《私の本音。謝ることはしない。それは無意味だし、今更謝ってもしょうがないことだからね、自分で言うのもなんだけれども。だから、私の本音を言うよ。誰かさんには言えなくても、君には言えるからね》
これは、誰の言葉だろう? 梔子高千穂はそう思う。
当然、自分の言葉だ。自分の意思で、自分の口から吐き出されるのだから、それは自分の言葉に他ならない。
でも、もしかしたら違うのかもしれない。そういう風にして聞かされる、他人の言葉があるのかもしれない。
これは、誰に向けた言葉だろう? 梔子高千穂はそう思う。
当然、ハユマに向けた言葉だ。ハユマの目を見て、ハユマに放つのだから、それはハユマに向けた言葉に他ならない。
でも、もしかしたら違うのかもしれない。そういう風にして伝える、誰かへの言葉があるのかもしれない。
そう思わないか、誰かさん?
茶を飲んで、一往復半。
吸って、吐いて、吸って。梔子高千穂は、覚悟を決めるように、その言葉を紡いだ。
それは、TTSに頼らない、梔子高千穂本人の声で放たれた、美しい悲鳴。
余裕振った自分を演出するために常日頃使用しているものではない、本音の慟哭。
誰かさんに対する、「ここ一番」のとっておき。