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〜wktk!そして沸く鉄火! 凹の心はココアの如く暗く・・・〜(09/06/09うp)

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 お買い物イベントを終えた次の日、用事があったので病院へ行った後で、
疲れた体を癒すべく住人とのフレッシュさ溢れる対談をパー速で行いながら、俺は今後の身の振り方を考えていた。
途中、俺のお宝であるHDD内のエロ画像をジャンルごとにうpなどしてみたところ、意外に大反響で
「お握り」を行うために離籍するものが多くなり、スレが過疎ってしまったのは自分でも意外だった。

ここにも、尻を愛する誠の漢、「お握り志士」がいたんじゃあないか、と

だがその件と、住人にとっての俺の印象は当然別のようだ。
というのも住人から「結局どちらのルートを選択するのか」という質問を受け、
今はまだ恋愛がどうとか、恋したいならどちらの女性か、等といった俗っぽい考えは捨てたい所だが、
それを踏まえた上であえて選ぶのであれば現状では向井だということを
理由と共に住人に伝えてみたところ、その理由を聞いた住人からは
「呆れた」という声と共に批判が相次ぎ投下されたからである。

>>『楽な方』って・・鉄火じゃねえのかよwww

>>『過程が楽な方に逃げたいジャン』ってなめとんのかwww

>>昨日凹がフラグへし折ったために向井√も簡単ではなくなったぞ

>>楽な方に逃げるのかww
>>鉄火が他の男とイチャヌチャしてるのを想像するのと、
>>向井が他の男とイチャヌチャしてるのを想像するのではどっちがイヤ?
>>イヤだと思う方をタゲにして進まないと後悔する気がする

>>どっちでもいいかーっていう気持ちだけで√たてるのは止めてほしいな。
>>鉄火ネェに好きな人がいたって言ってもまだ諦める必要ないし、
>>最初に凹が心惹かれた人なんでしょ?友達関係で終わらすのには後悔しないかい?
>>あと、向井が自分のことに好意持ってるから向井に行くってのも節操ない気がするがなww
>>今の状態だと仮に向井と付き合っても鉄火の話ばかりしそうだから、向井も気の毒な気がするんだ。
>>そんなときは俺が向井wwん?こんな連休中日に誰だr

>>凹は結局鉄火か向井と付き合いたいって思ってるの?
>>とりあえず女の子と普通に話せるようになるのが最初の目的なんじゃないんだっけ?
>>鉄火も向井も凹ッキーが微妙にKYな会話しか出来ないのもある程度わかってるんだから
>>鉄火姉さんが話しかけてくれて仲良くなった。だからCD貸してくれたり鍋くれたりして
>>嬉しかったことを向井にそのまま言えばいいんじゃないの?
>>で、向井とも仲良くなれて嬉しいから、今度は向井ともCD貸し合ったり食事したり
>>買い物行ったりしたいって言えばいいんじゃないのか?
>>実際二人とも好きなんだから。一緒に遊んで楽しかったんだろ?
>>普通にくだらない会話出来るようになってから√は考えれば良いんじゃね?
>>モテ期だからって考えなく付き合えば良いわけじゃねーんだぜ?

>>楽な方だとか、最低だな

>>もうNice boat ENDでいいよww

>>楽な方に行くのは感心しないな
>>鉄火に惹かれて話すようになったのなら、ここは鉄火一択でしょ

>>友達になってから√考えても意味ねーぞ

そう、俺はスレで「過程が楽なほうに逃げたい」と言う意味合いの言葉と共に、
敢えて選ぶなら、「現状」は向井ルート、という発言を行ったのだ。
が、住人の批判レスは辛辣ながらも、至極真っ当な話だ。
プロ野球の代打を送るわけで無し、打率の良い方をバッターボックスに立たせるだなんて行為は、恋の二者択一において女性に対する優しさのかけらも無い話だ。監督失格だ。
そんな事、言われなければ分からないあたりが対人スキル0だと言われる所以なのだろうが。

だが、俺自身結局のところ自分で何がしたくてスレを立てたのかを思い出せば、今自分がどちらの女性に心惹かれて居るのかという事を報告するのは、少々違う気もしていた。
友達が欲しくてスレを立てたのがきっかけだったので、今は色恋沙汰に浮かれるのは間違いで、
友達作る過程で起きるイチャヌチャしたイベントを乗り越えられたらそれでいいはずなのだから。

