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没落

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大勢の農民たちが鉱山で皇帝の命によって働かされていた。怠けていると見られたものは監視役の兵士の鞭でたたかれる。
農民たちはみな夜に皇帝への不満をぶちまけていたが、実際に反乱を起こすことはなかった。
そしていつものように愚痴をこぼしあい、大勢の農民たちが狭い部屋の中で眠ろうとした。その中の一人の男が
「おいお前」
という声を聞いた。ほかの連中にだれだ今俺に話しかけたのはと尋ねたが誰も手を上げなかった。しかし声はまた聞こえた。
「ほかの連中にはこのことを伝えるな。頭がおかしいと思われる。返事は心の中でしろ」
男は半信半疑で返事をした。
「俺に何の用だ。そしてお前は誰だ」
「お前に力を与えてやる。皇帝を倒せるほどの力を。私は神だ」
男には到底信じられなかった。
「うそを言え。これには何かからくりがあるんだろう」
「信じられなければ明日確かめろ」
男は翌朝起きたときはもうそのことは夢と思っていた。しかし仕事を始めて現実だと知った。何しろとても重たい岩を軽々持ち上げられるのだ。
男は仲間を集め反乱計画を立て始めた。怪力の男を見て農民たちはこの人ならば戦場でも大活躍するだろうと思った。
男の反乱はうまくいった。男が率いる反乱軍は次々と勝利していった。
そしてついに男が率いる反乱軍は皇帝を殺し新たな国を作った。そして男は皇帝を名乗った。
 しかし皇帝となった男は農民たちが期待したような政策をしなかった。前の皇帝と同じような政策をした。
 またそれに反対した家臣たちは処刑した。ついに農民が一揆を起こしたが、皇帝の圧倒的な強さで鎮圧された。また反乱を起こす家臣もいたが皇帝の強さにははが立たなかった。
 
 ある夜寝ようとしていた皇帝の耳に神の声が聞こえてきた。
「おおあのときの神様か。感謝してるぜ」
「皇帝よ。この世界を統一したことはほめてやるが、あまりにも自分のことしか
 考えないのはいかんぞ。農民たちが反乱を起こしているではないか」
 しかし神の忠告に皇帝は耳を貸さなかった。
「何を言ってやがる。俺は皇帝だ。きっかけはあんたが作ったが後は
 俺の力によってなった。お前に指図されるいわれはない」
「少し調子に乗りすぎたようだな」
 神がそういった瞬間皇帝の意識は失われた。皇帝が起きたときには皇帝の神がかりのような怪力はなくなっていった。
 皇帝は戦場でも大して活躍できなくなっていった。そのため反乱軍は勢いづいた。
 もともと不満を持っているものはたくさんいたがとても皇帝にはかなわないとあきらめていたのだ。
 しかし皇帝が弱くなったといううわさを聞いてみな反乱を起こし始めた。
 一方皇帝の軍隊の士気は低かった。なんであんな皇帝のために死なねばならないのかとみな思っていたからだ。また有能な家臣たちが反乱を起こしたり死んだりして減っていった。そのため皇帝軍は連戦連敗。やがて追い詰められた皇帝は自殺。築いた国は滅び、また新たな国ができた。 

その様子を見ていた神は満足げな表情で
「まったく人の没落する姿を見るのは実に愉快だな。しかし連中の行動はワンパターンだな。力を与えてやるとはじめはいいがだんだんと調子にのりやがて前の皇帝と同じような政治をやりだす。まあそれでも十分楽しいからいいか。本当に神とはいい立場だ」
とつぶやき終えたその瞬間
「少し調子に乗りすぎたようだな」
という声を聞き意識を失った。
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