缶ジュースをくっと口元で傾けた後、彼女は囁いた。

「いないよ」



・・・・「イナイヨ」

「イ ナ イ ヨ」

「イ   ナ   イ    ヨ」

「イ      ナ      イ     ヨ」


山びこのように脳内で繰り返される彼女の言葉
俺の脳内ではVIPばりのワンダーランドが広がる。
この言葉に気を良くした俺は、つい魔がさして普通の人間ならばその場では聞かないであろう
彼女の男女間の交友関係まで根掘り葉掘り聞こうとしてしまう。

「じゃあね、TIGとは同じグループでこないだまで仲良さそうやったけど、そのへんはどうなん?」

今日はここまでだ、ここまでしか聞かないから鉄火、答えてくれ。
俺という孤独な童貞に一筋の光を・・・!

少しうつむいた感じになり鉄火が呟いた

「一回だけ・・・」

え?電波悪かった今声遠かった
アーアーきこえなーい

やはり聞かなければ良かった、妄想のみでセクロスをこなしてきた俺には
「一回だけ」の後に続く言葉が容易に、かつ安直に想像出来てしまった。
俺の想像した通りの言葉が彼女の口からこの後出てくるとしたら
その現実は少々、いや鋼材なみに重すぎる。

鉄火
「しつこく言い寄られたことはあるよ」





あ・・・・・・そうっすか










ななななんだってー!!
俺の妄想は杞憂かい、それじゃあ何かい、あなたは今、どフリーで、彼氏募集ちゅhfぐえあひg
あびゃびゃびゃびゃ、おちんちんびろーーーーーーーーーん
もっと恐ろしいものの片鱗を味わっt(ry


こういう時、VIPでは

「いぃぃぃやっほっぉおぉう!それがVIPクォリティ」

というAAを貼るんだろうな
家で住人に報告するときに貼ってもらうとするかね。


そして鉄火はその答えの後、逆に俺に質問や叱咤を繰り広げていく

26, 25

  

鉄火
「それはいいんだけど、君さあ、もっとしっかりしないとほんとにTIG男に舐められてるよ」


「だってな、イレズミとか入れてるし、コワイやんか」

鉄火はアイター・・・という顔をし、少しうつむいてから俺をキッと睨む

鉄火
「私心配だよ、あんた今日も昼休み明け、TIG男にTIG棒(※1)でふともも叩かれてたじゃんか!」
「しっかりしないと、この会社勤まらないよ!」

どこで見てたというのだろう、TIGには工場の外で叩かれてたのに

鉄火
「あのさあ、困ったことあれば私に言うといいよ、隠すこと無いからね」

突如差し伸べてもらった手に心の堤防が決壊してしまい、俺は何も言えず、ただ沈黙する。

その後、彼女からまた彼女の有無や実家はどこなのか、などという質問に
嘘偽りなく答えていると、意外にも俺はしゃべっていることに気付いた。
人間やれば出来るものだ、いや彼女だからこそなのかもしれないが。

自己満足に浸っていると、鉄火が俺の思考を遮るがごとく口を開く

鉄火
「今度一緒に出かけよっか?何回も言ってんだけどさ」

俺は後々考えてみるとなぜここまで即答してしまったのかと考えさせられるくらいに
滑らかに、かつ俊敏に返答をしていた。


「うん、いこか」

鉄火
「じゃあ私が行くとこ決めるよ、君優柔不断どころか目的地もヘンなところになりそうだし」

ああそうさ、俺こそがMr優柔不断、お昼のメニューも毎日5分はコンビニで悩むぜ
とにかく約束は締結されたので、ここまでとんとん拍子でいいものかととまどいもあったが
俺は彼女との初の「おでかけ」という響きにに心を弾ませていた



(※1)TIG棒・・・TIG溶接(Tungsten Inert Gas溶接)に使う熔材
          作者は不勉強の為よく知らないが、聞いたところによると
          1.5m前後の針金のような棒らしく、それで太ももを叩かれると猛烈に痛い。
          主人公がそれを痛がっていたのか、喜んでいたのかは不明
          多分痛いはず、いや痛いに決まってる
   
 お出かけの約束の後、鉄火はちょっと着替えてくる、というような事を口にし
髪をバサバサとほぐしながら更衣室の方へ向かった。
俺はその後ろ姿を見ながらポカンとしていた。

女性との初めてのお出かけ

あっという間に決まった約束だった。何の予測もなく、半ば一方的に決められた約束
だがそれがいい
俺の性格から考えると、俺から誘うなど決して出来ないのでかえって願ったり叶ったりだ。

彼女が着替え終えるのを待ちながら、俺は住人とスレ内でお喋りをする
住人から鉄工所で働く女性が主人公のマンガ「なっちゃん」について教えてもらい
レビューなどを読んだりしながら彼女を待っていた。

しばらく2chで遊びながら彼女を待っていたが、彼女の着替えが遅い。帰還が遅い。
そもそも殆ど作業着のまま帰るくせに何故ここまで時間が掛かるのか。
俺は住人に彼女への文句を書きながら時間をすごすが、それにしても遅い