と、そこへ突然鉄火からのメールが届く

鉄火
『もう夕方で寒いかもしんないけどさ、バイク屋行かない?』


ヲイヲイヲイ・・・昨日のアンタの台詞「もう次からは二人で会わないほうがいいかもだねー」は
一体どこに行ったって言うんだい?
とにかく、この呼び出しには何か意味がある、慎重に行動すべきだ、
そう考えた俺はやっぱり二つ返事でOKし、鉄火の来訪に備えるのであった。


 鉄火とバイク用品店へ行こうと誘われた俺は、寒空の下バイクを暖気させながら彼女を待っていた。
辺りはもう暗くなり始めている。まるで俺の人生の様だ。
しかも、革ジャンを着ているとは言え、当然寒い。
下は一応昨日彼女からプレゼントされたチノパンを履き、気配りある男性をアピールしているので、ある意味心は温まるわけだが。
人から頂いた品物は次回そのプレゼンターに会うときには必ず身に着けておくのが基本だ、男性諸君は覚えておく様に。
更に付け加えるならば、誰か他の女の子からもらったのかしら?と相手に思わせるようなアイテムがあればなおよしだったのだが、俺がそのようなキーアイテムを持っているはずも無く、チノパンを履くことで良しとしておくことにした。

暫く待っていると、鉄火がTT-250Rに跨り到着した。
スーパートラップの音を響かせて登場した彼女は今日もクールなファッションだ。


「おっす、昨日はありがとー、楽しかったわー」

鉄火
「はは、それは何より。甲斐があったって。」

俺はチノパンをチョイチョイを指差しながら『履いてるでw』とアピール
鉄火はにこやかに笑いながら静かに

「よくお似合いでww」

と言った。彼女のテンションが少し低めなのは、寒さの所為か、俺の能天気さの所為か



「ほな暗くなり始めてるし、(店は)八時までやろから行こっか」

鉄火
「うん、じゃあバイク取ってきてよ」


「はいはいーい」

連日デートの期待感に胸と股間を膨らませながら、俺はバイクに向かった。
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 鉄火とそれぞれのバイクで目的地に向かって発進したのは良いのだが、
彼女を信号待ちの度に待つ羽目になり、少々イライラしている俺が居た。

彼女は女性ながら、座高の高いオフロードバイクに乗っている辺り、非常にツウな子なのだなと思っていたのだが、意外なことに運転はそれほど上手くは無かったのだ。
背の高い女性には、確かにこの手のバイクと、アメリカンのバイクは非常に見栄えがする。特にオフロード車はその車間のすり抜け特性と小回りのアグレッシブさが持ち味で、俺もセカンドバイクにぜひ一台欲しいくらいだ。
だが彼女はオフロード車のすり抜け特性をフル活用することなく、信号待ちのたびに車の後ろに停車し、最前列に出ようとはしなかった。
そのことが俺の心に引っかかりはしたが、まあここは女性のする事、大目に見ることにしよう。

やがてバイパスを走り始めた俺のバイクに、異変が起きた。
タイヤがふらふらとよれてしまい、直進性がまるで安定しない。路側帯に乗り上げ、タイヤは更に滑り始めた。どうやらパンクのようだ。
バイクを道端に止め、後輪を見るとやはりパンクをしていた。全くツいてない話だ。

鉄火
「まぁたパンク?こないだパンクしたって言ってたけど、ちゃんと直ってないんじゃない?」

心の中で、過去にパンクしたと嘘をついたことを詫びながら苦笑いを浮かべて、俺は途方にくれた。

鉄火
「ま、まあ今日はさ、バイクここに置いてこうよ。私凹の家まで乗っけてってあげるからさw」

この二人乗りの前後関係が入れ替わっていれば、俺は背中にありえないほどの膨満感を感じ、
それをネタにお握りを数十回は出来たのであろうが・・・俺が彼女のバイクをすすんで運転する為のもっともらしい理由も見つからなかったので、とりあえず彼女の後ろに跨り、俺は自宅まで送ってもらうことになった。




自宅に着き、彼女が温かい飲み物を買いに行こうとするので、それを御し、


「ありがとな、俺がなんかあったかいもんでも入れますわ」

という台詞と共に彼女を自宅に招き入れることに成功した俺には、

「彼女の呼び出しに何か意味がある」

というニュータイプ的直感の事など、すっかりアンドロメダの彼方だったのである。
 幸いなことに部屋の掃除は今朝済ませておき、エロ本やDVDやオタグッズの類はすべて風呂場の天井の蓋の裏に隠しておいたので、慌てることなく鉄火を部屋に招き入れる事が出来た。
今日は片付いてるじゃん、という言葉と共に、鉄火が部屋に入ってきた。

