朝おきると首が落ちている
少しやつれた猫の首だ。
首は僕のことを上目遣いで見つめると
「ミャオ」
と鳴いてコロコロと転がってじゃれついてきた。
顎の下を撫でてやると気持ちいいのか目を細める。
なにか餌をあげようと思い台所に行こうとした時
不意に首が足にまとわりついてきて踏み潰してしまった。
首は風船が割れたときの様な破裂音と
か細い断末魔を同時にあげると見る見るうちに
しぼんで小さくなってしまった。
首の周りには彼の中に詰まっていた砂糖が散らばっていた。
僕はそれを丁寧にコーヒーの中に入れて飲む。
気の毒なことをしたなと思いつつその甘美な味に舌鼓を打つ。