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ハム子(作:熊)

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「ええっと、弓公子さん…言いづらいことですがあなたは死にました」

 どうやら私は死んだらしい。どうやって死んだのだろう、覚えがない。そしてここがあの世なのだろうか。なんか周りが幻想的に光っているまさにこの世のものとは思えない不思議空間にいきなり招待されたものだからかなり面食らったのも事実だが、受け入れざるを得ない。目の前に突然現れた後光が差すまぶしい人型に説明を受けているからだ。うわっこれが神々しいオーラというものか、まぶしっ。

「信じれないとは思いますが…まずは自分の死を受け入れて…」

「とりあえず、私は死んだんですね。わかりました」

「ええ、ええ、信じられないのも解りま…ってやけにあっさり信じちゃうんだね公子さん」

「まぁ、特に未練もないし…」

「中学生なのに嫌に冷めてるなぁ。これから君の死体やらなんやらを見せてゆっくりと理解させるつもりだったのに」

「ということはあなたは神様ですか」

「いえいえ、私は神様の小間使いの天使です。」

「なんだ、下っ端か」

「そうですね、時給も安いです」

「時給制なんだ…」

「嘘です、あの世にはあんまり時間の概念がないもので」

 おちゃめだな、天使。

「ところで公子さん、あなたは死んだんですがちょっと特殊な例でして、神様から言づてを承っております」

「まさか霊界探偵になってくれとか言い出すんじゃぁ」

「霊ガンは撃てるようになりませんよ。おっと、そうじゃなくって。とりあえずまず伝言を伝える前に神様の説明からしなくてはなりません」

「はぁ」

「神様というのは全ての生物の死を天界から見ているのです。大体生物の死ぬときというのは人格が一番現れるらしいです。それで死に際を見て神様は天国行き地獄行きを決めるんだそうで。」

 そこで天使は一息間をおいた。

「それを前提において。では神様の伝言を復唱します。『えー、弓公子、ちょっとモンハンやってたらお前の死に際見損なっちゃったわ、ちょっと猶予やるから自分で確認してきて。笑える土産話めっちゃ期待してるから。面白い死に方してたらなんかうまいこと生き返らせてやる。暇で暇でしょうがないのよこの仕事』だそうです」

「神様って結構チャラいんですね」

「そうなんですよあの大馬鹿野郎見てないとすぐにサボりやがるんです。っと、いけないいけない。どこで聞かれているかわかったもんじゃないですからね。あんなんでも一応上司なんだぞ、私自重」

 ああやって自分に言い聞かせてないと耐えられないくらい厄介な性格をしているらしい、神様とやらは。

「心中お察しします」

「ありがとうございます。というわけであなたはちょっと巻き戻って生き返ることができるんですが、ただでというわけにはいきません。あの世の中はギブアンドテイク、そして等価交換が原則なもので」

「といいますと?」

「簡単に言うとあなたの記憶の一部をもらいます。例えばあなたを、家族という記憶を使って蘇らせたらそれに関連する知識、思い出、全てごっそり消えた状態で生き返ります」

「なるほど、つまり私はまた死ぬために生き返らなければいけないと」

「すみませんね神様のせいで。くれぐれも私のせいではないので私に当たらないでくださいね。あの野郎ヨーグルト食いすぎて下痢になって死ね。と、つい本音が出てしまいました、今のは聞かなかったことにしといてください。とりあえず神様の退屈しのぎになれば特に面白い死に方でなくてもまた生き返らせてもらえうと思うので。説明はこれで以上です。では早速あなたを蘇らせてもよろしいでしょうか」

「嫌です。先ほど言ったとおり未練もないです。できれば天国に行きたいです」

「はぁ…即答ですか。せっかく生き返れるのにいいんですか?こんなチャンスもう二度とないと思いますよ」

「何回目ですか?」

「はい?」

「私が死んだのは今回で何回目ですか?」




*



「というわけです。神様」

「なるほど、賢い人間は嫌いじゃないなぁ、じゃあ弓ハム子は天国行きでー。早けりゃ一年以内に生まれ変わらせといて。ああいう奴が現世にいた方が面白そうだから」

「かしこまりました」

 この世は神様のさじ加減ひとつ。判断基準は面白いか面白くないか。



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「ハム子」採点・寸評
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1.文章力
 75点

2.発想力
 85点

3. 推薦度
 75点

4.寸評
 考えさせられるお話でした。
 世の中に上手い話はありませんね。ハム子は本当、何回死んだんでしょう……
 短編らしい短編、そう感じました。

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1.文章力
 70点

2.発想力
 70点

3. 推薦度
 70点

4.寸評
 今回の企画の作品群の中で、最も楽に最もすっきりと読めました。特に不可はなく、企画を代表するかのような平均的な作品という感じです。採点もそれを反映しています。
 現代人的な言い回しやツッコミが個人的には好感を持ちました。またオチは上手かったと思います。

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1.文章力 60点
2.発想力 90点
3.推薦度 70点
4.寸評
 個人的にオチが非常に秀逸な作品。ただ、天国と生まれ変わりの関係、言い換えればハム子が天国に行きたい理由が、ちょっと不明瞭なので説得力に欠けます。

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1.文章力 65点
2.発想力 70点
3.推薦度 60点
4.寸評
 独特の空気で進行する会話が特徴的で、シュールに始まりシュールに終わったという印象の作品。
 登場人物の二人である、公子と天使の両方がほぼ常時落ち着いてしゃべっているために、笑いどころらしいポイントはあるのになぜか笑えない。
 オチは「おおっ」と思わせるものはあったのだが、その前の説明が長い上に分かりづらいのが残念だった。
 その後にある神との会話も、蛇足だったのではと感じた。最後の一文が言いたかったのかもしれないが、そこで陳腐になってしまっている。
 色々な部分で惜しいと感じたので、見せ方などをもう一歩踏み込んで頑張ってみて欲しい。

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1.文章力 30
2.発想力 40
3. 推薦度 40
4.寸評
 オチは好き。それまでの運びが、少し邪魔。
 文章をもっとクリアにしてしまった方が、受けも広くなるだろう。
 書き直されたらもう一度読みたい、そんな作品。

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1.文章力 (70)

2.発想力 (60)

3. 推薦度 (80)

4.寸評 
神は天にいまし、全て世は事もなしといった感じでしょうか。
オチもキャラクターも光るものがあります。短い文章ですらすらと読めるのに、すっきりとした読了感が残ります。実にショートショートらしい作品だと思いました。

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各平均点
1.文章力 60点

2.発想力 71点

3. 推薦度 63点

合計平均点 194点

69, 68

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