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小さな出来事(作:Q)

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くそ、頭が痛い。飲みすぎたようだ。ああ、イライラする。
 冷たい夜の風を受けながら、おれはそんなことを考えて歩いていた。ふと前を見ると、小石が転がっている。
足を止めて、小石を見つめているうちに、なぜか無性に腹が立ってきた。
 (ああもう、ちくしょう、どうにでもなれ。)
 そんな自暴自棄な気分でおれは小石を思いっきり蹴った。しかし、小石は数メートル転がっただけに終わる。
もう一度蹴りなおそうと思ったおれは小石のもとへと駆け寄った。


 そのときだった。突然、強烈な光がおれの体を包んだ。そして、光が消えたかと思うと目の前に知らない男がいた。
 ただの知らないやつならまだしも、そいつは縫い目のない奇妙な服を着ている上、後ろにはそいつの所有物であろうこれまた奇妙な物体がひかえていた。
おれがじろじろと眺めていると、そいつが話しかけてきた。
「あなたは今小石を蹴りましたか?」
 変なことを聞くな、とは思ったが、変なやつなのでそれも仕方ないと思い、答えてやった。
「ええ、蹴りましたよ。でも、それがどうしたんですか? まさか、あたった訳じゃないでしょう?」
「そうですか。蹴ってしまいましたか……」
「? どういうことですか?」
 ここまでくると、おれも興味を持ち始めた。なぜ小石がそんなに重要なのか。
「私は未来から来ました。私のいた時代では第三次世界大戦が勃発し、地球の環境や人類の文明も何もかも荒廃してしまいました。
人類の滅亡を恐れた私たちは、コンピューターで逆算して、この戦争の根本的な原因を調べました。その結果……」
「それが僕が今小石を蹴ったことだった、と……?」
「そういうことです」
 なんだ、ばかばかしい。やはり頭のおかしいやつだったのか。おれはなるべく関わらないようにそそくさとその場を立ち去ろうとする。
「なかなかおもしろい話ですね。では、僕も忙しいので……」
 背中を向けたおれに向かってそいつは残念そうにつぶやいた。
「しかし、もう遅かったようですね。仕方ありません。私は未来に帰ります」
 背後で耳をつんざくような機械音がした。おれが驚いて振り返ったときには、もうすでにやつの姿は消えていた。


 一体あれは何だったのだろうか。酔いで幻覚を見ていたのだろうか?いや、それにしてはいやにはっきりとしていた。では、あれは現実か?
しかし、今となっては、あいつがいたという痕跡は何一つ残されていない。それに、あんな子供だましの話、だれが信じるんだ?
 おれは問題の小石の方を振り返った。あいつが来る前と、なんら変わりない状態で放置されている。やはりどう考えてもおかしい。
こんな小石が未来の大戦争の元凶だとは、とても思えない。

 おれは小石に近づいて、思い切り蹴飛ばした。いつまでも、そんなことは考えていられない。
力強く蹴りだされた小石は見事な放物線を描きながら、住宅街の方へ消えていった。
 一応スッキリしたおれは、奇妙な気持ちになりながらも家路についた。


 そして翌朝のニュース。
「今日未明、A市の住宅街を護衛をつれて散策中だったB国の皇子が、何者かに石をぶつけられ重傷をおいました。
現在、警察は総力を挙げて犯人を捜索中ですが、未だ何の手がかりもつかめていません。
犯人、あるいは犯人を目撃したという方は至急捜査本部へ連絡してほしいとのことです。
また、この事件によるB国との国交の悪化についても懸念されていて、B国王によりますと……」



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「小さな出来事」採点・寸評
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1.文章力
 55点

2.発想力
 50点

3. 推薦度
 50点

4.寸評
 ご都合主義だな、と思いました。
 唐突に未来人が現れるところも、小石で皇子が重傷を負うところも、オチありきで書かれているように思えてしまいました。
 しかしB国、タチの悪い国ですね……現代の話とは思えません。

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1.文章力
 70点

2.発想力
 50点

3. 推薦度
 50点

4.寸評
 文章は読みやすく、一定基準があると思います。発想も興味深いものではありますが、あまりにも「いやいやお前そこで帰るなよ!!」と読んでいても読み終わっても突っ込まずにはいられない内容でしたので、推薦度と共々下げさせて頂きました。
 また「護衛へぼすぎるだろ」「ケチな理由すぎる」という突っ込みが続いてなりません。小さな出来事が大きな○○を引き起こし、○○人を絡めるという設定は活かし方によってはとんでもなく化けると思いますので、強引に持っていかず丁寧に考えた方がよいでしょう。

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1.文章力 50点
2.発想力 60点
3.推薦度 40点
4.寸評
 蹴り飛ばせるほどの小石で重症? 当たり所が悪いにしても、ちょっと無理があるような。
 しかし、このテーマは好きですね。小さい事で世界は全くの別方向へ行ってしまう。例えば、古代ギリシャの絶世の美女と呼ばれたヘレネの鼻にいぼでもあったら、現在の西洋文化は全く違うものになっただとか。まぁつまり、そのようなテーマを総括する文章を最後に入れれば、作者さんの言いたい事も明確になるのです。このままだと、ただの垂れ流しでしかないと思います。

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1.文章力 40点
2.発想力 70点
3.推薦度 50点
4.寸評

 オチは綺麗に付いているし、ショートショートとしてはまとまっていると思うのだが、物語に説得力がなさすぎた。
 やってくる未来人の調べは適当すぎるし、男に対しての説明もおざなりだ。本当に大戦を止めたいのかと思うほど未来人にやる気が感じられない。また、酔っ払いが歩き回るほどの夜中に、要人が散策などするとは考え難い。
 有り体にいえば、リアリティの欠如した作品だった。
 未来人など出しておいてリアリティなんてあるかと思われるかもしれないが、物語においてのリアリティはそういうことではない。「こういう展開が起こってもアリかな」と読者に思わせられることが重要なのだ。
 また、やってくる未来人の外見に対する描写が少なく、未来人の所有する物体に関しても「奇妙」という一単語しか説明がない。読んでいて、非常にその場の風景を想像しにくいと感じた。
 SFやファンタジー色の強いものは特に、細かい描写がないと伝わりづらい。もっと、読者の目線に立った文章作りをしてもらいたい。

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1.文章力 50
2.発想力 40
3. 推薦度 50
4.寸評
 あっさりしていていいですね。地味といえば地味ですが、毅然とした作品だと思います。
 しいて言えばもう少し描写がほしかった。

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各平均点
1.文章力 53点

2.発想力 54点

3. 推薦度 48点

合計平均点 155点
81, 80

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