>>おんなはそんなもんだろがww
>>がっつきすぎww

住人の助言も自分を嘲笑っているように見えるのは「ww」の所為か

>>おめかししとるにきまってんだろおおおおおがああーー?!?!
>>たぶんねww

多分かよ


>>>>1の前になるべく綺麗な格好で出てきたいという女心だ
>>察しろ

やはりそうか、俺もお姉さまの綺麗な格好、早くみたいぜ。


などというやり取りをしていたが、いつまで遊んでいても仕方がない
彼女が着替えに行ってから既に30分近く経っている。
俺は意を決して男子更衣室の傍にある小さな小さなロッカールームのドアを叩いた。






へんじがない、ただのあきへやのようだ



もしかしたら貧血など起こして倒れているかもしれない
そう思った俺は意を決してドアのノブを捻ろうとした。
が、ドアのノブはガチリガチリという無機質な音を立て、俺の入室を冷たく拒んだ。

突然の事態にも冷静に対処するべく俺は更衣室を出て駐車場へ向かう。
工場を抜け敷地の一番奥にある駐車場兼駐輪場を覗く

俺の(姉の)ワゴンRのみが所有者の搭乗を待ちうけていた。







orz 俺、置いてけぼりですか・・・・・・・・?
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>お姉さま居ないわけだが・・・・なんで?
>先に行っておくが俺は何も地雷踏んでないよ


鼻息を荒くしながら俺はバチバチとタイピングし、事態の報告を行う。
困った時はすぐ相談、これは重要だ、孤男の人は俺を見習いたまえ。


>>ひょっとして、家に着替えに戻ったとか?

>>現場の人間は結構内輪の隠語使うぞ?
>>着替えるわ=帰るわ
>>の意味があったりせんかね?
>>最後に「おつかれー」とか言われてたらほぼ間違いなし

>>連絡しろー

さまざまな声が聞こえるが俺はもはや彼女に何かの理由があって嫌われたに違いないと推測
今日一日の記憶を巻き戻し
自分に失言が無かったか、自分の態度におかしいところは無かったかと記憶を添削する。

>>今日じゃなく昨日に遡るんだよ
>>終業後、お姉さまは誰に誘われてたんだっけ?
>>早く助けにいってやれ

何ということだ
彼女はまたもや魔界村のプリンセスの如くレッドアリーマーTIGにさらわれたというのか?
もしそうなってしまっていたら助けに行くのは当然俺しかいないわけである。
今の俺が向かうということは、まさにリアル魔界村、裸の騎士がごとく一瞬で灰塵と化すであろう。
それはそれでクオリティが高くて住人的には楽しめるのであろうが、俺としては御免こうむりたい。

>>あー、↑の可能性もあるな。
>>一応連絡とってみたらどうだ?
>>出たら出たで
>>ちゃんと着いたか心配になって~
>>とかなんとか言ってごまかしとけ
>>あとはわかるな?

連絡?だから彼女は居ないんだってば、ここにいなければ話のしようがないじゃないか

>>おっとっと、携帯はどうしたんだい?

あ・・・・・・俺は携帯持っていたなそう言えば、俺は何をトチ狂っていたのいうのか。

急いで彼女に電話をかける。
呼びだし音が鳴る。2コールしないうちに彼女は出たのでまず安心する。
彼女に事情を話すと

鉄火
「あれ?私帰るって言ってなかったっけ?」


「いやいやいや、言うてないですよ」

鉄火
「・・・・ごめん、今すぐ戻るよ」


「いえいえいえ、疲れてるでしょ?早くご飯食べてください」

鉄火
「う~ん、何か悪いな」

俺は沈黙することで「ああ、たしかに悪いよ・・・!」という気持を表した

鉄火
「じゃあ、ご飯食べに行くからついといでよ」


「いい?いえいえいいですって」

鉄火
「ん~・・・・じゃあさ、さっきの約束の話だけどさ、今週末二人でお出かけしよっぜっ!」


「うわー!そんな!デートって!」

鉄火
「デートじゃあないんだなww買い物なんだけど」

デートという言葉をひらりと避わされ、俺は少々意気消沈する
そこで黙ってしまったことで、彼女は俺が恥ずかしがっていると勘違いしたのだろうか

鉄火
「二人でいくのが恥ずかしかったら、友達も呼ぶよんウリウリ~」

そう言ってふざける彼女に何を思ったのか俺はまたも即答してしまう。


「ええ、じゃあそれで」

鉄火
「おっけ!じゃあ決まりね、土曜ね」


「おっけ!おっけ!」

友達が来るというのは不満だが、とにかく彼女が俺に怒っていたわけじゃないのが嬉しく、
更にデートもといお出かけの日時も決まり、俺は少々浮かれた声で彼女に返事をしていた。
彼女はそんな能天気な俺を憐れんだのか

鉄火
「もうちょっとしっかりしなよ!もし私居なかったらあんた間違いなくずっといじめられてるよ!」

今までのいじめ生活を思い出し、俺は急転直下でブルーモードに入る。
「・・・すんません」

鉄火
「まあ、昨日は私が助けられたんだけどね」
「さっきも話したと思うけど、今日みたいな事されたら工場長にいいなよ!!」


「うん、わかったっす」

鉄火
「いつかいいことあるといいな!!」


そういったやり取りの後、通話は終了した。
彼女が怒っていたわけじゃなくて良かった。本当に良かった。
さて、心配してくれた住人に報告をしなければ
そうだ、KYな俺が地雷を踏まないように、エロゲのような買い物イベントを失敗しないように
住人に色々とレクチャーもしてもらわないとな。
そんな事を考えながら俺は再び事務所に戻った。



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Mothotio 先生に励ましのお便りを送ろう!!

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