鉄火
「はー寒い・・・・・ってか今日どっちかって言うと買い物よりも凹と話するのが目的だったんだけど。」


「は・・・・うん・・・」

どういうことだ?
素敵なカリスマショッピンガーの俺に選んでほしいバイクのパーツでもあって
それで俺を呼んだんじゃあないのか?
話?オーケーそういうことか、俺に向井の件について言い足りない説教でもあるんだな?
さあ聞かせてもらおうか、情報が多いほうがVS向井の対策が練りやすいというものだ。
ビニ子の時は彼氏がいたから仕方が無かったが
VIPPERを味方にしている今の俺はムテキング、いや皮がかぶってるからムレキングだ。
向井でも、高田総統でも掛かって来いって話だ。

鉄火
「と、その前に・・・・・ココアある?」

オーケーココアだな、とここで説明しておこう。
いいか住人さまがたの皆、お気に入りの女性にココアを作るときはお湯なんかで作ってはいけない。
俺の理想としては森○ココアの無糖タイプを買ってくることをお勧めする。
そして砂糖は自ら調整できるようにしておくのが飲みすぎで太らないコツだ
砂糖が入ってないってことは・・わかるな?ココアはドッサリ入れるんだ、用量の1.5倍増しが理想だ
手作り菓子コーナーなどでシナモンなんかがよく置いてあるのだが、
アレを入れると女性に受けることうけあい。いや想像の範囲でしかない訳で、
俺スコープ(※1)での話だが。
キャラメルもオスススだ。だがしかし非常に溶けにくいって事を忘れてはいけない。
使う溶剤は勿論牛乳、繰り返すが決してお湯なんかで溶かしてはいけない
更に低脂肪乳を使うのだけはイタダケナイ、俺のお勧めは白○ラ牛乳がいいと思う
白○ラ≒白マラだ。変な想像した連中は脱却不足だ、握っておくんだ。
ミルクパンなどで牛乳を温めたらキチンと浮いた脂肪を除去して一気に注ぎ込め
出来あがりを確認したらキチンとそのままシンクに注ぎ込め
そうすればカウパー滴るKY男の出来上がりだ。

閑話休題

俺はTVを点けようとする鉄火にココアを勧めながら、考えていた。
TVを点けたって事は、それほど深刻な話でもなさそうだと。
つまりは昨日ほどの緊迫説教(それほど緊迫でもなかったが)からは免れられるということだ。
あわよくば向井の情報もごくごくシャレの構えで聞き出すことが出来るかもしれない。
よし、状況としては問題ない、この状況なら言える。俺がガンダムだ。(※1)
鉄火、おまいさまは何を言おうとしてるんだい。

鉄火
「そういえばさーw・・なんでダブルベッドなの?独り暮らしなのにw」



・・・うぬあああああああああああああそのネタに触れるなああああああああああああ!!
俺はそう、実家から通える距離なのに一人暮らしをしているのには理由がある
一つはそう、充実して開放されたお握りライフの為だ
開放されたというのがキーポイントで、俺の実家のように、
襖一枚向こうで母ちゃんたちが「どうぶつ奇想天外」なんか見て談笑しているときに
PC相手にチンコ握ってオナニーなんて20才超えてやっていたくない。

もう一つは彼女が自由に家に遊びに来れるって環境を作る為だ。
もし俺に彼女が出来て、いざ初エッチてことになったときに母ちゃんが
「紅茶とお菓子もってきたでー」なんて言って入ってきたりしたら、
それはお菓子じゃなくてポテトチップやろが!という突っ込み以前に彼女も俺のナニも萎えてしまう。
それだけはごめんだと言うわけだ。

なんでダブルベッドなのか。
それは想像にお任せする。誰だってHくらい広々としたところで解放的にやりたいはずだ
いやそれは俺スコープ、好みがあるだろうから同意は求めていない。
そんなことはさておき、
俺は真冬だというのに嫌な汗を腋の下にかきつつ、彼女に適当に返事する。


「ああ、俺、寝返りひどいからなー」

鉄火
「はは、実は彼女と住んでたりしてねーww」


「そんなんおらんっちゅうねん。姉ちゃんこそ実は男いたりして」

うまく話をダブルベッドから逸らせようとした俺だが、彼女の猛攻はまたも続く。

鉄火
「そうそうそういえば昨日は失言大賞だったね、凹」

こいつ・・・違うぞ、いままでの相手とはスピードも、パワーも
なんて早い返しだ、しかも一気に話を切り替えてしまいやがった。

だが待て、TVは今も点いている。つまりまだ話をTVに持っていける状態だ。
ここはTVの話に逃げよう、そうそう、丁度笑点が・・・・

TVがリモコンによって消された。
暫くして俺は気付いてしまった・・・・
消したのは勿論鉄火・・・・人気メニューはナポリタン・・・
いや、彼女の口から出た言葉は

鉄火
「話、あるんだけど」

締め付けられる様な感覚に襲われ、俺は生唾を飲み込む事しか出来なかった。






(※1)俺スコープ・・・・・   凹視点の事。俺ビジョンとでも言いたかったのだろうが,
                 イマイチ筆者自身も把握し切れなかった。後に把握

