俺がついおっぱいを夢中になって揉んでいると、彼女は顔を真っ赤にピンタしてきた。
そして気がつくと、隕石が消えていた。
「やられたの。丁度五分前に達成されてしまうとは」
何時の間にやら上に浮いていた神女が、ニヤニヤとして言う。
「達成?」
俺は思わず聞き返した。
「『自分の事を好いてくれている女子の胸を揉む』見事達成ではないか。手助けはできないので言わなかったが、その女子がおまえの事を好いているのは見えていたのでな」
神女はカラカラ笑って飛んでいきやがった。
訳がわからん。
ぽかんとしていると、女の子が俺がぴんたで呆けてるのかとでも勘違いしたのか、心配そうに覗き込んできた。
「えーと、その、な、なんでこんな時間にこんな所にいるの?」
俺が聞くと、彼女は困った様な顔をして、少し躊躇いがちに言った。
「私のお父さん、その、変な話なんだけど、昔から予知能力みたいのがあって、えっと、いや、私も完全に信じてる訳じゃないんですけど、その、とにかく凄く未来を言い当てるんです」
何故か頭に、あのうさん臭いおっさんの顔が浮かんだ。
「それでその、今日、この時間にここに行けと言われて」
「その」
「空から」
「その」
「空からその、私の将来のお婿さん候補が落ちてくるから、って」
彼女は顔を真っ赤にしてうつむいた。
「そうか。そういう事か。飛ぶ位置ずらさせたのはここに落とす為か。路地裏に生かせたのは好感度でもアップさせとく為か? あのおっさん、やってくれるぜ」
「そ、その!」
「え?」
突然大きな声をあげた彼女に、俺は顔を向ける。
「べ、別にお父さんから言われたからとかじゃなくてその、私昔からその、た、た、た、」
「太郎さんの事が好きでした!」
マジで
「隣の席になった時は凄く嬉しくて」
マジか
「告白された時も頭真っ白になるぐらい嬉しくて、でも、その、お父さんに今日この日まで絶対男の人と付き合っちゃ駄目だと言われてて、その、困っちゃって。そうじゃないと劇的な出会いにならないとか言われてて」
マジっスか
一通り話を聞いてから俺は大笑いした。
おそらくは全て、娘想いのお父さんの思い通りだった訳だ。
そしおそらくは――神女にとっても思い通りの展開だったのだろう。
俺は本当に遊ばれていただけか。
笑い疲れた俺は、きょとんとしている彼女に向けて言った。
「信じられないような話なんだけれど、是非君に聞いて欲しい話があるんだ。そしてもし信じて貰えるなら――
君の親父を一発殴らせてくれ」
おしまい。
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