(※2)俺がガンダムだ・・・・・凹が後にひたすら連発するようになる台詞の一つ
                 「機動戦士ガンダム00(ダブルオー)」の主人公、
                 刹那が戦争を根絶する存在そのもの=ガンダム 
                 であるという思想を持ち、
                 自ら戦争を根絶する存在になりたいという希望を込めたため
                 この奇抜な台詞が公共の電波に乗せられてしまった。
                 凹の言うこの台詞には特に意味は無い。
                 強いていうなれば「俺はやるぜ!」くらいのものと思われる。
                 ちなみに「00(ダブルオー)」の意味するものは
                 「ダブルおっぱい」ではない。念のため。

            


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 「話、あるんだけど」

鉄火の言葉が俺の心拍数を急激に上げる。な、何だというのか鉄火よ、俺をどうしようというのだ。
心の平静を取り戻そうとした俺はその場を取り繕おうと緩やかな動作でココアを混ぜようとした。

チャカャチャチャカチャチャチャ・・・・・
どう見ても動揺しています、本当にあり(ry


「ああ、話な。するけどさ、まずこれ飲もーや、どうぞ」

鉄火
「ではいただきます」

これ以上ない程の棒読みの後、鉄火はココアをスリスリ・・という音を立てて飲む。
駄目だ俺は、もう、GN粒子なんて散布しない、いや出来ない。
誤魔化すとか小細工はやめよう、何を言われても聞かれても観念して本音で勝負だ。

鉄火
「昨日の件なんだけど」

やはりその件だな、もう、駄目だ、ここは大人しく怒られておこう。


「うん、向井やね、俺のこと気になるとか」

鉄火
「KYなのはともかくとしてアンタを好きになる一歩手前っていうかね
昨日も電話で話したんだけど、・・・さ・・」

鉄火が俺の顔を直視して話すのに耐え切れず、俺は彼女と目が合う度に目線を下に向ける。
彼女がそんな俺を見て軽く笑い、その鼻息の音で「笑ってる」と感じた俺は彼女の方へ目を遣った。
そしてそんな俺を見つめる彼女とまた目が合ったので、俺はすぐさま目線を下に戻した。

鉄火
「目、合わすの苦手なのw?」


「うん、はっきり言うて苦手やね」

鉄火
「人と話すときはキチンとしなくっちゃ駄目だよ」


「うん、でも無理」

やおら鉄火はスッと立り、俺の傍で腰を下ろして爪先立ちをし、あぐらをかく俺を見下ろした。
俺の目を直視しているのは分かるのだが、俺は決して目を合わせない。
怯えていると言う感覚にも似ている。いじめられていた高校時代を思い出すのだ。見下ろされると。
目なんか見られるはずもない。童貞なのに。


そして鉄火の右手が俺の顔を触ろうとした。


俺の心は唯一つ
目なんか見れるかっちゅうねん、ここは気付いてない振りしてやり過ごせ
目なんか見れるかっちゅうねん、ここは気付いてない振りしてやり過ごせ
目なんか見れるかっちゅうねん、ここは気付いてない振りしてやり過ごせ
目なんか見れるかっちゅうねん、ここは気付いてない振りしてやり過ごせ
目なんか見れるかっちゅうねん、ここは気付いてない振りしてやり過ごせ
目なんか見れるかっちゅうねん、ここは気付いてない振りしてやり過ごせ


>>なんというヘタレwwwwwwwwお前のそういうとこ大好きだわ
>>これはヤルだろjk
>>ここで全てをダメにするのが凹クォリティ
俺の心は唯一つ
目なんか見れるかっちゅうねん、ここは気付いてない振りしてやり過ごせ
目なんか見れるかっちゅうねん、ここは気付いてない振りしてやり過ごせ
目なんか見れるかっちゅうねん、ここは気付いてない振りしてやり過ごせ
目なんか見れる   ちゅう   、ここは        振りしてやり過ごせ
目    見れる   ちゅう   、ここは         振りしてやり過ごせ
目     見れ    ちゅう   、こしは        振りしてやり過ごせ
目     見て    ちゅう   、こしは        振って やり過ごせ
目     見て    ちゅう   、こしは        振って やり過ごせ
目     見て    ちゅうして  腰は        振って やり過ごせ
目     見て    ちゅうして  腰は        振って やりすごせ
目     見て    ちゅうして  腰は        振って やりす せ
目     見て    ちゅうして  腰は        振って やりす て
                 ・
                 ・
                 ・
                 ・
                 ・
                 ・
              やっちまえ




>>誰が、そんな芸術作品を作れとwwwwww


一度はそういう結論に至ったのだが、やはり俺にはどうすることも出来なかった。
俺は依然目を逸らしたまま
だが鉄火はすぐにその添えようとした手を自身の膝に当て、
苦々しい表情と困った表情の共存したような顔で首を傾げて立ち上がり、元の位置に戻った。

鉄火
「叩いてやろうかと思ったけどやっぱ無理、私は見守ってるよ」

叩こうとしたのか、一瞬でも期待した、期待した俺はいったい何だったのだろう。
いや今の俺ならむしろ殴ってくれ

鉄火
「あと、アンタに隠し事とかしたくないから言うけど、
向井に『凹に冗談でもいいからHに抵抗あるか聞いてみて、女性と経験あるとか耐性あるかとか』
て言われたんだけど、そういうのは私出来ないから・・さ。」


「へ?はあ・・」

鉄火
「じゃあ帰る、ごちそうさま」


「おう・・・」

手早く身支度を整え、鉄火はドアを開け出て行こうとする。
俺は、コレはおかしい、何かがおかしいと思い始める
あれ?俺、試されてたのか?それともあれか、何?ほんとに鉄火フラグ立ってるのか?
それとも本当に向井の差し金か?

だが数々の鉄火の匂わせぶりな言葉よりも
何の変哲もなさそうな鉄火が言った言葉が俺の胸に突き刺さった

鉄火
「アンタに隠し事とかしたくないから」

俺は、自分自身が保身や自分の事だけ考えてた事を恥じ、情けなさに歯を食いしばった。
何が俺は本音で勝負、だ。
もう方向性は変わってしまったが、勢いで聞いてしまおう。


「姉ちゃん!!」

鉄火
「何よ・・」


「こないだ言うてた好きな人って、誰?」

鉄火
「はい?何で凹にそこまで言わなきゃいけないの?ちょっとおかしいよ凹」


「隠し事せんのやろ?」

鉄火
「・・・・・どうせ付き合うなんて無理な人だし諦めてんの!距離離れてるし!」


はい、俺ではありませんでした。
本当にどういううぬぼれでしょうか。
だが俺もそこまで話してくれた鉄火に対して申し訳ない気持ちになって
一つだけ俺がついた嘘について謝ろうと思い、言葉を続ける。


「・・・・バイク、こないだパンクなんてしてないねん、
嘘ついて鉄火姐の家行くの恥ずかしかったから、の、逃れようとしててん。」

鉄火は振り返りこちらを見つめる。今度は俺も目を逸らさない。

鉄火
「知ってたよ。初めて修理したって言う割にはタイヤリム(車で言うホイールのような部分)
に修理の傷出来てなかったもんね。」

それだけ言うと言葉を切り、振り返ってドアを開け放って出て行く鉄火
漏らしそうになりながらそれを見送る俺
ポルポルポルポルーという独特の排気音を響かせて彼女は帰っていった。

頼むからドアちゃんと閉めていってくれ、開け放ってるから北風ピーポー状態ジャマイカ。
俺の失態は一体なんだったのだろうか。
あそこで手出さなかった、いや出せなかったのはそれはそれでいいのだが。
そして落ち込んでいた俺に更なる追い討ちが来る。
しばらくすると向井からのメールを受信したのだ。

向井メール
「今何してます?」

俺メール
「あー、またパ ソ コ ン(笑)どどどどどどっか行く?」

向井メール
「御免!鉄火の友達と一緒に食べに行くねん。また今度二人でどう?メールするわなー」

俺メール
「そっか!じゃあ仕方ねーわな。俺は実家で飯食ってくるわ(笑)」

何もかもが裏目ったというか、昨日と打って変わって何も上手くいかない一日だった。
問題なのは、何が問題だったのか俺には全く分からなかった点だ。俺はどうすべきだったというのか。

明日から会社が憂鬱だ。
その憂鬱というのは、俺のニュータイプ能力が予知能力として発現したものだったのだろうか。
会社に入り、初めての危機に俺は見舞われる。
そして、初めて他人に救われる。
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